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 いざ中へと足を踏み入れると、二人はその光景に目を疑った。

 玉座に座っているはずの王はその目の前で倒れており、そこに座っているのは白い服を纏った女性であった。

「は……母上……? どうして……」

「この目で、見届けたはず……」

「ルージュ、リージュ。久し振りね。私はこの通り、生きていますよ。私は、影でこの国を操っていたのですから」

「どうして! なぜそんなことをしていたのですか?」

「私は、全てを支配したかったのよ、リージュ。だから、王を操り、支配していたのです。ですが、それも今日で終わり。これからは、私が全てを支配するのです」

「そんなこと、させるものか! 民が幸せに暮らしていけない王が、あってはならない」

 二人は母へと剣を向ける。

 だが、その力は一切脅威と感じておらず、彼女は余裕の笑みを向けていた。
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