異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

文字の大きさ
160 / 184
第三部 暗殺者編

第160話 王都へ(馬車で)

しおりを挟む
ブランド 「…まぁ、平民の立場で街に黙って出入りしたところで、問題を起こさない限りはバレはしないだろうがな」

クレイ 「では、王都の(ヴァレット家の)屋敷の中に転移すれば? 誰にも見られないし、帰りも転移で戻れば城門を通らなくてもバレないし?」

ブランド 「それも駄目だ。平民と違い貴族は、誰が王都に居るのか、いつ入り、いつ出ていったのか全て記録されて王宮に報告されているのだよ」

貴族とは、多大な魔力=強い武力を持つ者達である。治安維持の観点からも、平民よりも強く警戒するのは当然なのである。

ブランド 「受け入れる側の準備もあるしな。おかげで召喚された者はスムーズに王城へ入れる」

クレイ 「そうなんだ?」

ブランド 「王宮から召喚されているようなケースでは、城門の番兵にもその連絡が行っているのだ。そして城門を通った時点で、王宮へその旨の連絡が行く。そして、王宮側でも受け入れの準備をするわけだ。

だが、もし、城門から街へ入った報告がないのに王宮へ顔を出した者が居たらどうなる? 受け入れ準備ができていないのだから門を通っていないのはすぐにバレる。そして大問題となってしまうだろう。番兵のミスでないなら、門を通らずに王都に出入りしている者が居ると言う事になるからな」

王家の盾と呼ばれるヴァレット子爵家なので、そのような警備体制についてブランドもよく知っていたのである。(クレイはほとんど政には関わっていなかったのでそこまで詳しくは知らなかったのだが。)

結局、馬車で王都へと移動する事になった。ただ、クレイとルル・リリは馬車に乗らず、馬を借りて乗っていく事にした。

クレイは馬に乗るのが好きなのである。と言っても実家に居る頃が乗る機会がなく、冒険者になって初めて乗ったのだが。

この世界の馬車は乗り心地が悪く、長時間乗っているのは苦痛であったので、馬に乗って移動するほうがずっと楽なのだ。

領主の馬車は高級仕様なのでそれほど苦痛でもないのだが、今日は天気もよいし、暑くもなく寒くもなく心地よい陽気であるので、クレイは馬に乗りたかったのだ。

クレイは平民の冒険者であって、父や兄と違って貴族ではないのだから、貴族の馬車に乗るのはおかしいだろうと言われると、ブランドも反対できなかったのであった。

馬に乗りながら、暇なので、転移で移動しても良い上手い方法はないか考えてみるクレイ。

馬車に近づき並走しながら思いついたアイデアをブランドとワルドマに伝えてみる。(多少話しにくいが、少し大きめの声を出せば会話は成立する。)

クレイ 「例えば…どこか王都の近くに馬車ごと転移して、馬車で街に入るとか?」

ブランド 「人目につかず馬車ごと転移できる場所とはどこだ?」

クレイ 「ああ、ない、か…」

王都の周辺を思い出してみたクレイだが、王都の周囲は防衛のため、かなり遠くまで障害物がなく見通せるようになっているのである。

クレイ 「じゃぁ、馬車だけ先に行かせて、王城の手前でその馬車の中に転移で移動すれば…?」

ブランド 「その方法なら…可能だろう。だが、それだと馬車を先に行かせて待たせておく必要があるな」

ワルドマ 「それに転移するタイミングが難しいだろうな。入城待ちの混雑具合によるが、思ったより早く入城できてしまった場合、空のまま馬車だけ入城する事になってしまう。クレイが馬車に乗って先行し、ちょうどいいタイミングで俺たちを呼んでくれれば楽だが?」

クレイ 「……分かった! 今度、転移ゲートを装備した馬車を作ろう! 中に誰か乗せておいて、その馬車を目的の場所まで先に走らせておいて、ちょうど良いタイミングで呼んで貰えばいい」

ワルドマ 「馬車ごと盗賊に襲われたらどうする? 使用者登録しておけば盗賊がこちら側・・・・に来る事はないだろうが、転移ゲートを出たら盗賊のアジトだったなんて事になっても笑えないぞ」

クレイ 「そこは護衛をちゃんと用意して……」

ブランド 「何かあった時に、馬車の中が空だったとなると、護衛たちも混乱するだろうな。

…だが、今の案なら不可能ではない。今度試してみるか?」

ワルドマ 「父上、やめたほうがいいと思いますよ。転移ゲートの存在は隠しておいたほうがいいのですよね? それを馬車に乗せて運ばせるというのは、なんだか怖い気がします」

ブランド 「腕の立つ護衛をつける必要があるな」

ワルドマ 「それに、中に乗せておく者は、転移ゲートを使えるよう登録する必要がある。誰を任命する気ですか?」

ブランド 「なるほど確かに。担当させる者、そして護衛にも、しっかりと事情を理解させて運用したほうが良いだろうな。そのためにも、よほど信頼できる者でないといかん…人選が難しいか」

クレイ 「まぁ、ちょっと思いつきで言ってみただけ、すぐにそんな馬車を作る気もないし」

ブランド 「なんだ、そうなのか」

ちょっと残念そうなブランド。

クレイ 「ほら、王都の城壁が見えてきましたよ」

転移ゲート付き馬車については、退屈しのぎに話を振っただけである。まだ実物は存在せず、クレイが作らなければ話は進まないし、クレイもすぐに作る気もないのであった。






王都の城門(平民用)の前には入城待ちの長い馬車の列ができている。

その周囲には馬に乗った騎士達が十数人も巡回している。

入城希望者の中に不審な者が居ないか警戒しているというのもあるのだが、実は、入城待ちの馬車や旅人が待っている間に魔物に襲われないよう守るためというのも大きい。

ヴァレット子爵家の馬車はもちろん、平民用の列に並ぶ必要はないので貴族用の門へと向かう。(こちらは渋滞していない。)すると、巡回中の騎士が二人、馬車に近づいてきた。


しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...