呪法師のススメ 〜呪に偏見を抱くのは勝手だが、俺をそこらの素人と一緒にされては困る〜

春風駘蕩

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第二章:出会編

009:少女

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 ーーー少女はその日、運命に出会った。


 生活苦から親に売られて早八年。奴隷商人の元を転々とし、遂にはかつての姿は見る影もないほどに変わり果て、今の場所に流されてきた。

 前の買い主はどうやら倒錯的な性癖の持ち主だったらしく、不気味な術を使う何者かの力を借りて、少女に【呪い】をかけた。
 その所為で少女の姿は日に日に歪になっていき、見るも無残な姿へと変わり果ててしまった。

 醜くおぞましい姿を晒され、少女はそうさせた買い主を、そしてそんな目に遭う自分の不運さを嘆き、呪った。

 買い主はそんな少女の姿にひどく興奮したらしく、ねっとりといやらしい手つきで体を撫で付け、股間を膨らませるようになった。
 少女が嫌がるとますます興奮するらしく、毎日少女に悪戯をしながら、より一層醜くなるのを待った。


 このまま、あの性根の腐った男に穢されるのか……そう不安に苛まれていた少女であったが、やがてある転機が訪れる。

 貴族であった男の家に、王国の騎士の捜査の手が入ったのだという。
 裏で色々とあくどい商売に手を出していた男は、数々の証拠が発見されると即座に逮捕され、捕らえられていた少女も発見された。

 しかし、醜く変貌してしまった少女をどうするべきか、扱いに困った騎士団は誰も少女を保護しようとしなかった。
 挙句、どこからともなく現れた商人を名乗る別の男に言われるがまま、少女を引き渡してしまったのだ。


 商人の屋敷、その一角にある檻の中に閉じ込められながら、少女は全く月のない自分の人生をこれまで異常に深く嘆いた。


 唯一の救いだったのは、仲間ができた事だけであった。


 自分と同じく、異形に変じた二人の少女がいる檻の中で暮らし始めて数ヶ月。
 暗い顔で俯いていた彼女達の元に、こつこつと近づく二つの足音がある事に気付く。


「ーーーこちらでございます」


 足音の主の片方は、自分をここへ連れてきた商人。
 だがもう片方は見た事のない男で、少女達のいる檻の前に立つと、ぎろりと不気味な視線を向けてくる。

 全身を覆う黒衣に闇の奥底を覗いているかのような暗い目。善人には全く見えない、恐ろしき死神か悪魔かのような不気味な存在感を放つ男。

 少女達は怯え、あるいは威嚇の唸り声をあげ、やってきた謎の男に対し警戒心を露わにする。
 近づかないでほしい、そんな願いを視線に込め、じっと見下ろしてくる男を見つめ返していた。



 だが、彼女達はすぐに思い知る事になる。

 自分達は今日この日、死神や悪魔などではないーーー救いの神に出会ったのだ、と。
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