ガーゴイル・テイル ~迷宮の敵《ギミック》に転生した者の神への反逆譚~

春風駘蕩

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003:遭遇、理不尽、機嫌悪化

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 あなたは探索を再開した。先程の一方的な虐殺に対しては既に吹っ切れていた。

 あなたはまた長い長い通路を歩いた。元来た道がどこだったかなどは全く考えず、その時の気分の赴くままにひたすら歩いた。
 右へ曲がり、左へ曲がり、二つに分かれたうちの一つを選び、三つに分かれたうちの一つを選び、階段を上り、階段を下り、仄暗い道を引き返す事なく歩いた。

 そうしていると、いくつものと遭遇した。
 先程のアメーバもどきや、砂でできた人型の何か、石でできた生物のようなもの。

 それらはあなたに遭遇すると、即座に向かってきてあなたに攻撃を繰り出してきた。
 あなたは落ち込んだ。だがすぐに気を取り直して、それらに反撃を加えた。


   ロックゴ*レム を **た!
   サ*ドマン * 倒し*!

   〝岩石同化〟〝砂同化〟〝硬化〟〝水分操作〟 が **る ように ***!


 あなたが歩く度に、それらは現れあなたに襲い掛かってきた。貴方はそれら全てを叩き潰し、可能な限り食べてきた。
 相変わらず味も満腹感も得られず、あなたはだんだん苛立ってきた。

 そうしていると、あなたはいつの間にか、自分が奇妙な通路に出ている事に気付いた。

 棺上の窪みが並び、その中に収められた何かを明かりが照らし出している。
 無数に並ぶそれらは……あなたに似た人影、いや、鎧だった。大体あなたと同じような見た目の、どこぞの外国の相当昔の騎士が纏っていそうな、全身を鉄で覆った鎧だ。

 あなたはそれらをまじまじと眺めてみた―――もしや、自分の同類ではあるまいな。

 あなたがじっと立ち止まっていると、突如……それらの内の一体の指先が動いた。
 棺型の窪みの中から一体が両手を伸ばし、端に手をかけて這い出して来る。すると、沈黙していた他の鎧も続々と動き出し始めた。

 あなたは驚いた。そして、もしやと考えた―――本当に自分の同類なのだろうか。
 だとしたら、相当混乱しているだろう。自分はともかく、普通の人間ならば喧しく騒ぎだしかねない。あなたは他人が嫌いだ。なるべく関わらず、自分一人で行動したかった。

【■■■■■■■■――!】

 しかし、動き出した鎧達は戸惑う素振りを見せる事なく、じっと様子を窺っていたあなたの方を振り向き、一斉に駆け寄ってきた。

 あなたは慌てた―――何か自分が気に障る事でも行ったであろうか。
 突然の事にあなたは逃げるという選択肢を取れず、おろおろと立ち尽くしている間に鎧の一人が目前に迫ってくる。

 頭一つ分か二つ分小さい鎧は、声なのか軋みなのか区別のつかない音を発しながら、あなたの顔面に拳を叩き込んできた。
 かん!と渇いた軽い音が鳴り、あなたは衝撃でよろめく……事はなく、むしろ相手の鎧の方が蹈鞴を踏んで後退った。

 しかしあなたは、ただ只管に戸惑っていた。
 何故、何の前触れもなく、因縁もないままに殴られねばならないのだろうか。

 ふつ、と。
 あなたの鋼の肉体の胸部に熱が灯った気がする。

 あなたを殴った鎧は体勢を立て直すと、再びあなたに襲い掛かる。今度は一体だけではなく、後に続く他の鎧達も一緒になって殴りつけてくる。
 その全てを前後左右から受け、あなたは未だ沈黙していた。かん、かん、こん!と軽い音が連続で響き、あなたを一歩も動かす事なく虚しい時間だけが続く。

 あなたは徐々に苛立ち始めた。
 鎧達が自分とは異なる、人間の意識が入った同じ境遇の者ではない事を理解し、しかし人の姿をしている事実から例えようもないほどの怒りを抱き……いや、蘇らせていく。

 これは、あなたがまだ人間であった頃に何度も味わった怒りだ。
 それを思い出させる、最低の状況だ。

 鎧達の拳も蹴りも、あなたには微塵も効いていない。髪で鉄を殴っているような無意味な行為で、何度繰り返したところであなたは痛くも痒くもない。そもそも何も感じない。
 しかし、かつて境遇や見た目を理由に他者に罵られながら一方的に嬲られた経験を思い起こされ、当時から時間が経って落ち着いていた激情が燃え上がり出す。

 そんな無意味な時間が数秒続いたところで……あなたはブチギレた。

【■■■■■■―――■!?】

 まず、一番近くにいた鎧の頭を掴み、そのまま力を込めて潰す。ぐしゃっと粘土のように跡形もなくなった。
 次に左右の一体ずつを掴み上げ、思い切り叩きつけ合い壊す。これも粘土のように潰れた。
 足にくっついていた者は、押し倒した後に頭を踏み潰す。
 腕に絡んでいた者は、引っ張り上げた後に両腕を掴み、左右から引っ張って真っ二つにする。

 ごしゃっ、ぼぎ、ばきん、ぎゅりっ、ごばん。

 体に張り付いてきた数体の鎧を雑に破壊し、鉄屑に変えてその辺に転がす。
 壁の窪みに収まった鎧はまだまだいるようで、あなたが潰す度に次から次へとやって来る。貴方はその度に鎧を掴み上げ、ばらばらに破壊してみせた。

 あなたは何も考えず、それを続けた。
 鎧は一体どういう構造をしているのか、割れると中から砂や液体が溢れてくる。それが人間における臓器にも見え、あなたは吐き気を催しながら作業を続ける。

 捕まえて、壊して、掴んで、潰して、踏んづけて、割って、砕いて。

 ものの数分で、あなたの周りには鎧の残骸である鉄の欠片が山積みになった。


   オート*ーディ*ン を 倒し*!


 がしゃん、と金属音を立てて倒れた鎧の上に腰を下ろし、あなたは溜息を……吐こうとして何も出ず、苛立ちを紛らわせる為に足元の鎧の面を蹴り飛ばした。

 あなたは自分を煩わせていた鎧の集団を尽く粉砕した。だが、気分は全く晴れなかった。
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