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     そ の 他

  とてつもない失敗の世界史(歴史)

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      トム・フィリップス 著
           河出書房新社

 「歴史は繰り返す」とはよく聞く言葉であるが、良い意味でも悪い意味でも確かに「歴史は繰り返す」ようだ。

 本書は悪い意味で(しくじりを通して)歴史が繰り返していることを、時には真面目に、時には皮肉まじりのユーモアで追っていく。

 人類がいかに学ばないか、または学んでも失敗回避に生かさないかが、本書を読むと良くわかる。

 現実逃避、過信、侮り、善意の裏目、認知バイアス等々、判断を誤る要素が目白押し、そして、その結果、招いた破滅との落差は滑稽なほど愚かで哀れ。

 昔も今も、そして、恐らくは未来も、人類は性懲りもなく戦争をしているのだろう。まるで、お祭りであるかのように······

 かつては、人類の活動はそれほど大きなものではなかった。いくら人類がしくじっても、地球はいつも大目に見てくれていた。

 しかし、地球ガイアも判断をしくじったのか、甘やかしてきた結果、人類の活動は今や地球規模に達してしまっている。近い将来は地母神の手を離れて、宇宙まで広がっていくだろう。

 オゾンホール、温暖化、種の絶滅、スペースデブリ、地球表面を一掃出来るほどの核兵器数など、今後も間違いなく繰り返すであろう人類がしくじった時の影響は、惑星規模になっている。

 将来、ガイアを殺した時、人類はどこに我儘の拠り所を求めるのだろうか。ガイアは優しかった。だが、宇宙はそんなに人類に優しい場所なのだろうか······?


 

 

 
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