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 彼は近寄ってきて隣に並ぶ。

「ルージュ、探したぞ」

「リージュ……。すまないな」

 ルージュの肩をぐっと抱きながら、リージュはさらに笑いながら口を開く。

「そんな気にするなって。どうせ、ここにいるだろうって思ってたし」

「そうか。確かに俺はいつもここにいるな。で、探してたってどうしたんだ?」

「父上が俺たちを呼んでいた」

「……分かった。行くか」

 父、そう耳にした途端ルージュの表情はどこか影を含むようなものになっていた。

 そんな彼のことを察したのか、肩から手を離した途端リージュも真剣な表情であった。

 二人は並び、それはまるで兵士を思わせるような凛々しい姿勢で歩き出し、誰も寄せ付けずにテラスを後にした。
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