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32.ナターシャからの手紙
昼食後には散策に行く予定だったのだが、アメリア宛に急ぎの手紙が届いていたようでそちらの方を読んでから、とアメリアは散策を断った。
コーネリアスにはオリバーを供にさせたが、表向きは全くアメリアへの不満を見せず了承するのだから全く抜け目がないものである。
届けられた手紙をあらためれば馴染みの名前が書かれている。
「ナターシャ局長からだ……ええと……ええっ!」
手紙の封を切って読むなり、アメリアは飛び上がった。
アメリアへ
手紙、ありがとう。急ぎの用件なのだけれど、近く国王陛下とアレクシス殿下がリムネア訪問をするそうです。御用邸に滞在するとも発表されてて、コーネリアス殿下の病状も見に行幸なさるそうよ。
陛下とアレクシス殿下にくれぐれも粗相のないようにね。あなたのことだから、コーネリアス殿下の状態もきっとよくなっているでしょう。あなたの成果をしっかり見せてきてね。
追伸
字が浮ついてたわよ。恋でもしたかしら?
ナターシャ
「ぐっ、さすが局長……全部お見通しだわ」
アメリアは自分の状況を見抜かれていることにも膝を折りかけたが、今はそれどころではない。
国王とアレクシスが訪問するのだ。治療状況を見せろなんて言われてあんな姿を見られたらどんな恐ろしいことになるかなど容易く想像もできる。
「って、それより一番苦手な国王陛下がいらっしゃるんじゃないの! コーネリアス様になんて伝えよう……」
それよりもコーネリアスの一番のストレスというか、苦手対象の国王が滞在するのだ。どうしたって顔を合わせるし、ストレスでまた魔法が効かなくなっては元も子もない。
手紙を持ったままアメリアがあたふたしていると、きびきびとした足音がアメリアの部屋に近づいてくる。
ドアをノックされ、アメリアが入室を促すと、そこには緊張した面持ちのコーネリアスが立っていた。
「こ、コーネリアス様?」
「大変だ、アメリア……父上が、父上がご訪問なさる」
その後からぱたぱたとオリバーが追いかけてきて、ついでにアメリアに顔を覗かせた。
「アメリア嬢、これは困ったことに……って、その顔はもう知ってるってやつですね」
「あ、あ~……こっちは手紙で知ったんですけど」
アメリアが頬を掻きながら言えば、オリバーはしょんぼりした様子でアメリアに頭を下げる。
「今さっき庭の散策をしていたら早馬が来ましてね。殿下とその場で聞いてしまってこの有様ですよ」
オリバーの申し訳なさも受け取りたい気持ちだが、今はコーネリアスの方がアメリアは心配である。
リムネアにいたときは国王のことはそれほど気にしなくてよかったのだが、さすがに本人が来るとなると問題が出てくる。
「コーネリアス様、大丈夫ですか?」
「私は……その。平気だ、傷の回復も見て、父上もきっと喜んでくださる」
「そうではなくて、あなたのお心持ちの方が私は心配です」
アメリアが一番心配していることをコーネリアスに訴えれば、コーネリアスは俯いて唇を噛んだ。
「だ、大丈夫だ……きちんと治療を受けて、治癒魔法も効くようになったのだから、きっと」
だが、握られたコーネリアスの拳が震えている。オリバーもいることだし、二人きりのように素の状態で話すこともできない。
それに、素の状態ではない姿で基本的にはアメリア以外にコーネリアスは接しているのだ。今のような緊張具合では怯えていると捉えられてもおかしくないだろう。
「とにかく、国王陛下がいらっしゃるならお迎えの準備をしませんと。オリバーさん、そこは大丈夫なんですか?」
アメリアがオリバーに聞くとわかっているというようにオリバーも頷いた。
「使用人達がバケツもひっくり返す勢いで掃除やら何やら始めてますよ。私も殿下の服を用意しませんと」
「そうですか。それで、国王陛下はいつお越しに?」
オリバーは焦りながらも答える。
「三日後です」
コーネリアスにはオリバーを供にさせたが、表向きは全くアメリアへの不満を見せず了承するのだから全く抜け目がないものである。
届けられた手紙をあらためれば馴染みの名前が書かれている。
「ナターシャ局長からだ……ええと……ええっ!」
手紙の封を切って読むなり、アメリアは飛び上がった。
アメリアへ
手紙、ありがとう。急ぎの用件なのだけれど、近く国王陛下とアレクシス殿下がリムネア訪問をするそうです。御用邸に滞在するとも発表されてて、コーネリアス殿下の病状も見に行幸なさるそうよ。
陛下とアレクシス殿下にくれぐれも粗相のないようにね。あなたのことだから、コーネリアス殿下の状態もきっとよくなっているでしょう。あなたの成果をしっかり見せてきてね。
追伸
字が浮ついてたわよ。恋でもしたかしら?
ナターシャ
「ぐっ、さすが局長……全部お見通しだわ」
アメリアは自分の状況を見抜かれていることにも膝を折りかけたが、今はそれどころではない。
国王とアレクシスが訪問するのだ。治療状況を見せろなんて言われてあんな姿を見られたらどんな恐ろしいことになるかなど容易く想像もできる。
「って、それより一番苦手な国王陛下がいらっしゃるんじゃないの! コーネリアス様になんて伝えよう……」
それよりもコーネリアスの一番のストレスというか、苦手対象の国王が滞在するのだ。どうしたって顔を合わせるし、ストレスでまた魔法が効かなくなっては元も子もない。
手紙を持ったままアメリアがあたふたしていると、きびきびとした足音がアメリアの部屋に近づいてくる。
ドアをノックされ、アメリアが入室を促すと、そこには緊張した面持ちのコーネリアスが立っていた。
「こ、コーネリアス様?」
「大変だ、アメリア……父上が、父上がご訪問なさる」
その後からぱたぱたとオリバーが追いかけてきて、ついでにアメリアに顔を覗かせた。
「アメリア嬢、これは困ったことに……って、その顔はもう知ってるってやつですね」
「あ、あ~……こっちは手紙で知ったんですけど」
アメリアが頬を掻きながら言えば、オリバーはしょんぼりした様子でアメリアに頭を下げる。
「今さっき庭の散策をしていたら早馬が来ましてね。殿下とその場で聞いてしまってこの有様ですよ」
オリバーの申し訳なさも受け取りたい気持ちだが、今はコーネリアスの方がアメリアは心配である。
リムネアにいたときは国王のことはそれほど気にしなくてよかったのだが、さすがに本人が来るとなると問題が出てくる。
「コーネリアス様、大丈夫ですか?」
「私は……その。平気だ、傷の回復も見て、父上もきっと喜んでくださる」
「そうではなくて、あなたのお心持ちの方が私は心配です」
アメリアが一番心配していることをコーネリアスに訴えれば、コーネリアスは俯いて唇を噛んだ。
「だ、大丈夫だ……きちんと治療を受けて、治癒魔法も効くようになったのだから、きっと」
だが、握られたコーネリアスの拳が震えている。オリバーもいることだし、二人きりのように素の状態で話すこともできない。
それに、素の状態ではない姿で基本的にはアメリア以外にコーネリアスは接しているのだ。今のような緊張具合では怯えていると捉えられてもおかしくないだろう。
「とにかく、国王陛下がいらっしゃるならお迎えの準備をしませんと。オリバーさん、そこは大丈夫なんですか?」
アメリアがオリバーに聞くとわかっているというようにオリバーも頷いた。
「使用人達がバケツもひっくり返す勢いで掃除やら何やら始めてますよ。私も殿下の服を用意しませんと」
「そうですか。それで、国王陛下はいつお越しに?」
オリバーは焦りながらも答える。
「三日後です」
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