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セリーナのデビュー
しおりを挟む「美しすぎて直視できないよ、セリーナ」
眩しいものを見るように目を細めるジェフェリー様。
デビューまでに婚約を解消と言う当初の作戦は失敗に終わりましたが、ここ数日でジェフェリー様への気持の変化があり、このままが良いなぁ。と思っています。
ジェフェリー様はとても優しくて、王妃様曰くデレデレしない! と注意されていますけれど、私の前でだけだとおっしゃってくれるので、特別感? が感じられてすごく嬉しいのです。
ツンデレと言う言葉を殿下の側近の方にお聞きしました。
今となっては十年間の無表情がなつかしいと言うか幻だったのかとさえ思います。
ジェフェリー様が学園に入学するまでは王子妃教育で、会話はないけれど毎週王宮でお会いしてましたから、会えなかった一年は空白ですが、その分を埋めて行ければ良いなと思いました。
「ドレスをプレゼントしていただきありがとうございます。似合っていますか?」
「もちろん似合っているよ。女神のように天使のように妖精のように! すごく可愛い! 私の婚約者が可愛すぎて尊いよ」
「……褒めすぎですね」
「気持ちが溢れるんだよ。私が贈ったドレスを着てくれるなんて!」
とまぁこんな感じでデビューを迎えたセリーナ。
今年デビューを迎えた誰よりも注目を浴びた。新聞社はセリーナのデビューの記事を載せジェフェリーとの仲の良さをアピールした。
アピールなどしなくても周知の事実だったのだけれど。
これに反対するのは……
「なによ! セリーナ様の着ているドレスは本当は私が貰うはずだったんだから!」
拾ってきた新聞をぐちゃっと握りつぶすジュリアナに
「そんなわけあるか! おまえのせいでフロス商会は倒産したんだ! 妻は出ていくし従業員にも訴えられて残ったのはこの小さな倉庫と問題児のおまえだけじゃないか!」
「親なんだからなんとかしてよ!」
「おまえも働け! 仕事を探せ!」
「王宮のメイドにでもなろうかなぁ~正妃でなくとも側室でも、」
「バカな事を言うな! メイドになれるような身分ではない! おまえの戯言には付き合いきれん! 出ていけっ!!」
ジュリアナと、フロス商会元社長でジュリアナの父は毎日喧嘩が絶えない。
格が違うとバカにしていたサムとダニエルの家は、順調に儲けを出している。二人はボランティアの教会で勉強を教えたり忙しなく生活をしているようだ。
******
「出て行けって言われてもねぇ……あら! サムじゃない?」
街をぶらぶらと歩いていると学園で一緒だったサムがいた。
「ジュリアナさんか?! 久しぶりだね」
「なによ! その口の聞き方は!」
「いったいどうしたんだい?」
「お茶でも奢ってよ! 疲れちゃった」
「君は人混みが苦手だろ? それじゃ」
そう言ってサムは逃げるように去っていった。
「なによ!」
はぁ。こんな事なら平民でもお金持ちの商家の家に嫁げばよかったわ!
こんな普通の情けないワンピースを着て街を歩く日が来るなんて思わなかったもの。
「ジュリアナ・フロスか?」
「あら? あなたは?」
「覚えてないとは言わせねぇ。おまえのせいで会社は潰れ借金地獄だ!」
……見覚えあるわね
「あんた! ゴシップ誌の?」
「そうだ! 貴族の連中に目をつけられて逃げまわる日々だ! おまえのせいだ!」
「人のせいにしないでよ! 何もかもセリーナ様のせいじゃないの! もう! なんなのよ! 許せないわあの女!」
「……ほう。じゃぁこれやるよ」
「なによ? それ!」
「これは水につけて衝撃を与えると煙が出る。その隙にそのセリーナ様とかをやっちまいなよ」
「ふーん。手伝ってくれない?」
「いや! 俺は顔が割れている。おまえの好きしろや、じゃあな」
このゴシップ誌の記者はジュリアナは元よりフロス商会に恨みがあった。
その後ジュリアナは学園の門の外の木陰に隠れていた。
「きた! セリーナ様の馬車」
セリーナの家の馬車に向かって思いっきり投げつけた。
「何事だ!」
ジュリアナ側から見えないが、護衛騎士が出てきてジュリアナは捕らえられた。
「まさかリークされた情報が事実だとは……念のため警備を強化しておいて良かった。あ! セリーナは見ちゃダメだよ!」
ジェフェリーが馬車から降りてきた。
「まさか王太子と婚約者が乗る馬車に、害を加えようとするとは……命知らずな。
牢に、いや、王都から追放、二度と足を踏み入れないようにしておけ。家族がいるなら家族も連帯責任とする。また暴れるようならば、国外追放とする。この件に関しては陛下もご存知であり私が一任されている」
「「「「「はっ!」」」」」
「お待たせ、行こうか?」
「ジュリアナ様はなぜこのような真似を?」
「さぁね。分かれば止めていた?」
「そうですね……私に恨みがあるのなら直接お聞きしたかったですけれど、ジェフェリー様の婚約者のわたくしに何かあれば、その後どうなるか考えればわかりそうですのに……罪は償って貰いましょう」
「ふむ。王都での生活に慣れていたあの娘には辛い事となるだろうな、牢に入れるとそれだけ経費が掛かるから、追放くらいで許してやろう」
「怪我はなかったですし、あの方が投げてきた物もただの革製のボールですものね」
「父上や母上に甘いと怒られそうだな……」
「私も一緒に怒られますわ」
「優しいねセリーナは」
「本当は怒っていますよ。ジェフェリー様に相談したら一緒に馬車に乗るって言ったから! あのリークが嘘で劇薬だったらどうするんですか? ジェフェリー様に何かあっては困りますよ。囮なら私だけで良かったのです」
「それはこっちのセリフだよ! セリーナに何かあったらと思うと生きた心地がしない! それに私が一緒のいた方がすぐに対処できるじゃないか」
「でも、」
「いや、」
「でも、」
馬車の中には側近と侍女もいる。
イチャイチャする空間に耐えきれず外を見る。私は空気だ! 空気! 空気! と侍女は耐えていたのだが、空気の読めない側近の一人が
「よかったですね。セリーナ様のお顔を見てお話が出来るようになって!」
急に恥ずかしくなるジェフェリーとセリーナ。
「いや、まだ緊張はする」
「とっとと殿下がセリーナ様に告白しておけば、こんな事件も起こりませんでしたからね! これからは仲良く国の手本になるようなお二人で居てください!」
「「……はい」」
その後ジェフェリーとセリーナは結婚し、めでたく子宝にも恵まれ、おしどり夫婦として名を馳せた。
ジュリアナは父親と合流し、結果親子喧嘩の末、大暴れしたことから国外追放となった。
「私は王太子殿下の元恋人よ! などと追放された国でも言っておりその後の行方は分からないままだった。
【完】
最後までお読みいただきありがとうございました(* ᴗ ᴗ)
本作の途中でコメント欄を閉じましたが、ワクチン接種や仕事でバタバタとしていました(。•́•̀。)💦
執筆済みの物を更新していましたが、見直しが甘くて名前……間違っちゃいました。混乱をされた方申し訳ありませんでした(^^;)
お知らせとして、新作公開しております。こちらも執筆済みで、毎日更新していますので、興味のある方はご覧いただけると嬉しいです( ๑⃙⃘ˊᵕˋ๑⃙⃘ )
【愛していますよ。だから幸せになってくださいね!】
と言う題名ですペコリ(⋆ᵕᴗᵕ⋆).+*
2021/09/14
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意を唱える
↑異を唱える
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これからもご活躍を楽しみにお待ち申し上げます。
コメントいただきありがとうございました。
中々なくならない誤字脱字です……。指摘されて初めて知りましたがおそらく方言なんでしょうね^^;
標準語かと思いきやという言葉を以前にも指摘されました(^_^;)
平民の二人に名前呼びを許しているシーンは確かに書かれていませんね。ご指摘通り気になる点ではあるかと思います。描写不足を痛感いたしました。揚げ足を取るだなんて……貴重な時間を割いて私の作品をお読みくださり指摘をしていただけるのはとても有り難く、頭が下がる思いですm(_ _)m
完結おめでとうございます🎉
面白かったし、ジェフェリーのツンデレ?がサイコーでした!!
いつもありがとうございます( ¨̮ )
ヘタレなのかツンデレなのか🤔💦と言う感じでしたが、何とか完結致しました。お読み頂きありがとうございましたペコリ(⋆ᵕᴗᵕ⋆).+*