37 / 115
第三章 アルテミルの街とその領主
第37話 コジロー逮捕さる
しおりを挟む
それから数日後の朝、索敵のブレスレットの警報が心の中に響き、コジローは目を覚ました。
索敵能力を発動してみると、黄色い光が4つ、コジローの部屋に近づいてくるようだ。青い光は強い魔力を持った存在をしてしている。赤い光ならコジローに対して敵意を持っている者という事になる。黄色い光の場合は――敵意とまでいかないが味方とも言えない、「要注意」といったところか。
やがて、部屋の前に気配が止まり、ノックが聞こえた。
「誰だ?」
ジローが問いかけると、警備兵だと扉の向こうから答えが帰ってきた。
服を着て扉を開けると、警備兵が3人立っていた。警備隊は、町の治安を守る、警察のような組織の者たちだ。元冒険者も多く、町の人間とはそれなりに良好な関係を築いている。
現れた警備兵の一人は、ジローが最初に町に来た時に城門で受付を担当してくれた男だった。
「領主様がお呼びだ。」
警備兵が嫌そうな顔をしながら言った。
「領主が?何の用だ?」
「さぁな、知らな・・・」
後からもう一人、別の男が遅れて現れ、被せるように言った。
「理由など知る必要はない!平民は貴族に指示されたら黙って従えばよいのだ。」
そう言うからには本人も貴族なんだろうか?たしかに少し上等に見える服を着ている。
「早くしろ、領主様のところに行くのだから、武器は置いていけよ。」
コジローは短剣──次元剣──を腰から抜き取ったが、宿に置いていくのも気が引けたので、部屋備え付けのクローゼットにしまうフリをして、マジッククローゼットへと収納した。
「マロも一緒でいいか?」
「あん・・・?犬か、犬など連れていけるか。」
偉そうな男が言うので仕方なく、マロには部屋で待っていてくれと言い聞かせ、部屋を出た。
受付をしてくれた警備兵が
「悪いな。後で餌をやってくれるよう宿に言っておくよ。」
と言った。
偉そうな男は宿の前に止まっていた馬車に乗ったが、警備兵とコジローはそのまま歩いて領主の館に向かうらしい。
「偉そうに・・・」
「聞こえるぞ!」
警備兵も、その男を嫌っている風であった。
領主の館についたところで、警備兵の仕事は終わりとの事で、コジローは館の騎士に引き渡された。
偉そうな男は先に馬車で館に入っていったが、そのまま戻ってこない。
「しばらくそこで待て。」
騎士たちは指示を仰ぎに行ったようだ。
アルテミルの領主の館、そこはかつて、現領主であるクリスが住んでいた屋敷であるが、現在そこにいるのはクリスではなく、代官である。
領主のクリスは10年前、建設途中の都市サンテミルへと移住し、アルテミルは代官に任せたのであった。
代官の名はレメキ子爵。
貴族の爵位は、上から順に、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵となっている。
領主は "辺境伯" という爵位になる。伯爵ではあるが、ただの伯爵よりは上、侯爵と同程度の地位となる。
平民が武功を上げたりして貴族に取り上げられる時に与えられるのが男爵~子爵であり、伯爵から上は代々続く貴族の家柄を継承する以外は、与えられる事は普通はない。
このレメキと言う男は、先代が戦争武功を上げて爵位を貰ったのを引き継いだ二代目であった。
そして、代官は、昨日突然来訪した領主の令嬢姉妹、リヴロッテとアナスタシアの対応に追われていた。
そもそもこの屋敷は領主のもの、レメキは居室を一室と執務室、それに応接室の使用を許可されているだけのはずなのだが、領主不在の間、レメキは屋敷の主であるかのように好き勝手に使っていたのだ。
姉妹が住んでいた部屋なども物置状態と化しており、とても令嬢姉妹を泊められる状態になっていなかったのである。
とりあえず、来客用の部屋に姉妹を通し、レメキ自身が接待して姉妹を引き付けておき、その間に使用人に大急ぎで晩餐の用意と部屋の準備をさせていた。
姉妹来訪の初日をなんとかしのぎ切った子爵は、心労でヘトヘトになってその日はすぐに眠ってしまったのだが、翌日も早朝から姉妹に呼びつけられ、振り回される事になる。
姉妹はこの街の経済状況を示す書類を見たいと言い出したのだ。慌てるレメキだったが、さらに姉妹は、この街のコジローという冒険者を呼んできてほしいと頼んだ。コジローには少しばかり恩義があり、礼がしたいので丁重にお連れするように、と姉妹は念を押した。
レメキは部下のチリッソに、コジローを読んでくるよう指示したが、その際に、吐き捨てるように「丁重にな」と付け加えた。
それをきいたチリッソは、ニヤリと笑い、「分かりました、念入りに丁重に扱ってやります。」と言って出ていったのである。
索敵能力を発動してみると、黄色い光が4つ、コジローの部屋に近づいてくるようだ。青い光は強い魔力を持った存在をしてしている。赤い光ならコジローに対して敵意を持っている者という事になる。黄色い光の場合は――敵意とまでいかないが味方とも言えない、「要注意」といったところか。
やがて、部屋の前に気配が止まり、ノックが聞こえた。
「誰だ?」
ジローが問いかけると、警備兵だと扉の向こうから答えが帰ってきた。
服を着て扉を開けると、警備兵が3人立っていた。警備隊は、町の治安を守る、警察のような組織の者たちだ。元冒険者も多く、町の人間とはそれなりに良好な関係を築いている。
現れた警備兵の一人は、ジローが最初に町に来た時に城門で受付を担当してくれた男だった。
「領主様がお呼びだ。」
警備兵が嫌そうな顔をしながら言った。
「領主が?何の用だ?」
「さぁな、知らな・・・」
後からもう一人、別の男が遅れて現れ、被せるように言った。
「理由など知る必要はない!平民は貴族に指示されたら黙って従えばよいのだ。」
そう言うからには本人も貴族なんだろうか?たしかに少し上等に見える服を着ている。
「早くしろ、領主様のところに行くのだから、武器は置いていけよ。」
コジローは短剣──次元剣──を腰から抜き取ったが、宿に置いていくのも気が引けたので、部屋備え付けのクローゼットにしまうフリをして、マジッククローゼットへと収納した。
「マロも一緒でいいか?」
「あん・・・?犬か、犬など連れていけるか。」
偉そうな男が言うので仕方なく、マロには部屋で待っていてくれと言い聞かせ、部屋を出た。
受付をしてくれた警備兵が
「悪いな。後で餌をやってくれるよう宿に言っておくよ。」
と言った。
偉そうな男は宿の前に止まっていた馬車に乗ったが、警備兵とコジローはそのまま歩いて領主の館に向かうらしい。
「偉そうに・・・」
「聞こえるぞ!」
警備兵も、その男を嫌っている風であった。
領主の館についたところで、警備兵の仕事は終わりとの事で、コジローは館の騎士に引き渡された。
偉そうな男は先に馬車で館に入っていったが、そのまま戻ってこない。
「しばらくそこで待て。」
騎士たちは指示を仰ぎに行ったようだ。
アルテミルの領主の館、そこはかつて、現領主であるクリスが住んでいた屋敷であるが、現在そこにいるのはクリスではなく、代官である。
領主のクリスは10年前、建設途中の都市サンテミルへと移住し、アルテミルは代官に任せたのであった。
代官の名はレメキ子爵。
貴族の爵位は、上から順に、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵となっている。
領主は "辺境伯" という爵位になる。伯爵ではあるが、ただの伯爵よりは上、侯爵と同程度の地位となる。
平民が武功を上げたりして貴族に取り上げられる時に与えられるのが男爵~子爵であり、伯爵から上は代々続く貴族の家柄を継承する以外は、与えられる事は普通はない。
このレメキと言う男は、先代が戦争武功を上げて爵位を貰ったのを引き継いだ二代目であった。
そして、代官は、昨日突然来訪した領主の令嬢姉妹、リヴロッテとアナスタシアの対応に追われていた。
そもそもこの屋敷は領主のもの、レメキは居室を一室と執務室、それに応接室の使用を許可されているだけのはずなのだが、領主不在の間、レメキは屋敷の主であるかのように好き勝手に使っていたのだ。
姉妹が住んでいた部屋なども物置状態と化しており、とても令嬢姉妹を泊められる状態になっていなかったのである。
とりあえず、来客用の部屋に姉妹を通し、レメキ自身が接待して姉妹を引き付けておき、その間に使用人に大急ぎで晩餐の用意と部屋の準備をさせていた。
姉妹来訪の初日をなんとかしのぎ切った子爵は、心労でヘトヘトになってその日はすぐに眠ってしまったのだが、翌日も早朝から姉妹に呼びつけられ、振り回される事になる。
姉妹はこの街の経済状況を示す書類を見たいと言い出したのだ。慌てるレメキだったが、さらに姉妹は、この街のコジローという冒険者を呼んできてほしいと頼んだ。コジローには少しばかり恩義があり、礼がしたいので丁重にお連れするように、と姉妹は念を押した。
レメキは部下のチリッソに、コジローを読んでくるよう指示したが、その際に、吐き捨てるように「丁重にな」と付け加えた。
それをきいたチリッソは、ニヤリと笑い、「分かりました、念入りに丁重に扱ってやります。」と言って出ていったのである。
0
あなたにおすすめの小説
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
最弱弓術士、全距離支配で最強へ
Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」
剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。
若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。
リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。
風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。
弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。
そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。
「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」
孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。
しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。
最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる