2 / 110
2
しおりを挟む
「今日もありがとうございます」
「ほら、こっちこっち」
男は、ぽんぽん、とソファを叩いてロイドが座るよう促す。恐らくこの調子だと今日は閉店まで男の相手をしなければいけない。
出そうになった溜め息をなんとか堪え、ロイドは男の隣にそっと座る。
ニヤリと笑った男は、太もも同士が触れ合う距離まで詰めてきた。嫌悪感で思わずビクリと震えてしまったが、笑顔を保って平静を装う。
「ロイドは何歌ってもいい声だが、やっぱり今日の歌が一番上手いな」
ははは、と、粘着した声意外何も聞こえないような笑いをする男。ロイドは男を喋らせていることに申し訳ないと思いつつも、男との会話をそのまま続ける。
「僕、あの歌がとっても好きなんです。恋っていいなーって思うので」
「はっはっはっ。恋は人間しかできないからな。しょせんアンドロイドなんて、組み込まれて動いてるだけだ。感情なんてないない」
男は笑いながらグラスに残っていた中身を一気に煽った。空になったグラスを見つめ、はぁ、と盛大な溜め息をつく。
「まだまだ飲み足りねーな。おい、そこのお前。ぼさっとしてないで早く次を持ってこい」
男は近くにいたウエイターに、まるで怒りをぶつけるように冷たく言い放った。
無表情のウエイターは一礼してその場を去る。すぐに新しい酒が入ったグラスを置き、再び無言で去っていった。
「はぁ。あいつらもロイドみたいに愛嬌があればいいのにな。ま、アンドロイドには無理か」
「ほら、こっちこっち」
男は、ぽんぽん、とソファを叩いてロイドが座るよう促す。恐らくこの調子だと今日は閉店まで男の相手をしなければいけない。
出そうになった溜め息をなんとか堪え、ロイドは男の隣にそっと座る。
ニヤリと笑った男は、太もも同士が触れ合う距離まで詰めてきた。嫌悪感で思わずビクリと震えてしまったが、笑顔を保って平静を装う。
「ロイドは何歌ってもいい声だが、やっぱり今日の歌が一番上手いな」
ははは、と、粘着した声意外何も聞こえないような笑いをする男。ロイドは男を喋らせていることに申し訳ないと思いつつも、男との会話をそのまま続ける。
「僕、あの歌がとっても好きなんです。恋っていいなーって思うので」
「はっはっはっ。恋は人間しかできないからな。しょせんアンドロイドなんて、組み込まれて動いてるだけだ。感情なんてないない」
男は笑いながらグラスに残っていた中身を一気に煽った。空になったグラスを見つめ、はぁ、と盛大な溜め息をつく。
「まだまだ飲み足りねーな。おい、そこのお前。ぼさっとしてないで早く次を持ってこい」
男は近くにいたウエイターに、まるで怒りをぶつけるように冷たく言い放った。
無表情のウエイターは一礼してその場を去る。すぐに新しい酒が入ったグラスを置き、再び無言で去っていった。
「はぁ。あいつらもロイドみたいに愛嬌があればいいのにな。ま、アンドロイドには無理か」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
リスタート 〜嫌いな隣人に構われています〜
黒崎サトウ
BL
男子大学生の高梨千秋が引っ越したアパートの隣人は、生涯許さないと決めた男であり、中学の頃少しだけ付き合っていた先輩、柳瀬英司だった。
だが、一度鉢合わせても英司は千秋と気づかない。それを千秋は少し複雑にも思ったが、これ好都合と英司から離れるため引越しを決意する。
しかしそんな時、急に英司が家に訪問してきて──?
年上執着×年下強気
二人の因縁の恋が、再始動する。
*アルファポリス初投稿ですが、よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる