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第三部 暗殺者編
第160話 王都へ(馬車で)
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ブランド 「…まぁ、平民の立場で街に黙って出入りしたところで、問題を起こさない限りはバレはしないだろうがな」
クレイ 「では、王都の(ヴァレット家の)屋敷の中に転移すれば? 誰にも見られないし、帰りも転移で戻れば城門を通らなくてもバレないし?」
ブランド 「それも駄目だ。平民と違い貴族は、誰が王都に居るのか、いつ入り、いつ出ていったのか全て記録されて王宮に報告されているのだよ」
貴族とは、多大な魔力=強い武力を持つ者達である。治安維持の観点からも、平民よりも強く警戒するのは当然なのである。
ブランド 「受け入れる側の準備もあるしな。おかげで召喚された者はスムーズに王城へ入れる」
クレイ 「そうなんだ?」
ブランド 「王宮から召喚されているようなケースでは、城門の番兵にもその連絡が行っているのだ。そして城門を通った時点で、王宮へその旨の連絡が行く。そして、王宮側でも受け入れの準備をするわけだ。
だが、もし、城門から街へ入った報告がないのに王宮へ顔を出した者が居たらどうなる? 受け入れ準備ができていないのだから門を通っていないのはすぐにバレる。そして大問題となってしまうだろう。番兵のミスでないなら、門を通らずに王都に出入りしている者が居ると言う事になるからな」
王家の盾と呼ばれるヴァレット子爵家なので、そのような警備体制についてブランドもよく知っていたのである。(クレイはほとんど政には関わっていなかったのでそこまで詳しくは知らなかったのだが。)
結局、馬車で王都へと移動する事になった。ただ、クレイとルル・リリは馬車に乗らず、馬を借りて乗っていく事にした。
クレイは馬に乗るのが好きなのである。と言っても実家に居る頃が乗る機会がなく、冒険者になって初めて乗ったのだが。
この世界の馬車は乗り心地が悪く、長時間乗っているのは苦痛であったので、馬に乗って移動するほうがずっと楽なのだ。
領主の馬車は高級仕様なのでそれほど苦痛でもないのだが、今日は天気もよいし、暑くもなく寒くもなく心地よい陽気であるので、クレイは馬に乗りたかったのだ。
クレイは平民の冒険者であって、父や兄と違って貴族ではないのだから、貴族の馬車に乗るのはおかしいだろうと言われると、ブランドも反対できなかったのであった。
馬に乗りながら、暇なので、転移で移動しても良い上手い方法はないか考えてみるクレイ。
馬車に近づき並走しながら思いついたアイデアをブランドとワルドマに伝えてみる。(多少話しにくいが、少し大きめの声を出せば会話は成立する。)
クレイ 「例えば…どこか王都の近くに馬車ごと転移して、馬車で街に入るとか?」
ブランド 「人目につかず馬車ごと転移できる場所とはどこだ?」
クレイ 「ああ、ない、か…」
王都の周辺を思い出してみたクレイだが、王都の周囲は防衛のため、かなり遠くまで障害物がなく見通せるようになっているのである。
クレイ 「じゃぁ、馬車だけ先に行かせて、王城の手前でその馬車の中に転移で移動すれば…?」
ブランド 「その方法なら…可能だろう。だが、それだと馬車を先に行かせて待たせておく必要があるな」
ワルドマ 「それに転移するタイミングが難しいだろうな。入城待ちの混雑具合によるが、思ったより早く入城できてしまった場合、空のまま馬車だけ入城する事になってしまう。クレイが馬車に乗って先行し、ちょうどいいタイミングで俺たちを呼んでくれれば楽だが?」
クレイ 「……分かった! 今度、転移ゲートを装備した馬車を作ろう! 中に誰か乗せておいて、その馬車を目的の場所まで先に走らせておいて、ちょうど良いタイミングで呼んで貰えばいい」
ワルドマ 「馬車ごと盗賊に襲われたらどうする? 使用者登録しておけば盗賊がこちら側に来る事はないだろうが、転移ゲートを出たら盗賊のアジトだったなんて事になっても笑えないぞ」
クレイ 「そこは護衛をちゃんと用意して……」
ブランド 「何かあった時に、馬車の中が空だったとなると、護衛たちも混乱するだろうな。
…だが、今の案なら不可能ではない。今度試してみるか?」
ワルドマ 「父上、やめたほうがいいと思いますよ。転移ゲートの存在は隠しておいたほうがいいのですよね? それを馬車に乗せて運ばせるというのは、なんだか怖い気がします」
ブランド 「腕の立つ護衛をつける必要があるな」
ワルドマ 「それに、中に乗せておく者は、転移ゲートを使えるよう登録する必要がある。誰を任命する気ですか?」
ブランド 「なるほど確かに。担当させる者、そして護衛にも、しっかりと事情を理解させて運用したほうが良いだろうな。そのためにも、よほど信頼できる者でないといかん…人選が難しいか」
クレイ 「まぁ、ちょっと思いつきで言ってみただけ、すぐにそんな馬車を作る気もないし」
ブランド 「なんだ、そうなのか」
ちょっと残念そうなブランド。
クレイ 「ほら、王都の城壁が見えてきましたよ」
転移ゲート付き馬車については、退屈しのぎに話を振っただけである。まだ実物は存在せず、クレイが作らなければ話は進まないし、クレイもすぐに作る気もないのであった。
王都の城門(平民用)の前には入城待ちの長い馬車の列ができている。
その周囲には馬に乗った騎士達が十数人も巡回している。
入城希望者の中に不審な者が居ないか警戒しているというのもあるのだが、実は、入城待ちの馬車や旅人が待っている間に魔物に襲われないよう守るためというのも大きい。
ヴァレット子爵家の馬車はもちろん、平民用の列に並ぶ必要はないので貴族用の門へと向かう。(こちらは渋滞していない。)すると、巡回中の騎士が二人、馬車に近づいてきた。
クレイ 「では、王都の(ヴァレット家の)屋敷の中に転移すれば? 誰にも見られないし、帰りも転移で戻れば城門を通らなくてもバレないし?」
ブランド 「それも駄目だ。平民と違い貴族は、誰が王都に居るのか、いつ入り、いつ出ていったのか全て記録されて王宮に報告されているのだよ」
貴族とは、多大な魔力=強い武力を持つ者達である。治安維持の観点からも、平民よりも強く警戒するのは当然なのである。
ブランド 「受け入れる側の準備もあるしな。おかげで召喚された者はスムーズに王城へ入れる」
クレイ 「そうなんだ?」
ブランド 「王宮から召喚されているようなケースでは、城門の番兵にもその連絡が行っているのだ。そして城門を通った時点で、王宮へその旨の連絡が行く。そして、王宮側でも受け入れの準備をするわけだ。
だが、もし、城門から街へ入った報告がないのに王宮へ顔を出した者が居たらどうなる? 受け入れ準備ができていないのだから門を通っていないのはすぐにバレる。そして大問題となってしまうだろう。番兵のミスでないなら、門を通らずに王都に出入りしている者が居ると言う事になるからな」
王家の盾と呼ばれるヴァレット子爵家なので、そのような警備体制についてブランドもよく知っていたのである。(クレイはほとんど政には関わっていなかったのでそこまで詳しくは知らなかったのだが。)
結局、馬車で王都へと移動する事になった。ただ、クレイとルル・リリは馬車に乗らず、馬を借りて乗っていく事にした。
クレイは馬に乗るのが好きなのである。と言っても実家に居る頃が乗る機会がなく、冒険者になって初めて乗ったのだが。
この世界の馬車は乗り心地が悪く、長時間乗っているのは苦痛であったので、馬に乗って移動するほうがずっと楽なのだ。
領主の馬車は高級仕様なのでそれほど苦痛でもないのだが、今日は天気もよいし、暑くもなく寒くもなく心地よい陽気であるので、クレイは馬に乗りたかったのだ。
クレイは平民の冒険者であって、父や兄と違って貴族ではないのだから、貴族の馬車に乗るのはおかしいだろうと言われると、ブランドも反対できなかったのであった。
馬に乗りながら、暇なので、転移で移動しても良い上手い方法はないか考えてみるクレイ。
馬車に近づき並走しながら思いついたアイデアをブランドとワルドマに伝えてみる。(多少話しにくいが、少し大きめの声を出せば会話は成立する。)
クレイ 「例えば…どこか王都の近くに馬車ごと転移して、馬車で街に入るとか?」
ブランド 「人目につかず馬車ごと転移できる場所とはどこだ?」
クレイ 「ああ、ない、か…」
王都の周辺を思い出してみたクレイだが、王都の周囲は防衛のため、かなり遠くまで障害物がなく見通せるようになっているのである。
クレイ 「じゃぁ、馬車だけ先に行かせて、王城の手前でその馬車の中に転移で移動すれば…?」
ブランド 「その方法なら…可能だろう。だが、それだと馬車を先に行かせて待たせておく必要があるな」
ワルドマ 「それに転移するタイミングが難しいだろうな。入城待ちの混雑具合によるが、思ったより早く入城できてしまった場合、空のまま馬車だけ入城する事になってしまう。クレイが馬車に乗って先行し、ちょうどいいタイミングで俺たちを呼んでくれれば楽だが?」
クレイ 「……分かった! 今度、転移ゲートを装備した馬車を作ろう! 中に誰か乗せておいて、その馬車を目的の場所まで先に走らせておいて、ちょうど良いタイミングで呼んで貰えばいい」
ワルドマ 「馬車ごと盗賊に襲われたらどうする? 使用者登録しておけば盗賊がこちら側に来る事はないだろうが、転移ゲートを出たら盗賊のアジトだったなんて事になっても笑えないぞ」
クレイ 「そこは護衛をちゃんと用意して……」
ブランド 「何かあった時に、馬車の中が空だったとなると、護衛たちも混乱するだろうな。
…だが、今の案なら不可能ではない。今度試してみるか?」
ワルドマ 「父上、やめたほうがいいと思いますよ。転移ゲートの存在は隠しておいたほうがいいのですよね? それを馬車に乗せて運ばせるというのは、なんだか怖い気がします」
ブランド 「腕の立つ護衛をつける必要があるな」
ワルドマ 「それに、中に乗せておく者は、転移ゲートを使えるよう登録する必要がある。誰を任命する気ですか?」
ブランド 「なるほど確かに。担当させる者、そして護衛にも、しっかりと事情を理解させて運用したほうが良いだろうな。そのためにも、よほど信頼できる者でないといかん…人選が難しいか」
クレイ 「まぁ、ちょっと思いつきで言ってみただけ、すぐにそんな馬車を作る気もないし」
ブランド 「なんだ、そうなのか」
ちょっと残念そうなブランド。
クレイ 「ほら、王都の城壁が見えてきましたよ」
転移ゲート付き馬車については、退屈しのぎに話を振っただけである。まだ実物は存在せず、クレイが作らなければ話は進まないし、クレイもすぐに作る気もないのであった。
王都の城門(平民用)の前には入城待ちの長い馬車の列ができている。
その周囲には馬に乗った騎士達が十数人も巡回している。
入城希望者の中に不審な者が居ないか警戒しているというのもあるのだが、実は、入城待ちの馬車や旅人が待っている間に魔物に襲われないよう守るためというのも大きい。
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