なぜか剣聖と呼ばれるようになってしまった見習い魔法使い異世界生活(習作1)

田中寿郎

文字の大きさ
53 / 115
第三章 アルテミルの街とその領主

第53話 謎の魔道具

しおりを挟む
数日後、コジローは領主の館に呼ばれた。大事な要件とのことだった。

執務室に案内されると、室内には領主のクリス伯の他にギルドマスターのリエの姿もあった。

リエ:「じゃぁ、やっぱりそれが?」

クリス:「ああ、間違いないそうだ。最近、襲われた商人の馬車からも発見されたと報告があった。」

コジロー:「?」

机の上に、オブジェのようなものが置いてある。

仏頂面のクリス。

リエ:「実はね、先日、馬車が街の近くで魔物に襲われてね、町に逃げ込んだんだけど・・・」

リエがコジローに説明してくれた。

馬車は病人を運んでおり、なんとか街まで逃げ込むことができたので、警備兵と近くにいた冒険者で魔物を撃退することができたのだが・・・

その馬車に乗っていた病人が持っていたのがこの魔道具だったという。

その病人は、ワマという若い冒険者であった。

医者に見せたが、体は特に何も異常はないとの事だった。しかし、心神喪失状態で、何日経っても回復する気配がない。心配した仲間が、ワマが握りしめていたその妙な道具について調べてもらえないかと、ギルドに持ち込んできたのだそうだ。

それを、リエは領主のところに持ち込み、お抱えの錬金術師に解析してもらったのであった。

結果は・・・

「ある種の魔物を呼び寄せる効果があるようだ」

との報告であった。

ある種のというのは、普通の魔物は反応しなかったためである。しかし、たまたま、最近やたらと街道で人を襲っている魔獣の一体を生け捕りにする事に成功しており、その魔獣に試してみたところ反応したらしい。

どうやら、反応する魔物は、有る種の催眠状態になっており、この魔道具のある場所に向かってひたすら襲いかかっていく事が確認されたそうだ。



そこに、アレキシが執務室に入ってきた。手には、机の上に置いてあるのと同じ魔道具を持っている。

アレキシ:「発見されました・・・馬車の下部に括り付けてあったそうです。」

クリス:「やはりか・・・」

どうやら、クリスの乗っていた馬車にも、この魔道具が取り付けられていたらしい。先日、大量のリザードマンに領主の馬車が襲われたのは、そのせいだったわけである。

クリス:「誰かが意図的に、アルテミルの街を攻撃している、という事になるか・・・?一体誰が?」

リエ:「それが・・・どうもワマは、死霊の森に入ったらしいのよ・・・。」

コジロー:「!」

クリスはため息をついた。

「あの森は立入禁止にしていたはずだがな。」

「あの森の高ランクの魔物を狙って、時々、無茶をする冒険者が居るのよ・・・若い者は無鉄砲なもの、あなただって経験があるでしょう?」

リエはクリスに流し目を送る。何か弱みでもあるのか、クリスは目を反らした。

ワマの仲間を問い詰めて聞き出したところにによると、どうやらワマは仲間が止めるのも聞かず、やんちゃな友人を何人か連れて死霊の森に向かったらしい。しかし、何日も帰ってこないので、心配した仲間が様子を見にいったところ、森の中で倒れていたワマを発見し、連れ帰ったとの事だった。その時、手にこの魔道具を握りしめていたらしい。

クリス:「この魔道具を作った者は、死霊の森に居る、と?」

リエ:「そうと決まったわけでもないでしょうけど・・・調べないわけにはいかないわよね。」

クリス:「死霊の森は立入禁止だ。たとえ調査でも・・・簡単に許可はできないのだが・・・。」

リエ:「でも、コジローなら、死霊の森に入る事は問題ないでしょう?」

リエはコジローに向き直り、言った。

「死霊の森の魔術師、つまり、コジローの師匠が犯人だと言う噂が冒険者の間に出始めているわ。」

馬鹿な・・・とコジローは言ったが、クリスも

「私も死霊の森の魔術師が犯人だとは思えないがな。死霊の森とこの街との関係は、良好であるかどうかは別として、長い歴史がある。今更そんな事をするメリットがない。」

と言った。

だが、たしかに、調査しないわけにもいかない。

とりあえず、師匠に訊いてみれば何か分かるかもしれない。

実はコジローは、オーブのペンダントを使えば、すぐこの場でゼフトと連絡がとれるのだが、連絡手段があるということも秘密にしておいたほうが良いだろうと思い、黙っていることにした。

とりあえず、死霊の森に行って話を聞いてくると言ってコジローは席を立とうしたが、その時、大慌てでアレキシの部下が走りこんできた。

「スタンピードです!!」


しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

最弱弓術士、全距離支配で最強へ

Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」 剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。 若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。 リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。 風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。 弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。 そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。 「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」 孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。 しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。 最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

処理中です...