異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

文字の大きさ
140 / 184
第三部 暗殺者編

第140話 奴隷達をどうするか?

しおりを挟む
クレイ 「ん~特に予定はないなぁ。当分、仕事はせずにのんびりするつもりだ。お前達を必要とするような仕事ももうないだろうから、みんな、ヴァレットの街で好きにしてくれていいよ」

アダモ 「好きに……? もう俺達はお払い箱って事か?」

ガルム小隊の面々はみな絶望したような顔をする。不要になった奴隷は売り払われる。他の主になったら今のような生活はできなくなるだろう。

クレイ 「いや、そういうわけじゃないが……必要になればまた招集を掛けるよ。それまでは、街で普通に暮らしてくれていればいい」

アダモ 「ああ、待機ということか」

クレイ 「そうだ。今回のダンジョン攻略で手に入れた素材を小出しに売るだけでも一生働かないで済むくらいの稼ぎにはなるだろうから、何もせずにのんびり過ごしてもいい。飽きたらまた冒険者をしてもいいし、違う仕事をみつけてもいい」

アダモ 「本当に素材は山分けでいいのか? 俺達はクレイの奴隷だ。素材も稼ぎも全部クレイのモノにしてもおかしくはないんだぞ?」

クレイ 「俺も素材は十分にもらったし。俺には他にも稼ぐ手段がいくらでもあるし。ダンジョンの権利を売った金も入るしな」

アダモ 「そうなのか…」

少し困ったような顔をアダモはしていた。

アダモ 「…では、身体が鈍らないようしっかり訓練しながら待つ事にするよ」

実は、クレイも困っていた。本当はダンジョン攻略が終わったら全員奴隷から開放してやろうかと考えていたのだ。

リルディオンの秘密を守らせるという意味で奴隷を買ったわけだが(使ってみたら他にも奴隷を使うメリットは色々とあったのだが)、契約魔法というものの存在を知り、秘密厳守の契約を交わせば、奴隷から解放する事が可能であると知ったからである。

だが、敵国の元兵士だった奴隷は開放できない事が分かったのだ。アダモに関しては承知の上であったが、他の隊員達は払い下げられたくらいなのだから開放可能だろうとクレイは思っていたのだが、契約書の条文の中に開放禁止の条項があったのに後で気がついたのだ。

アダモの隷属の首輪は特別に用意された古代遺物アーティファクトで、解放がそもそも不可能なものであった。(※リルディオンの技術であれば可能なのだが、それをやった事がバレると、それはそれで困ったことになる。)

隊員達が付けられていたのは普通の隷属の首輪であるので技術的には解放は可能なのだが、書類上そのような登録を国にされているので、勝手に解放すれば、その後は一生お尋ね者という事になってしまうのだ。

だが、領主(父親)からは、用が済んだ奴隷は手放すべきだと諭された。解放しろという意味ではない。奴隷を所持し続けるならそれでも良いが、自由にさせるなと言うのだ。

伝統的に奴隷制度に反対しているヴァレット家ではあるが、奴隷制度自体は国が認めている制度で違法ではない。なので、奴隷を持つのは百歩譲ってよしとしても、その奴隷を奴隷のまま、一般人のように自由を与えるのは駄目だと言うのだ。なぜなら、奴隷の行動の責任は全て持ち主が持つ事になるからだ。もし、奴隷を奴隷の身分のまま自由に行動させ、なにか問題を起こしたら、それはすべてクレイの責任という事になってしまうのだ。

通常奴隷には自由などない。仕事場から出る事は許されず、行動は細かく制限されているのが普通である。従って問題を起こす事もまずないのだ。

だがクレイは、奴隷の身分のまま、普通の人間と同じ様に行動の自由を与えようと考えていたのだ。だが、例えばもし奴隷が人を殺したら? 奴隷は殺人犯としてもちろん逮捕・処分されるが、その持ち主であるクレイもまた、殺人罪に問われる事になるのだ。

それを父親ブランドは心配し、自由に生活させたいなら奴隷から開放するか、そうでないのなら、外を自由に出歩かせる事はしない方が良いと言ったのである。

だが、ガルム小隊については、開放ができない。別の人間に売却譲渡してしまうという手もあるが、そうなれば、新しい主の元で、奴隷達は不自由な生活を強いられる事になるだろう。

一応クレイは奴隷達に、

『主であるクレイに不利益を生じるような言動は禁止』

と命じてあるので、問題はそうそう起こさないとは思っているが。だが、現実には何が起きるか分からないとブランドは言う。当たり屋のようにトラブルのほうからやって来る事もあるのだ。

例えば、誰かがクレイを陥れようと考えたら、その奴隷を罠に嵌め、冤罪を負わせ、クレイにその罪を着せようとするかも知れない。貴族というのはそれくらいの事は平気でやるのだとブランドは言う。

奴隷達が全員聡明で、罠になど絶対に掛からないというのなら良いが、残念ながらそうは行かないだろう。

そもそも、奴隷は人間扱いされていない街のほうが多いのだ。事実上奴隷制度のないヴァレットだからこそ、奴隷に対する差別も少なく、奴隷が普通の人間のように自由に振る舞う事も受け入れられている。そのためクレイの奴隷達が街で飲食店で普通に飲み食いすることも許されているが、他の街―――奴隷について差別の強い街―――に行けば、隷属の首輪をつけているだけで、店に入る事すら許されない事もあるのだ。

ヴァレットには外から来る冒険者も多い。そのような者の中には奴隷を奴隷扱いするのが当たり前だと思っている者もいる。そのような者とクレイの奴隷達が接触すれば、トラブルになるのは目に見えている。

クレイは奴隷達に迷惑を掛けないように命じていると言うが、それ故に、トラブルになった時に、抵抗すればクレイに迷惑が掛かると考え、身を守る事ができない可能性もあるのだ。

奴隷の状況についての理解が浅かった事をクレイは反省した。クレイは奴隷の存在しない街で生まれ育ったため、認識が甘かったのは仕方がない事であるが。

トラブルを避けるためには奴隷は奴隷らしく扱っておくべき。できないなら、解放してしまったほうがよいという事になるが、それができない……。

―――もちろん、まったく方法がないわけではないだのが。


しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...