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38.ルルの情報
「それならよかった」
アレクシスはほっと安堵の表情を浮かべるが、コーネリアスの表情は暗い。
「コーネリアス様?」
アメリアが心配になって声をかけると、コーネリアスは暗い表情のまま申し訳なさそうにする。
「昨夜はすまない……父上の前で気丈でいようとすると、どうしても緊張してしまって」
「いえ、あの時は私も気が動転してましたし、魔法がうまくいかないのは私のせいでもあるんです」
アメリアはコーネリアスだけのせいではないと自分の至らなさを口にするが、それでもコーネリアスは唇を噛んだままだ。
「あなたの努力を無駄にしてしまうようなこと……」
「無駄じゃありませんよ」
アメリアは優しくコーネリアスに諭す。
「あの時はたまたまいろんなことが噛み合わなくてうまくいかなかっただけなんです。いつものあなたなら、ちゃんと治癒魔法も効きますし素直に話もしてくださいます。それを忘れないでください」
「アメリア……すまない」
「こういう時はありがとうとお礼を言ってもらえると、私は嬉しいです」
コーネリアスははっとした表情を見せたが、すぐに眉を下げて表情を緩める。
「ありがとう、アメリア」
にこりとアメリアが笑い、コーネリアスもふっと口元を緩める。
その様子を、今まで蚊帳の外だったルルとアレクシスが顔を見合わせてくすくすと笑いあった。
「なんだ、コーネリアスったらそんなことになってたんだ。兄を差し置いて……抜け目がないね、ふふ」
「全く、僕らがいるのも勘定にいれて話してほしいよね」
ルルは相変わらず、といった様子だがアレクシスは弟の見せる朗らかな表情に満足そうだ。
だが、いつまでも二人の世界でいられても話は進まない。結局、年長ということでアレクシスが咳払いをすることで二人の時間からアメリアとコーネリアスを抜け出させる。
「あ、兄上」
「すみません、ついうっかり……」
恥ずかしそうに顔を背けあうアメリアとコーネリアスに、ルルがため息がちに言った。
「僕たちノロケを見させられにきたんじゃないんだけどなぁ」
「ルル!」
「はいはい」
アメリアが慌てて遮るが、ルルは分かっているかのように軽く流してしまう。
「それより僕の話を聞いてほしいんだけどさ」
そして、ルルは自分が知った情報を伝えようと皆の注目を集める。
「あの王様が気にしてそうなこと」
「ん、それは気になる! 何か手掛かりになりそうなこと、聞けたのね」
「もちろん。そこらへんの使い魔と一緒にされたら困っちゃうんだからね。エドモンド王が気にしてることなんだけど……」
三人の注目を浴びながらルルは自信満々に答える。
「ずばり、健康だね!」
三人がそれぞれ沈黙し、ルルは何か間違ったことを言ったかと首を傾げる。
「健康って、それはまあみんなが気になることよね」
アメリアはもっともらしいと言い。
「父上も歳だからな……」
コーネリアスは納得するように頷き。
「そりゃあ、僕はずっと寝込みがちだから気になるのは当たり前というか」
アレクシスは渋い顔をした。
「ねえ、それってエドモンド王が自分の健康を気にしてるってこと?」
アメリアが続けて問えば、ルルはふるふると首を振って答える。
「えーと、アレクシス王子のことを話してたのは聞いたよ。王子に効く薬草はあるかって」
「僕に……?」
先ほどのコーネリアスのようにアレクシスも表情を暗くする。元から病弱で体力もろくにないのだ。コーネリアスやエドモンドのように剣を振うことができない分、アレクシスは居心地の悪さを感じているようだった。
「兄上、どうかお気になさいませんよう。兄上は剣を振う以上に秀でた才があるのですから」
「そうかな……代々騎士として剣を振うのが王族の勤めなのに。僕はそれを果たせなくて」
アレクシスは眉を寄せて悲しげな顔をした。
アレクシスはほっと安堵の表情を浮かべるが、コーネリアスの表情は暗い。
「コーネリアス様?」
アメリアが心配になって声をかけると、コーネリアスは暗い表情のまま申し訳なさそうにする。
「昨夜はすまない……父上の前で気丈でいようとすると、どうしても緊張してしまって」
「いえ、あの時は私も気が動転してましたし、魔法がうまくいかないのは私のせいでもあるんです」
アメリアはコーネリアスだけのせいではないと自分の至らなさを口にするが、それでもコーネリアスは唇を噛んだままだ。
「あなたの努力を無駄にしてしまうようなこと……」
「無駄じゃありませんよ」
アメリアは優しくコーネリアスに諭す。
「あの時はたまたまいろんなことが噛み合わなくてうまくいかなかっただけなんです。いつものあなたなら、ちゃんと治癒魔法も効きますし素直に話もしてくださいます。それを忘れないでください」
「アメリア……すまない」
「こういう時はありがとうとお礼を言ってもらえると、私は嬉しいです」
コーネリアスははっとした表情を見せたが、すぐに眉を下げて表情を緩める。
「ありがとう、アメリア」
にこりとアメリアが笑い、コーネリアスもふっと口元を緩める。
その様子を、今まで蚊帳の外だったルルとアレクシスが顔を見合わせてくすくすと笑いあった。
「なんだ、コーネリアスったらそんなことになってたんだ。兄を差し置いて……抜け目がないね、ふふ」
「全く、僕らがいるのも勘定にいれて話してほしいよね」
ルルは相変わらず、といった様子だがアレクシスは弟の見せる朗らかな表情に満足そうだ。
だが、いつまでも二人の世界でいられても話は進まない。結局、年長ということでアレクシスが咳払いをすることで二人の時間からアメリアとコーネリアスを抜け出させる。
「あ、兄上」
「すみません、ついうっかり……」
恥ずかしそうに顔を背けあうアメリアとコーネリアスに、ルルがため息がちに言った。
「僕たちノロケを見させられにきたんじゃないんだけどなぁ」
「ルル!」
「はいはい」
アメリアが慌てて遮るが、ルルは分かっているかのように軽く流してしまう。
「それより僕の話を聞いてほしいんだけどさ」
そして、ルルは自分が知った情報を伝えようと皆の注目を集める。
「あの王様が気にしてそうなこと」
「ん、それは気になる! 何か手掛かりになりそうなこと、聞けたのね」
「もちろん。そこらへんの使い魔と一緒にされたら困っちゃうんだからね。エドモンド王が気にしてることなんだけど……」
三人の注目を浴びながらルルは自信満々に答える。
「ずばり、健康だね!」
三人がそれぞれ沈黙し、ルルは何か間違ったことを言ったかと首を傾げる。
「健康って、それはまあみんなが気になることよね」
アメリアはもっともらしいと言い。
「父上も歳だからな……」
コーネリアスは納得するように頷き。
「そりゃあ、僕はずっと寝込みがちだから気になるのは当たり前というか」
アレクシスは渋い顔をした。
「ねえ、それってエドモンド王が自分の健康を気にしてるってこと?」
アメリアが続けて問えば、ルルはふるふると首を振って答える。
「えーと、アレクシス王子のことを話してたのは聞いたよ。王子に効く薬草はあるかって」
「僕に……?」
先ほどのコーネリアスのようにアレクシスも表情を暗くする。元から病弱で体力もろくにないのだ。コーネリアスやエドモンドのように剣を振うことができない分、アレクシスは居心地の悪さを感じているようだった。
「兄上、どうかお気になさいませんよう。兄上は剣を振う以上に秀でた才があるのですから」
「そうかな……代々騎士として剣を振うのが王族の勤めなのに。僕はそれを果たせなくて」
アレクシスは眉を寄せて悲しげな顔をした。
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