【完】今流行りの婚約破棄に婚約者が乗っかり破棄してきました!

さこの

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プロローグ

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「おまえとは婚約を破棄する!」

 声高々と宣言をするこの男。私の婚約者。
 ここは教室です。
 みんなが見ています。


 ザワザワ……
 

「理由をお聞かせください」


「理由? そんなものはない! 親が決めた婚約相手と結婚するという理不尽! 理由があるならそれだ! 今は自由恋愛が主流だろうが!」

「あら、お好きな方がおいでますのね? 存じ上げずに申し訳ございません」


「そんなものはおらん!」


「そうですか」


 茶番だわ。言いたい事が済んだのなら、とっとと行きなさいよ! 


「なんだ? 反論があるのか?」


 ない! 本当はない! スッキリした! でもここで、はい。と言うのも癪である。
 この男は婚約破棄をする事に酔っているのだろう。よく見たら、いやよく見なくても勝ち誇った顔をしてかっこいい俺! みたいな感がぷんぷんと漂っている。


 癪である!


 私は女優、私は女優……よしっ!


「わたくしが至らないばかりに、っく」


 ハンカチを取り出し泣くふりをした。お母様が亡くなったと想定したが健在である!

 ごめんなさいお母様。



「なっ! まさか泣いているのか?」



「申し訳ございません。突然のことに動揺してしまって……っく」


 ザワザワとする教室内。


 私は伯爵家の令嬢で自分で言うのもなんだが、美しさと教養を兼ね備えていますわ。そして! このクラスは私のホームです。私に同情の目が行くのは当然です。


「まさか俺の事が好きだったのか! だから泣いて、」


 違うっ! 好きではない。嫌いでもなかったけれど、今嫌いになった! 早くこの茶番劇を終わらせましょう。


「いいえ。わたくしがあなたにとってお荷物でしたら、喜んでこの身を引かせてもらいますわ、っく」


 ハンカチを巧みに使い、同情をかう

「おまえの気持ちを知らなくて、」


「いいえ、理不尽な婚約はあなたにとって苦痛でしか無かったのですね……っく」


 鼻を少し啜ってみましょう。その方がリアリティーがありますわね。わざとらしくなくナチュラルに少し可愛めに!


 未だ教室内はザワザワと騒がしい。注目の的である! スポットライトを浴びている状態!


「……悪かった、こんなお前を見たかったのでは、」


 よし、そろそろ……胸の前に重ね置いていた手を巧みに使い、隠れて制服の上から思いっきりつねった。痛いっ! これで少し顔が赤くなるはず……


「おい、どうした!」


「いえ、」


 涙目で顔を上げた。美しい涙だと思うわ。見てないけれど、同情を誘えるでしょう?


 少し頬を染めたまま、フラつき机に手を置く。

「あっ、」

「おい、大丈夫か!」



 近くにより私の肩に手を触れてきました! 触るんじゃないわよっ! さりげなく手を振り払い


「大丈夫ですわ。わたくしのことは捨て置いてくださいませ」


「いや、そう言うわけには」

 なんで顔が赤いんだ? 気持ちの悪い男ね! ちょっと! 顔を近づけないでよ



「クラスの皆さんに迷惑をかけてしまいましたわ」

 あくまでも私は被害者! 少し気弱に語尾を弱く……




 そんなことないですわ!
 お気の毒ですわ!
 このようなことあってはたまりませんわ!

 よかったら私が送っていきましょうか?
 いや、俺が!
 僕が!!


「悪かった。もう一度考えてみる」


「いいえ、これがあなたの下した決断なのでしょう? わたくしは受け入れることにしますわ。あなたのご迷惑になりたくありませんもの。短い婚約期間ではありましたが、ありがとうございました。良い御縁がある事をお祈りいたしますわ」


「いや、無かったことに、」


「わたくし少し体調が優れませんの、本日は早退致しますわ……」


「……送っていこう、」


 は!? バカだ! なんで婚約破棄した女を送っていくと言う考えになるんだろうか?


「結構ですわ、これからわたくしは一人で立って行かなくてはなりませんもの」


「そう言うわけには、」

 しつこい! 早く帰りたいの! お父様に報告させて!


「失礼しますわ。心配は無用です。皆さまお騒がせいたしました。申し訳ございませんが、先生に早退したと言う事をお伝えくださると助かりますわ」


 ザワザワとする教室内を、ふらふらと出た!

「おいっ!」



 さようなら!! 元婚約者さま!
 


















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