157 / 184
第三部 暗殺者編
第157話 帰ってくれ
しおりを挟む
クレイ 「…俺には【鑑定】のスキルがあるんだよ!」
サリー 「そんなとってつけたような嘘を…」
クレイ 「嘘じゃないさ、何なら何か鑑定してみせようか? 例えば…お前の名前は…サリーだな」
サリー 「ぷっ! そんなんで騙されないわよ! 名前はさっきマスターが呼んでたじゃない!」
クレイ 「年齢は二十八歳」
サリー 「……え? なんでそれを…」
※クレイには【鑑定】スキルはない。ただ、リルディオンのデータベースから情報を呼び出す事ができるので、似たような事が可能なのだ。(直前の事象はすぐには呼び出せないという思わぬ弱点が露呈したばかりだが、相手の出自等の情報を読み出す分には何も問題ないのである。)
ポンズ 「ん? サリーお前二十二歳って言ってなかったか?」
サリー 「二十二歳ですよ! こっ、こいつが嘘言ってるだけですから…」
クレイ 「嘘じゃないさ。そうだな、じゃぁ今度はマスター、あんたは四十三歳だな。…生まれはダグアという街か」
ポンズ 「…! 当たってる…」
サリー 「そんなの…事前に調べてれば分かる事でしょ!」
クレイ 「何のためにそんな事調べるんだよ」
ポンズ 「……いや、俺は周囲にはいつも、出身はバレスだって言ってるんだ…ダグア出身だとは、誰にも言った事はねぇんだよ…」
サリー 「え」
ポンズ 「ダグアはバレスよりさらに北にある小さな村でな。そんな村の事は誰も知らないし、俺は成人してからはバレスでずっと働いていたから、バレスの出身だって周囲には言ってたんだ」
サリー 「…それじゃ……」
ポンズ 「サリー? お前、まさか…」
サリー 「か、鑑定ができたからって、毒を私が入れたって証明にはならないでしょう?!」
クレイ 「じゃぁ、その辺は裁判ではっきりさせようか。隷属の首輪で証言させれば嘘かどうか分かるだろう? ついでに誰に頼まれたのかも、是非喋ってもらおうか。衛兵を呼んで逮捕してもらおう、殺人未遂罪だ」
サリー 「ちょ…毒だとは知らなかったのよ! そこまでする話じゃないでしょ!」
ポンズ 「……なぁ、あんた、騒ぎを起こされても困るんだよ。衛兵なんて連れてきて、この店で毒を出したなんて噂が立ったら信用ガタ落ちだ。それに、サリーはこの店で働いてもう一年になる。俺はこの店を初めてもう十年になる。だが、あんたは今日始めて見た顔だ、雰囲気からしておそらく街の人間じゃないだろう? 衛兵を呼んだとしても、どっちを信用すると思う? 俺だってよく知らねぇ人間よりはサリーのほうを信用する。
だが、あんたもブラーが連れてきた客だ。なぁ、ブラーの顔を立てて騒ぎ立てる事はしねぇから、今日のところはブラーを連れて黙って帰ってくれねぇか?」
※ブラーは既に酔い潰れて眠っていた。
クレイ 「だが、俺は殺されかけたんだぞ?」
ポンズ 「悪いが俺は、サリーがやってないと言うのなら信じたい。だが、あんたも入れてないというなら……それも、信じよう!」
そう言うと、なんとポンズはクレイが持っていたお茶を引っ手繰って飲んでしまった。
クレイ 「おいっ! 馬鹿ヤロウ! 猛毒だと言ったろうが!」
ポンズ 「ぐ…うぅ!」
その場で血を吐き、倒れてしまったポンズ。
即座にクレイは治癒の魔法陣をポンズの体に投写して魔力を注ぎ治癒効果を発動させながらエリーに呼びかけた。
クレイ 「くそっ! エリー! 聞こえるか? さっき解析した毒の解毒剤は作れるか?!」
エリー 「既にできています」
(リルディオンではクレイに盛られた毒や薬が検出された場合は、万が一の場合に対応できるよう、その解毒剤まで用意しているのである。)
クレイが亜空間収納を確認すると解毒剤が既にあったので、即座に取り出しポンズの口に無理やり注ぎ込む。もちろん同時に治癒魔法も掛け続けながらである。すると、苦しみ悶えていたポンズの様子が徐々に穏やかになっていった。
クレイ 「なんとか間に合ったか…」
服毒すれば即死する即効性の猛毒であった。解毒剤もないはずであった。だが、即座にクレイが治癒魔法を使ったこと、その治癒魔法がリルディオンから魔力供給されている破格のものであったこと、そして、解毒剤があった事で、ポンズは死を免れたのであった…。
クレイ 「ったく、無茶しやがって…」
サリー 「嘘……そんな……ただの眠り薬だって聞いてたのに……」
一命をとりとめたポンズを椅子に座らせて休ませたクレイは、尻もちをついていたサリーにも手を貸し、ポズの隣の椅子に座らせた。
そして、クレイの尋問開始であるが、さすがにサリーも諦めたようで、抵抗する事なく素直に話し始めた。
ただ、クレイのお茶に薬を入れた事は認めたサリーであったが、殺意については全面否定であった。サリーは毒だとは知らなかったと言い募る。
だが、毒でないにせよ、客に出す商品に薬を盛るなど飲食店の店員としては絶対にやってはいけない事だとポンズは激怒したが、店員の教育は後でやってくれと言ってやめさせ、クレイは相手についての質問を続けた。
相手は、『今店にいる冒険者に恨みがある者だ』と言ったそうだ。『そいつは悪い奴だ、過去の悪行についてお灸を据えたいだけだ』などと言ったらしい。(悪行の内容については何も話さなかったそうだ。)
『渡した薬も毒性はなく、少し酔いが回りやすくなるだけの薬だ』
『サリーが罪に問われる事は一切ない』
『少々お灸を据えたい程度だから安心しろ、殺すほどの恨みはない』
『泥酔した冒険者が翌朝路端で目覚める程度だ、酷い事にはならない』
罪悪感が薄れるような言葉を並べられ、謝礼として大量の金貨を握らされ、怪しいと思いつつサリーはついつい金に目が眩んで引き受けてしまったと言う事であった。
クレイ 「言い訳はいい。そいつはどんな奴だった?」
サリー 「それが、フードを被っていて顔も布を巻いて隠していたので…」
サリー 「ただ、低い声を出すようにして喋っていたけど、あの声は女性だったと思います…」
クレイ 「女か、他に特徴はなかったか?」
だが、服装は街の人間がよく来ているようなものだったそうで、結局、おそらく女だったと情報以外、これといって犯人についての有力な手掛かりは得られなかったのであった。
サリー 「そんなとってつけたような嘘を…」
クレイ 「嘘じゃないさ、何なら何か鑑定してみせようか? 例えば…お前の名前は…サリーだな」
サリー 「ぷっ! そんなんで騙されないわよ! 名前はさっきマスターが呼んでたじゃない!」
クレイ 「年齢は二十八歳」
サリー 「……え? なんでそれを…」
※クレイには【鑑定】スキルはない。ただ、リルディオンのデータベースから情報を呼び出す事ができるので、似たような事が可能なのだ。(直前の事象はすぐには呼び出せないという思わぬ弱点が露呈したばかりだが、相手の出自等の情報を読み出す分には何も問題ないのである。)
ポンズ 「ん? サリーお前二十二歳って言ってなかったか?」
サリー 「二十二歳ですよ! こっ、こいつが嘘言ってるだけですから…」
クレイ 「嘘じゃないさ。そうだな、じゃぁ今度はマスター、あんたは四十三歳だな。…生まれはダグアという街か」
ポンズ 「…! 当たってる…」
サリー 「そんなの…事前に調べてれば分かる事でしょ!」
クレイ 「何のためにそんな事調べるんだよ」
ポンズ 「……いや、俺は周囲にはいつも、出身はバレスだって言ってるんだ…ダグア出身だとは、誰にも言った事はねぇんだよ…」
サリー 「え」
ポンズ 「ダグアはバレスよりさらに北にある小さな村でな。そんな村の事は誰も知らないし、俺は成人してからはバレスでずっと働いていたから、バレスの出身だって周囲には言ってたんだ」
サリー 「…それじゃ……」
ポンズ 「サリー? お前、まさか…」
サリー 「か、鑑定ができたからって、毒を私が入れたって証明にはならないでしょう?!」
クレイ 「じゃぁ、その辺は裁判ではっきりさせようか。隷属の首輪で証言させれば嘘かどうか分かるだろう? ついでに誰に頼まれたのかも、是非喋ってもらおうか。衛兵を呼んで逮捕してもらおう、殺人未遂罪だ」
サリー 「ちょ…毒だとは知らなかったのよ! そこまでする話じゃないでしょ!」
ポンズ 「……なぁ、あんた、騒ぎを起こされても困るんだよ。衛兵なんて連れてきて、この店で毒を出したなんて噂が立ったら信用ガタ落ちだ。それに、サリーはこの店で働いてもう一年になる。俺はこの店を初めてもう十年になる。だが、あんたは今日始めて見た顔だ、雰囲気からしておそらく街の人間じゃないだろう? 衛兵を呼んだとしても、どっちを信用すると思う? 俺だってよく知らねぇ人間よりはサリーのほうを信用する。
だが、あんたもブラーが連れてきた客だ。なぁ、ブラーの顔を立てて騒ぎ立てる事はしねぇから、今日のところはブラーを連れて黙って帰ってくれねぇか?」
※ブラーは既に酔い潰れて眠っていた。
クレイ 「だが、俺は殺されかけたんだぞ?」
ポンズ 「悪いが俺は、サリーがやってないと言うのなら信じたい。だが、あんたも入れてないというなら……それも、信じよう!」
そう言うと、なんとポンズはクレイが持っていたお茶を引っ手繰って飲んでしまった。
クレイ 「おいっ! 馬鹿ヤロウ! 猛毒だと言ったろうが!」
ポンズ 「ぐ…うぅ!」
その場で血を吐き、倒れてしまったポンズ。
即座にクレイは治癒の魔法陣をポンズの体に投写して魔力を注ぎ治癒効果を発動させながらエリーに呼びかけた。
クレイ 「くそっ! エリー! 聞こえるか? さっき解析した毒の解毒剤は作れるか?!」
エリー 「既にできています」
(リルディオンではクレイに盛られた毒や薬が検出された場合は、万が一の場合に対応できるよう、その解毒剤まで用意しているのである。)
クレイが亜空間収納を確認すると解毒剤が既にあったので、即座に取り出しポンズの口に無理やり注ぎ込む。もちろん同時に治癒魔法も掛け続けながらである。すると、苦しみ悶えていたポンズの様子が徐々に穏やかになっていった。
クレイ 「なんとか間に合ったか…」
服毒すれば即死する即効性の猛毒であった。解毒剤もないはずであった。だが、即座にクレイが治癒魔法を使ったこと、その治癒魔法がリルディオンから魔力供給されている破格のものであったこと、そして、解毒剤があった事で、ポンズは死を免れたのであった…。
クレイ 「ったく、無茶しやがって…」
サリー 「嘘……そんな……ただの眠り薬だって聞いてたのに……」
一命をとりとめたポンズを椅子に座らせて休ませたクレイは、尻もちをついていたサリーにも手を貸し、ポズの隣の椅子に座らせた。
そして、クレイの尋問開始であるが、さすがにサリーも諦めたようで、抵抗する事なく素直に話し始めた。
ただ、クレイのお茶に薬を入れた事は認めたサリーであったが、殺意については全面否定であった。サリーは毒だとは知らなかったと言い募る。
だが、毒でないにせよ、客に出す商品に薬を盛るなど飲食店の店員としては絶対にやってはいけない事だとポンズは激怒したが、店員の教育は後でやってくれと言ってやめさせ、クレイは相手についての質問を続けた。
相手は、『今店にいる冒険者に恨みがある者だ』と言ったそうだ。『そいつは悪い奴だ、過去の悪行についてお灸を据えたいだけだ』などと言ったらしい。(悪行の内容については何も話さなかったそうだ。)
『渡した薬も毒性はなく、少し酔いが回りやすくなるだけの薬だ』
『サリーが罪に問われる事は一切ない』
『少々お灸を据えたい程度だから安心しろ、殺すほどの恨みはない』
『泥酔した冒険者が翌朝路端で目覚める程度だ、酷い事にはならない』
罪悪感が薄れるような言葉を並べられ、謝礼として大量の金貨を握らされ、怪しいと思いつつサリーはついつい金に目が眩んで引き受けてしまったと言う事であった。
クレイ 「言い訳はいい。そいつはどんな奴だった?」
サリー 「それが、フードを被っていて顔も布を巻いて隠していたので…」
サリー 「ただ、低い声を出すようにして喋っていたけど、あの声は女性だったと思います…」
クレイ 「女か、他に特徴はなかったか?」
だが、服装は街の人間がよく来ているようなものだったそうで、結局、おそらく女だったと情報以外、これといって犯人についての有力な手掛かりは得られなかったのであった。
12
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる