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43.茶会の前
いよいよ茶会の日がやってきた。昼食の後、アメリアは医局の制服をしっかりと着込んで身だしなみを整える。あいにく茶会に出るような装いは持ってきていないから、このくらいしかちゃんとした場で着る服がないという理由だが。
自室で身支度を整えるアメリアのそばでルルが忙しなく動き回っている。アメリアのことを気遣っているというよりかは、何か別のことを気にかけているようなそぶりだ。
「ねえ、ねえアメリア。これからお茶会なんでしょ?」
「ええ。今日の昼下がりからよ。アフタヌーンティーってところかしら」
「うーん、ねえやっぱり中止とかだめかな」
ルルの乗り気ではない発言に、アメリアは断固として首を振った。
「何言ってるの。せっかくコーネリアス様が言いたいこと言えるチャンスなんだから、今さらなしなんてできっこないわ」
「だってさぁ、なんだか最近この辺りのマナがすごく嫌な感じなんだ。なんか気持ち悪いっていうか」
「リムネアはマナが豊富だから、大方マナ酔いしたんじゃないの? ほら、たまにあるでしょ、敏感にマナを感じ取る体質だと船酔いみたいにぐわんぐわんするやつ」
「それもあるけどさ、なんか変にゾワゾワするんだよ~」
「うーん、でもルルの言うことだしねぇ。でも調べるにしたって今からだとお茶会に間に合わないし。とりあえずお茶会の後にでも原因を探しに行きましょ。それでいい?」
もう入ってしまっている予定をこれから崩すのは無理がある、せめて妥協策としてルルに調査のことを伝えれば、ルルはごろごろと体をカーペットに擦り付けながら頷いた。
「それならいいけどさぁ、できれば早くしてよ?もう身体中ゾワゾワしてたまんないんだよぅ」
「わかったってば。やることやったらちゃんと原因突き止めてあげるから、もうちょっとだけ我慢して?」
「ううぅ~、絶対だよ?」
もぞもぞと動き回るルルを撫でてやり、アメリアは窓際の鉢植えからミントをいくつかちぎっていく。
今回入れるハーブティーはラベンダーとミントを使ったものにする。国王はともかく、コーネリアスにはリラックスしてもらいたい。
「絶対成功させてやるんだから」
一人決意を新たに、アメリアは茶会をする庭先のテラスに向かった。
茶会の準備はオリバーを主体にテキパキと進められていた。真っ白いテーブルクロスをかけられたガーデンテーブルに、椅子の数は四つ。陶磁器の茶器に、銀のスプーンやケーキスタンドがずらりと並び、厨房で用意されたクッキーやらサンドイッチやらが次々と運ばれてくる。
「オリバーさん」
「これはアメリア嬢。ご機嫌麗しゅう」
アメリアが茶会の準備をするオリバーに挨拶すれば、オリバーも同じように挨拶を返してきた。
「準備、順調みたいですね」
「そりゃあ、国王の茶会なんて何年振りってところだからな。気合いも入るってもんだ」
「茶会って、そんなにしょっちゅうはやらないんですね」
「まあ、国王陛下の気持ち次第だからな。なんでも亡くなった王妃様にちなんでるとか言ってたとかで」
「王妃様が……」
アメリアはコーネリアスから王妃のことを聞いていたので、少し気持ちが沈んでしまう。空気が湿っぽくなったことに気づいたオリバーは、アメリアを励ますように声も明るく続けた。
「まあ、なんにしろ茶会は茶会だ、たっぷり飲んで食って疲れるまで話し込んでくるといい」
なんとなく励まされたようにアメリアも感じたようで、アメリアはオリバーに礼を述べる。
「ありがとうございます。でも、応援でしたらコーネリアス様に。味方は多い方がいいですから」
「はは、そうだな。もっともだ。一つ国王様にガツンと言ってやれ」
「言われなくたって」
コーネリアスたちがくるまでの間、アメリアはさらに決意を固く強固なものにしていった。
自室で身支度を整えるアメリアのそばでルルが忙しなく動き回っている。アメリアのことを気遣っているというよりかは、何か別のことを気にかけているようなそぶりだ。
「ねえ、ねえアメリア。これからお茶会なんでしょ?」
「ええ。今日の昼下がりからよ。アフタヌーンティーってところかしら」
「うーん、ねえやっぱり中止とかだめかな」
ルルの乗り気ではない発言に、アメリアは断固として首を振った。
「何言ってるの。せっかくコーネリアス様が言いたいこと言えるチャンスなんだから、今さらなしなんてできっこないわ」
「だってさぁ、なんだか最近この辺りのマナがすごく嫌な感じなんだ。なんか気持ち悪いっていうか」
「リムネアはマナが豊富だから、大方マナ酔いしたんじゃないの? ほら、たまにあるでしょ、敏感にマナを感じ取る体質だと船酔いみたいにぐわんぐわんするやつ」
「それもあるけどさ、なんか変にゾワゾワするんだよ~」
「うーん、でもルルの言うことだしねぇ。でも調べるにしたって今からだとお茶会に間に合わないし。とりあえずお茶会の後にでも原因を探しに行きましょ。それでいい?」
もう入ってしまっている予定をこれから崩すのは無理がある、せめて妥協策としてルルに調査のことを伝えれば、ルルはごろごろと体をカーペットに擦り付けながら頷いた。
「それならいいけどさぁ、できれば早くしてよ?もう身体中ゾワゾワしてたまんないんだよぅ」
「わかったってば。やることやったらちゃんと原因突き止めてあげるから、もうちょっとだけ我慢して?」
「ううぅ~、絶対だよ?」
もぞもぞと動き回るルルを撫でてやり、アメリアは窓際の鉢植えからミントをいくつかちぎっていく。
今回入れるハーブティーはラベンダーとミントを使ったものにする。国王はともかく、コーネリアスにはリラックスしてもらいたい。
「絶対成功させてやるんだから」
一人決意を新たに、アメリアは茶会をする庭先のテラスに向かった。
茶会の準備はオリバーを主体にテキパキと進められていた。真っ白いテーブルクロスをかけられたガーデンテーブルに、椅子の数は四つ。陶磁器の茶器に、銀のスプーンやケーキスタンドがずらりと並び、厨房で用意されたクッキーやらサンドイッチやらが次々と運ばれてくる。
「オリバーさん」
「これはアメリア嬢。ご機嫌麗しゅう」
アメリアが茶会の準備をするオリバーに挨拶すれば、オリバーも同じように挨拶を返してきた。
「準備、順調みたいですね」
「そりゃあ、国王の茶会なんて何年振りってところだからな。気合いも入るってもんだ」
「茶会って、そんなにしょっちゅうはやらないんですね」
「まあ、国王陛下の気持ち次第だからな。なんでも亡くなった王妃様にちなんでるとか言ってたとかで」
「王妃様が……」
アメリアはコーネリアスから王妃のことを聞いていたので、少し気持ちが沈んでしまう。空気が湿っぽくなったことに気づいたオリバーは、アメリアを励ますように声も明るく続けた。
「まあ、なんにしろ茶会は茶会だ、たっぷり飲んで食って疲れるまで話し込んでくるといい」
なんとなく励まされたようにアメリアも感じたようで、アメリアはオリバーに礼を述べる。
「ありがとうございます。でも、応援でしたらコーネリアス様に。味方は多い方がいいですから」
「はは、そうだな。もっともだ。一つ国王様にガツンと言ってやれ」
「言われなくたって」
コーネリアスたちがくるまでの間、アメリアはさらに決意を固く強固なものにしていった。
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