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序章(プロローグ)
第64話 滅びますよ?
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国王「それは聞けん相談だなぁ。獣人はこの国の大切な財産だからな」
賢者「おや? 貴国では、獣人は忌避され虐げられていると聞く。ならば獣人の一人くらい、引き渡しても問題なかろう?」
国王「たしかに獣人などこの国ではゴミ同然の扱いとはなっているがな。だが、ゴミでも我が国のモノだ。ましてや、敵対する帝国が欲しがっているとなれば渡したくなくなるというものだ」
帝国の宰相「敵対…? 敵対した憶えはないのですが…?」
国王「おいサイジラ、我が国と帝国はそんなに親しい間柄であったか?」
サイジラ「国交もほとんどないですし…そうですな、表立った紛争はないものの、静的な敵対関係に近い状態と言って良いかと」
帝国の宰相「まぁ、あまり活発に交流してこなかったのは事実ですが、特に嫌っていたというわけでもないのですがね…」
国王「周辺の国を次々併合し巨大帝国を築いてきたワレリアが、ずっとマニブールを放置してきたのは、単に帝国にとって価値がないと判断していたからだろうが…」
ブライナスは肩を竦めた。
ブライナス「その関係を、改善するチャンスとは考えられませんか?」
国王「必要ない。用がそれだけなら帰れ」
ブライナス「コレトラ王―――」
メイヴィス「ブライナス、もういい」
メイヴィス「コレトラ王。私は駆け引きなど苦手でしてな。はっきり言いましょう。我々は、警告に来たのです」
サイジラ「けっ、警告? …とは一体?!」
国王「おや、帝国が本性を顕してきたか? 外交の正規ルートも使わずに転移魔法まで使って強行軍で押しかけてきた理由はなんだ? 何を焦っている?」
メイヴィス「焦るのはこの国のほうであると思うぞ?」
国王「脅しか? 帝国に従わなければ滅ぼすとでも?」
メイヴィス「国の存亡に関わる話であるのは間違いない。ただ、この国の脅威は帝国ではない」
コレトラ「?」
ブライナス「現在、とある獣人とこの国は戦争状態に突入しつつある…。そうですね?」
サイジラ「まさか…ワッツローブに現れたという猫人の事か?!」
メイヴィス「思い当たる事があるようですな?」
国王「余計なことを言うな」
メイヴィス「この国の外れの街、ワッツローヴで、一人の獣人によって騎士団が壊滅させられた」
サイジラ「なぜそれを…」
メイヴィス「実は、我が国の予言者が、このマニブールに我が国にとって価値のある存在となる【賢者】が出現すると予知いたしましてな。密かに調査員を派遣して捜索していたのじゃ」
サイジラ「調査員? スパイを送り込んだのか」
ブライナス「いえいえ、そんな大袈裟なものではないです、ただの観光客ですよ」
国王「…仮にその予知とやらが本当であったとして。そのような価値のある人材ならば、なおさら帝国に渡すわけがなかろうが」
ブライナス「その賢者が獣人であっても? あなたは獣人がお嫌いなのでしょう?」
国王「……」
メイヴィス「この国は…いや、コレトラ王は、獣人を大変嫌っているのは有名な話じゃ。仮に獣人から【賢者】が出現したとなっても、その人材を有効に活用できんじゃろう?
我が国の予言者の予知でも、その【賢者】はこの国には害悪しか齎さないだろうと言っておる」
ブライナス「既に、大きな被害を受けてしまっている、そうですよね?」
国王「…もし仮に。獣人の賢者などという者が現れたなら…
…全力で消す!」
メイヴィス「やめておきなさい。その獣人と事を構えれば、この国が失くなる、予言にはそう出ておる。だから警告にきてやったのじゃ。素直に受け入れ、敵対をやめ獣人の賢者を我が国に引き渡せば、この国はまだしばらく存続できるじゃろう」
国王「はっはっはっ!」
突然笑い出すコレトラ王に少し驚くメイヴィスとブライナス。
国王「獣人が賢者になるなどと!? ありえんわ! ワッツローヴの件については既に討伐命令を出し、軍隊を差し向けてある。じきに討伐完了の報告が来るはずだ」
メイヴィス「…国が滅びますよ?」
国王「そうはならんさ。それとも、帝国が攻め込んで滅ぼすとでも?」
ブライナス「……必要だと判断されれば…そのような事も選択肢の中にある事は否定しませんがね」
国王「そこまでして欲しいのか、その獣人が? それならばなおの事、先に潰してやる」
国王「二人共、せっかく来たのだ、結果を見届けて行くがよい。その上で改めて、今後の国交について話し合おうではないか」
国王「サイジラ、客室へご案内して差し上げろ」
賢者「おや? 貴国では、獣人は忌避され虐げられていると聞く。ならば獣人の一人くらい、引き渡しても問題なかろう?」
国王「たしかに獣人などこの国ではゴミ同然の扱いとはなっているがな。だが、ゴミでも我が国のモノだ。ましてや、敵対する帝国が欲しがっているとなれば渡したくなくなるというものだ」
帝国の宰相「敵対…? 敵対した憶えはないのですが…?」
国王「おいサイジラ、我が国と帝国はそんなに親しい間柄であったか?」
サイジラ「国交もほとんどないですし…そうですな、表立った紛争はないものの、静的な敵対関係に近い状態と言って良いかと」
帝国の宰相「まぁ、あまり活発に交流してこなかったのは事実ですが、特に嫌っていたというわけでもないのですがね…」
国王「周辺の国を次々併合し巨大帝国を築いてきたワレリアが、ずっとマニブールを放置してきたのは、単に帝国にとって価値がないと判断していたからだろうが…」
ブライナスは肩を竦めた。
ブライナス「その関係を、改善するチャンスとは考えられませんか?」
国王「必要ない。用がそれだけなら帰れ」
ブライナス「コレトラ王―――」
メイヴィス「ブライナス、もういい」
メイヴィス「コレトラ王。私は駆け引きなど苦手でしてな。はっきり言いましょう。我々は、警告に来たのです」
サイジラ「けっ、警告? …とは一体?!」
国王「おや、帝国が本性を顕してきたか? 外交の正規ルートも使わずに転移魔法まで使って強行軍で押しかけてきた理由はなんだ? 何を焦っている?」
メイヴィス「焦るのはこの国のほうであると思うぞ?」
国王「脅しか? 帝国に従わなければ滅ぼすとでも?」
メイヴィス「国の存亡に関わる話であるのは間違いない。ただ、この国の脅威は帝国ではない」
コレトラ「?」
ブライナス「現在、とある獣人とこの国は戦争状態に突入しつつある…。そうですね?」
サイジラ「まさか…ワッツローブに現れたという猫人の事か?!」
メイヴィス「思い当たる事があるようですな?」
国王「余計なことを言うな」
メイヴィス「この国の外れの街、ワッツローヴで、一人の獣人によって騎士団が壊滅させられた」
サイジラ「なぜそれを…」
メイヴィス「実は、我が国の予言者が、このマニブールに我が国にとって価値のある存在となる【賢者】が出現すると予知いたしましてな。密かに調査員を派遣して捜索していたのじゃ」
サイジラ「調査員? スパイを送り込んだのか」
ブライナス「いえいえ、そんな大袈裟なものではないです、ただの観光客ですよ」
国王「…仮にその予知とやらが本当であったとして。そのような価値のある人材ならば、なおさら帝国に渡すわけがなかろうが」
ブライナス「その賢者が獣人であっても? あなたは獣人がお嫌いなのでしょう?」
国王「……」
メイヴィス「この国は…いや、コレトラ王は、獣人を大変嫌っているのは有名な話じゃ。仮に獣人から【賢者】が出現したとなっても、その人材を有効に活用できんじゃろう?
我が国の予言者の予知でも、その【賢者】はこの国には害悪しか齎さないだろうと言っておる」
ブライナス「既に、大きな被害を受けてしまっている、そうですよね?」
国王「…もし仮に。獣人の賢者などという者が現れたなら…
…全力で消す!」
メイヴィス「やめておきなさい。その獣人と事を構えれば、この国が失くなる、予言にはそう出ておる。だから警告にきてやったのじゃ。素直に受け入れ、敵対をやめ獣人の賢者を我が国に引き渡せば、この国はまだしばらく存続できるじゃろう」
国王「はっはっはっ!」
突然笑い出すコレトラ王に少し驚くメイヴィスとブライナス。
国王「獣人が賢者になるなどと!? ありえんわ! ワッツローヴの件については既に討伐命令を出し、軍隊を差し向けてある。じきに討伐完了の報告が来るはずだ」
メイヴィス「…国が滅びますよ?」
国王「そうはならんさ。それとも、帝国が攻め込んで滅ぼすとでも?」
ブライナス「……必要だと判断されれば…そのような事も選択肢の中にある事は否定しませんがね」
国王「そこまでして欲しいのか、その獣人が? それならばなおの事、先に潰してやる」
国王「二人共、せっかく来たのだ、結果を見届けて行くがよい。その上で改めて、今後の国交について話し合おうではないか」
国王「サイジラ、客室へご案内して差し上げろ」
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