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第一部 転生編
第22話 基準がおかしかった
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クレイは、腕に描いてある魔法陣に魔力を流し、ピカキンの眼球の中に強烈な光を発生させる。
一番最初に分析した魔法陣のソースコードが光を発する魔法陣であり、魔法陣の実験によく使っていたので(それでもコードはかなりの量なのだが)、クレイにとっては慣れた得意な魔法陣である。そのためクレイは “光” を応用した技をいくつか疑似魔法として使えるようにしてあったのだ。
本当はこれは奥の手として秘匿しておきたかったのだが仕方がない。こんな早々に奥の手を使わされる事になるとは、やはりこの世界の魔法は侮れないと思うクレイであった。
ピカキン 「うお! なんだ!?!?」
だがピカキンは目が眩みながらも構わず剣を振り下ろしてきた。
それをギリギリで躱すクレイ。防御用の魔法障壁があるので一撃だけなら耐えられるはず。なので相打ち覚悟で攻撃を受けるつもりで誘ったのだが、その覚悟が余裕を生み、ピカキンの剣筋を冷静に見る事ができたため、かろうじて躱すことができたのであった。(魔法障壁の魔導具は一度発動したら魔力が再充填されるまでしばらく使えないので、できたら使わないに越したことはないのだ。)
ピカキンから距離を取るクレイ。ピカキンの視力はいまだ回復しておらず、クレイに攻撃させまいと剣を闇雲に振り回している。光を発する魔法陣のソースコードも改良されており、以前より強い光を発する事ができるようになっていたのだ。身体強化していたとしても、数秒間は回復しないはず。
クレイはすかさず足を前後に開いてしっかりと立ち、両手で銃を構える。前世の海外ドラマで見た警察官がやる射撃姿勢である。照準は一瞬で合わせられる、それなりに練習は積んできたのだ。
そして引き金を引くクレイ。
パン! と大きな音がする。
今度は壁に当たったのとは違う鈍い音がした。
弾丸は射出されると十字に広がりながら飛んでいく。面で当たるため衝撃は大きいが、柔らかい素材なので怪我はしないはずである。弾丸の射出速度も(最近のクレイの銃に比べれば)かなり遅いほうで、威力が弱すぎて身体強化をしている人間ならビクともしないかも知れないが、当たったという判定はもらえるだろう。
…とクレイは思ったのだが、弾を腹に受けたピカキンは宙を飛び、壁に激突してしまった。
クレイ 「ほう? あえて踏ん張らずに後方に飛んで威力を殺したというわけか?」
だが、壁に激突したピカキンは、床に倒れ動かなくなった。
クレイ 「…もう騙されんぞ? そうやって油断させて、相手が近づいて来たところで不意打ちを食らわす作戦なんだろう? 『魔物相手に卑怯だって言うつもりか?』 ってな。
だが、一発当たったのは確かだ、俺の銃の威力は知っているだろう? 模擬戦は俺の一本勝ちって事でいいよな?」
一瞬クレイの言うとおり、倒れて動かないのはピカキンの演技なのかとサイモンも思ってしまったが、いつまで立ってもピカキンが起き上がらない。
サイモン 「…おい、大丈夫か?」
サイモンが近寄って確認すると、ピカキンは完全に白目を剥いて気を失っていた。
サイモン 「ペネローペ! 治療薬を持って来い!」
ペネローペ 「気絶はポーションでは治りませんが」
サイモン 「ええい、念のため治癒士を呼んでこい!」
クレイ 「演技じゃないのか…? 身体強化ができる人間なら、大したダメージはないはずだが? 叔母はこれを体に受けても倒れもしなかったぞ…?」
サイモン 「叔母?! って、お前…」
クレイ 「?」
サイモン 「ちょっと来い!」
サイモンは野次馬をしていた冒険者にピカキンを預け、クレイの腕を掴み強引にギルドマスターの執務室へと引きずっていった。
クレイ 「…一体なんだ?」
サイモン 「お前がさっき言ってた叔母ってのは、ジャクリン・ヴァレットの事だろう?」
クレイ 「…やっぱり、知ってたんだな」
サイモン 「ああ、お前の父親、つまりこの街の領主であるヴァレット子爵に頼まれていたんだ。と言っても、頼まれたのは五年も前の話だがな」
クレイ 「俺はヴァレット家とは一切関係ない、ただの平民のクレイだ」
サイモン 「ああ分かってる。だからこうして人目を避けて話をしてるんだろうが」
クレイ 「…叔母の事を知っているのか?」
サイモン 「ああ、騎士学校で同期だったんだよ」
クレイ 「つまりギルマスは貴族なのか」
サイモン 「そうだ、ギルモア男爵家の次男だよ。そして、ギルモア男爵はヴァレット子爵の部下でもある」
クレイ 「ああ、なるほど、そういう関係で繋がってきたわけか。しかし、ギルマスは貴族なのに、なんで冒険者ギルドのギルマスをしてるんだ?」
サイモン 「俺は堅苦しいのが嫌いなんだよ。親がうるさいから騎士学校は卒業したがな。どうせ家は兄貴が継ぐんだから、俺は好きにしたっていいだろう?」
クレイ 「そんな貴族も居るんだな」
サイモン 「ジャクリンは上昇志向が強かったが、誰も彼もが出世したいと思ってるわけないぞ? まぁいい、それより、お前、さっきの武器だ。あれでもまだ威力が強すぎるな、人に向けて使うと問題が起きるかもしれん、気をつけろよ?」
クレイ 「大した威力じゃないと思~」
サイモン 「それだよ!」
クレイ 「?」
サイモン 「ジャクリンを基準に考えるな。ジャクリンは特別なんだよ、この国で一二を争う最強の騎士なんだぞ? 魔力量だってダントツに多い。あれと比べたら、他の貴族も大した事はないんだよ。ましてや平民出身の冒険者となったら…」
クレイはやっと、ジャクリンが特別で、ジャクリン基準で武器防具を開発するとオーバースペックになりがちである事を知ったのであった……。
一番最初に分析した魔法陣のソースコードが光を発する魔法陣であり、魔法陣の実験によく使っていたので(それでもコードはかなりの量なのだが)、クレイにとっては慣れた得意な魔法陣である。そのためクレイは “光” を応用した技をいくつか疑似魔法として使えるようにしてあったのだ。
本当はこれは奥の手として秘匿しておきたかったのだが仕方がない。こんな早々に奥の手を使わされる事になるとは、やはりこの世界の魔法は侮れないと思うクレイであった。
ピカキン 「うお! なんだ!?!?」
だがピカキンは目が眩みながらも構わず剣を振り下ろしてきた。
それをギリギリで躱すクレイ。防御用の魔法障壁があるので一撃だけなら耐えられるはず。なので相打ち覚悟で攻撃を受けるつもりで誘ったのだが、その覚悟が余裕を生み、ピカキンの剣筋を冷静に見る事ができたため、かろうじて躱すことができたのであった。(魔法障壁の魔導具は一度発動したら魔力が再充填されるまでしばらく使えないので、できたら使わないに越したことはないのだ。)
ピカキンから距離を取るクレイ。ピカキンの視力はいまだ回復しておらず、クレイに攻撃させまいと剣を闇雲に振り回している。光を発する魔法陣のソースコードも改良されており、以前より強い光を発する事ができるようになっていたのだ。身体強化していたとしても、数秒間は回復しないはず。
クレイはすかさず足を前後に開いてしっかりと立ち、両手で銃を構える。前世の海外ドラマで見た警察官がやる射撃姿勢である。照準は一瞬で合わせられる、それなりに練習は積んできたのだ。
そして引き金を引くクレイ。
パン! と大きな音がする。
今度は壁に当たったのとは違う鈍い音がした。
弾丸は射出されると十字に広がりながら飛んでいく。面で当たるため衝撃は大きいが、柔らかい素材なので怪我はしないはずである。弾丸の射出速度も(最近のクレイの銃に比べれば)かなり遅いほうで、威力が弱すぎて身体強化をしている人間ならビクともしないかも知れないが、当たったという判定はもらえるだろう。
…とクレイは思ったのだが、弾を腹に受けたピカキンは宙を飛び、壁に激突してしまった。
クレイ 「ほう? あえて踏ん張らずに後方に飛んで威力を殺したというわけか?」
だが、壁に激突したピカキンは、床に倒れ動かなくなった。
クレイ 「…もう騙されんぞ? そうやって油断させて、相手が近づいて来たところで不意打ちを食らわす作戦なんだろう? 『魔物相手に卑怯だって言うつもりか?』 ってな。
だが、一発当たったのは確かだ、俺の銃の威力は知っているだろう? 模擬戦は俺の一本勝ちって事でいいよな?」
一瞬クレイの言うとおり、倒れて動かないのはピカキンの演技なのかとサイモンも思ってしまったが、いつまで立ってもピカキンが起き上がらない。
サイモン 「…おい、大丈夫か?」
サイモンが近寄って確認すると、ピカキンは完全に白目を剥いて気を失っていた。
サイモン 「ペネローペ! 治療薬を持って来い!」
ペネローペ 「気絶はポーションでは治りませんが」
サイモン 「ええい、念のため治癒士を呼んでこい!」
クレイ 「演技じゃないのか…? 身体強化ができる人間なら、大したダメージはないはずだが? 叔母はこれを体に受けても倒れもしなかったぞ…?」
サイモン 「叔母?! って、お前…」
クレイ 「?」
サイモン 「ちょっと来い!」
サイモンは野次馬をしていた冒険者にピカキンを預け、クレイの腕を掴み強引にギルドマスターの執務室へと引きずっていった。
クレイ 「…一体なんだ?」
サイモン 「お前がさっき言ってた叔母ってのは、ジャクリン・ヴァレットの事だろう?」
クレイ 「…やっぱり、知ってたんだな」
サイモン 「ああ、お前の父親、つまりこの街の領主であるヴァレット子爵に頼まれていたんだ。と言っても、頼まれたのは五年も前の話だがな」
クレイ 「俺はヴァレット家とは一切関係ない、ただの平民のクレイだ」
サイモン 「ああ分かってる。だからこうして人目を避けて話をしてるんだろうが」
クレイ 「…叔母の事を知っているのか?」
サイモン 「ああ、騎士学校で同期だったんだよ」
クレイ 「つまりギルマスは貴族なのか」
サイモン 「そうだ、ギルモア男爵家の次男だよ。そして、ギルモア男爵はヴァレット子爵の部下でもある」
クレイ 「ああ、なるほど、そういう関係で繋がってきたわけか。しかし、ギルマスは貴族なのに、なんで冒険者ギルドのギルマスをしてるんだ?」
サイモン 「俺は堅苦しいのが嫌いなんだよ。親がうるさいから騎士学校は卒業したがな。どうせ家は兄貴が継ぐんだから、俺は好きにしたっていいだろう?」
クレイ 「そんな貴族も居るんだな」
サイモン 「ジャクリンは上昇志向が強かったが、誰も彼もが出世したいと思ってるわけないぞ? まぁいい、それより、お前、さっきの武器だ。あれでもまだ威力が強すぎるな、人に向けて使うと問題が起きるかもしれん、気をつけろよ?」
クレイ 「大した威力じゃないと思~」
サイモン 「それだよ!」
クレイ 「?」
サイモン 「ジャクリンを基準に考えるな。ジャクリンは特別なんだよ、この国で一二を争う最強の騎士なんだぞ? 魔力量だってダントツに多い。あれと比べたら、他の貴族も大した事はないんだよ。ましてや平民出身の冒険者となったら…」
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