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第三部 暗殺者編
第161話 褒美として?
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馬車に近寄ってきた騎士は、どうやらヴァレット家の護衛の騎士と顔見知りだったようで、先頭のヴァレット家の護衛騎士と並走しながら一言二言言葉を交わし、その後門のほうへと走って行った。
騎士が近づいてきたのを見て一瞬身構えたクレイとルル・リリであったが、そもそも、今日は王と関係の深いヴァレット家の紋章付きの馬車で来ているのだから、城門でトラブルになるようなテンプレ展開は起きようもないのである。
やがて門に到着したヴァレット家の馬車であるが、先程の騎士が既に来訪者について伝えており、面子の確認程度で細かいチェックを受ける事はなかった。
ヴァレット子爵家が王都では信用があるためだと兄がクレイに自慢気に言った。信用のない貴族の場合、もっと入念に持ち物検査までされる事もあるのだそうだ。
門番の騎士から伝言があると手紙を渡された。騎士は差出人を宰相だと言っていたが、中の手紙には王家の紋章がついていたので、王からの指示を宰相が代筆したのだろう。内容は、『いつでも構わない、アポを取る必要はないから王都に来たらすぐに登宮するように』というものであった。
どうやら王はクレイとできるだけ早く面会したいようだ。
とは言えさすがに今日はもう遅いので、今日はヴァレット家の屋敷に一泊し、翌朝一番に訪問すると返事を伝えてもらう事にした。
翌朝、朝食を済ませた後、馬車で王宮へ向かった。
王都の中心部には堀と城壁に囲まれた王城がある。その堀の手前に守衛所があり、不審者はそこで止められるのだが、ヴァレット家の紋章を見た門番は、止まらなくて良いと御者に合図をし、そのまま堀を渡り王城へと入る。どうやらヴァレット家の訪問について守衛所にもちゃんと連絡が行っているようだ。これは、王家がしっかり街を把握・管理している事の証明でもある。
そのまま、あれよあれよと謁見の間に通されたクレイ。父と兄は慣れているが、クレイ(とルル・リリ)にとっては初めての王宮、初めての国王謁見である。
とは言え、ダンジョン深層のボスと対峙する事に比べればそこまでの圧迫感はなかったので、クレイは多少の緊張感はあるものの、至って落ち着いていた。
■謁見の間
クレイとルル・リリが玉座の前で跪いて王を待つ。ブランドとワルドマは横に並ぶ立会貴族の位置に居る。
控えの間や執務室ではなく謁見の間という事は、これは正式な謁見と言う事である。
急な登宮であったためか、立会の貴族はほとんど居なかったが、護衛の騎士の数は多めであった。クレイは平民の冒険者という事になっているので警戒されるのは仕方がない事かもしれない。
そしてミトビーツ王が入室してきて玉座に座る。
王 「堅苦しくする必要はない、立つが良い」
立ち上がるクレイとルル・リリ。
王 「そのほうがクレイか? それから…?」
クレイ 「お目にかかれて光栄です、冒険者のクレイです。それから、一緒にダンジョンを攻略したルルとリリです」
ルル 「ルルだにゃ」
リリ 「リリですにゃ」
言葉遣いが微妙に無礼だが、猫獣人だから仕方がないのか? と判断が付かず宰相は微妙な顔をしていた。
王 「猫の獣人の奴隷か? 確か奴隷を率いてダンジョンを攻略したのだったな?」
それを聞いて周囲の騎士達の顔が少し曇る。奴隷が王に謁見するなど普通はありえない事だからである。
クレイ 「いえ、この二人はもう奴隷ではありません。ダンジョン攻略の功績と稼ぎを持って、奴隷からは解放されましたので」
王 「ほう、そうか。それはめでたい事であるな。そして此度のダンジョン完全踏破、誠に大義であった」
クレイ 「ありがとうございます」
王 「ダンジョンの管理については既にそこに居るヴァレット家に移譲していると聞いておる。今日は、此度の功績について、褒美を取らせたいと思って呼んだ」
クレイ 「褒美を頂くような事をしたとは思っていません。冒険者が勝手にやった事。また、ヴァレット家からも、ダンジョンの管理権限を移譲するに当たり、十分な対価を支払って頂いておりますので」
宰相 「貰えるものは貰っておくが良い。恩賜を断るというのも無礼に当たるのだぞ?」
クレイ 「……」
王 「褒美として何が良いか考えておったのだが……
…お主さえ良ければ、男爵の位と領地を与えたいと考えておる」
クレイ 「え゛」
それを聞いて、クレイは思わず嫌そうな顔をしてしまった。思わずブランドが声を上げる。
ブランド 「ミト王! それはしないという約束だったはずでは…!」
だが、王が手を上げてそれを制する。
王 「本人の希望を聞いてから、という話であったろう? クレイ、どうじゃ? 貴族になりたくはないか?」
本人の希望を聞いてという事は、どうやら断っても良さそうだと判断したクレイが答える。
クレイ 「…私は貴族になる事を望んではおりません」
宰相 「男爵となれば、領地の税収が入ってくるようになるぞ」
王 「それとは別に、国から年金として毎年金貨三千枚を支給するものとしよう。どうじゃ…?」
王 「不服か? では年金は五千枚に増額しよう」
クレイ 「…いえ、そういう意味では」
王 「では金貨七千~」
クレイ 「…いえ! ですからそういう意味ではありません!」
王 「なんじゃ?」
クレイ 「失礼いたしました。ただ、金額が不満だと言っているわけでは御座いません」
宰相 「ではなんだというのだ?」
騎士が近づいてきたのを見て一瞬身構えたクレイとルル・リリであったが、そもそも、今日は王と関係の深いヴァレット家の紋章付きの馬車で来ているのだから、城門でトラブルになるようなテンプレ展開は起きようもないのである。
やがて門に到着したヴァレット家の馬車であるが、先程の騎士が既に来訪者について伝えており、面子の確認程度で細かいチェックを受ける事はなかった。
ヴァレット子爵家が王都では信用があるためだと兄がクレイに自慢気に言った。信用のない貴族の場合、もっと入念に持ち物検査までされる事もあるのだそうだ。
門番の騎士から伝言があると手紙を渡された。騎士は差出人を宰相だと言っていたが、中の手紙には王家の紋章がついていたので、王からの指示を宰相が代筆したのだろう。内容は、『いつでも構わない、アポを取る必要はないから王都に来たらすぐに登宮するように』というものであった。
どうやら王はクレイとできるだけ早く面会したいようだ。
とは言えさすがに今日はもう遅いので、今日はヴァレット家の屋敷に一泊し、翌朝一番に訪問すると返事を伝えてもらう事にした。
翌朝、朝食を済ませた後、馬車で王宮へ向かった。
王都の中心部には堀と城壁に囲まれた王城がある。その堀の手前に守衛所があり、不審者はそこで止められるのだが、ヴァレット家の紋章を見た門番は、止まらなくて良いと御者に合図をし、そのまま堀を渡り王城へと入る。どうやらヴァレット家の訪問について守衛所にもちゃんと連絡が行っているようだ。これは、王家がしっかり街を把握・管理している事の証明でもある。
そのまま、あれよあれよと謁見の間に通されたクレイ。父と兄は慣れているが、クレイ(とルル・リリ)にとっては初めての王宮、初めての国王謁見である。
とは言え、ダンジョン深層のボスと対峙する事に比べればそこまでの圧迫感はなかったので、クレイは多少の緊張感はあるものの、至って落ち着いていた。
■謁見の間
クレイとルル・リリが玉座の前で跪いて王を待つ。ブランドとワルドマは横に並ぶ立会貴族の位置に居る。
控えの間や執務室ではなく謁見の間という事は、これは正式な謁見と言う事である。
急な登宮であったためか、立会の貴族はほとんど居なかったが、護衛の騎士の数は多めであった。クレイは平民の冒険者という事になっているので警戒されるのは仕方がない事かもしれない。
そしてミトビーツ王が入室してきて玉座に座る。
王 「堅苦しくする必要はない、立つが良い」
立ち上がるクレイとルル・リリ。
王 「そのほうがクレイか? それから…?」
クレイ 「お目にかかれて光栄です、冒険者のクレイです。それから、一緒にダンジョンを攻略したルルとリリです」
ルル 「ルルだにゃ」
リリ 「リリですにゃ」
言葉遣いが微妙に無礼だが、猫獣人だから仕方がないのか? と判断が付かず宰相は微妙な顔をしていた。
王 「猫の獣人の奴隷か? 確か奴隷を率いてダンジョンを攻略したのだったな?」
それを聞いて周囲の騎士達の顔が少し曇る。奴隷が王に謁見するなど普通はありえない事だからである。
クレイ 「いえ、この二人はもう奴隷ではありません。ダンジョン攻略の功績と稼ぎを持って、奴隷からは解放されましたので」
王 「ほう、そうか。それはめでたい事であるな。そして此度のダンジョン完全踏破、誠に大義であった」
クレイ 「ありがとうございます」
王 「ダンジョンの管理については既にそこに居るヴァレット家に移譲していると聞いておる。今日は、此度の功績について、褒美を取らせたいと思って呼んだ」
クレイ 「褒美を頂くような事をしたとは思っていません。冒険者が勝手にやった事。また、ヴァレット家からも、ダンジョンの管理権限を移譲するに当たり、十分な対価を支払って頂いておりますので」
宰相 「貰えるものは貰っておくが良い。恩賜を断るというのも無礼に当たるのだぞ?」
クレイ 「……」
王 「褒美として何が良いか考えておったのだが……
…お主さえ良ければ、男爵の位と領地を与えたいと考えておる」
クレイ 「え゛」
それを聞いて、クレイは思わず嫌そうな顔をしてしまった。思わずブランドが声を上げる。
ブランド 「ミト王! それはしないという約束だったはずでは…!」
だが、王が手を上げてそれを制する。
王 「本人の希望を聞いてから、という話であったろう? クレイ、どうじゃ? 貴族になりたくはないか?」
本人の希望を聞いてという事は、どうやら断っても良さそうだと判断したクレイが答える。
クレイ 「…私は貴族になる事を望んではおりません」
宰相 「男爵となれば、領地の税収が入ってくるようになるぞ」
王 「それとは別に、国から年金として毎年金貨三千枚を支給するものとしよう。どうじゃ…?」
王 「不服か? では年金は五千枚に増額しよう」
クレイ 「…いえ、そういう意味では」
王 「では金貨七千~」
クレイ 「…いえ! ですからそういう意味ではありません!」
王 「なんじゃ?」
クレイ 「失礼いたしました。ただ、金額が不満だと言っているわけでは御座いません」
宰相 「ではなんだというのだ?」
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