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本編
10 王子様と一緒に採寸しちゃいました
昼下がり、テーラーサロンの代表ティアナ・ロバーツが弟子を連れて登城した。ティアナ・ロバーツと言えば国内外で活躍する有名デザイナーで、数年先まで予約は取れないと言われている売れっ子だ。それを知っていてレオナルドは『王家御用達にしてやるから来い!報酬は言い値で払う』と昨日今日で強引に呼び出したのである。
ところが朝食時にマリアベルからレオナルドは先制攻撃を受けてしまう。彼女は『私は華美なドレスを必要とはいたしておりません』と、オーダードレスを注文することに対して、必要ないのでお断りしたいと申し出たのである。
ティアナ・ロバーツを強引に呼び出した手前、マリアベルに断られそうになったレオナルドは内心焦った。そこで『王族としての最低限の身嗜みはして欲しい』とマリアベルが断りづらい言い方でレオナルドは説得を試みる。彼の正論に言い返す言葉が見つからなかったマリアベルは仕方なく折れるしかなかった。
レオナルドがマリアベルのために呼んだ有名デザイナーは果たして、彼女に受け入れられるのだろうか?
ーーーーーーーーーー
マリアベルは今、滞在している建物の二階フロアの部屋にいる。ここで採寸をするということで、アリーに連れて来られたのだ。室内は広めの応接室で、内ドアを開けば続きの間にも行けるようになっている。
程なく、テーラーサロンのご一行が到着した。
「初めまして、マリアベル様。わたくしはティアナ・ロバーツと申します。王都でテーラーを経営しております。この度はお声を掛けて下さりありがとうございます」
ロバーツは挨拶を言い終わると深々と礼をした。
「初めまして、ロバーツさん。私はモディアーノ公爵家のマリアベルです。本日は急にお呼び立てしてすみません。少し必要なものがあるのでお願いしたいのですが」
(挨拶はこれで大丈夫かしら?アリーに言われて“様呼び”は止めたけれど、年上の方への“さん呼び”は逆に緊張してしまうわ)
マリアベルが挨拶を言い終えると、侍女のアリーが一歩前へ出た。
「ロバーツ女史、わたくしはマリアベル様の専属侍女アリーと申します。今回、必要となる衣装のリストはこちらです」
アリーは書類をロバーツへ渡した。ロバーツは、受け取った書類にさっと目を通し、顔を上げる。
「マリアベル様、早速、採寸に入らせていただきたいのですが、宜しいでしょうか?」
「はい、宜しくお願いします」
「それから、アリーさんは殿下を呼んで来ていただけますか?」
(殿下を呼ぶ?何故に!?)
「はい、かしこまりました。では、わたくしは殿下を呼んで参ります。代わりに廊下で控えている侍女セレナを部屋に置いて行きますので、何かありましたらお申しつけ下さい」
「ええ、分かったわ。気を付けていってらっしゃい」
「はい」
アリーは皆に一礼してから出て行った。代わって侍女セレナが一礼して部屋へ入って来る。セレナは皆の邪魔にならないように壁沿いへ立った。
「では、マリアベル様の採寸を始めます。まずはこちらへお着替えを」
ロバーツは紺色のスリップドレスをマリアベルに手渡した。サラサラと薄い生地で出来ている。
(コレ、こんなに薄いけど、大丈夫かしら・・・)
「これを一枚だけ着てください。透けないように加工を施してありますのでご心配なく!」
ロバーツは不安そうな表情のマリアベルにウインクして見せた。マリアベルはホッとして笑顔を浮かべる。
「まあ!まあ!!素敵な笑顔でございますね。イメージが膨らんで参りましたわ!!」
ロバーツはそう言うと懐から手のひらサイズの手帳を取り出して、さらさらとペンを滑らせる。マリアベルは彼女がそこへ何を書き込んだのかが気になり、是非彼女の手帳を見たいと思った。とそのタイミングで、壁際にいたセレナからマリアベルは急かされる。
「マリアベル様、お着替えをいたしましょう」
「ええ」
彼女はテキパキとマリアベルを続きの間へ誘導した。
(チラッとか見えなかったわ。何を書いているのか、もう少し見たかった・・・)
今着ているワンピースを脱いで、紺色のスリップドレスを纏う。お手伝いはセレナがしてくれる。着替えは直ぐに終わり、元の部屋へと戻った。
「お帰りなさい。では、採寸スタートぉー!!」
ロバーツがスタートを告げると、彼女の後ろに控えていた弟子たち三人が、素早く前に出て来て、マリアベルを取り囲んだ。三人のうちの二人がメジャーを持ち、体のパーツを計る。それを記録係の一人がノートへと書き込んで行く。
横を向いてくださいと言われたり、腰掛けて下さいと椅子に座らされたり、“こんなポーズは必要なの?“と、マリアベルが疑いたくなるポーズもさせられた。マリアベルが怪訝な表情を浮かべる度、ロバーツが、“それは何のために計っているのか“という解説をしてくれる。
「それは儀式用のドレスで跪く際、裾の広がりをどれくらいにするのかという目安にしますので」
(なるほど、それで膝をつかせたのね)
「分かりました」
マリアベルは、一つ一つに必ず返答をする。ロバーツとその弟子たちは、未来のお妃様の穏やかな口調と所作に人柄の良さを感じていた。
コンコンとノックの音が響く。
「殿下をお連れしました」
アリーとレオナルドが部屋へ入って来た。
「遅くなってすまない。ロバーツ殿、今回は無理を言って済まなかった。よろしく頼む」
あのレオナルドからお詫びの言葉が貰えるなどとは思っていなかったロバーツは、一瞬、固まってしまったが直ぐにその理由が分かった。レオナルドの言葉に合わせてマリアベルが大きく頷いていたからである。
恐らく、レオナルドはマリアベルには相談せずにロバーツを呼んだのだろう。そして、未来のお妃さまはそういうことを好まないタイプだ。この業界にいると様々な人間と出会う。ロバーツは人を見る目には自信があった。ロバーツは心の中で『この方は当たりですよ、殿下』と呟く。
「はい、殿下。どうぞお任せくださいませ。では、早速ですが、お二人で並んで立っていただけますか?」
ロバーツが、マリアベルの横を指差し、レオナルドはマリアベルの方へ近づく。。
「マ、マリアベル・・・」
レオナルドはマリアベルの名前を囁くと、サッと視線を大きく逸らした。
「殿下、お疲れ様です。どうかされましたか」
マリアベルはレオナルドの顔をワザと覗き込んだ。
「いや、目のやり場が・・・」
小さな声でレオナルドはマリアベルに言った。マリアベルは自分がスリップドレスしか着ていないことを思い出し、絶句する。
(あああ!!!すっかり忘れていたわ)
「はいはい、照れるのは後にしてくださいね。では、計りますよ」
ふたりがモジモジしている様子を横目に、ロバーツは採寸開始の掛け声を上げる。三人の弟子たちは、一斉にメジャーで計測を始めた。
「これはお二人が揃って立った時に、お洋服の飾りの位置を調整するための採寸です。殿下の肩飾りが、マリアベル様のお顔に当たってしまったりしたら大変ですからね」
「そんなに細かなところまで考えて、お洋服を作られるのですね」
恥ずかしがっていた気持ちは段々と薄れていく。何故なら、ロバーツは衣装を作るうえで工夫を施している箇所やこだわりなどをサラサラと話し、マリアベルの好奇心を掴んだからである。レオナルドはどっしりと構え、その様子を眺めていた。
「ええ、お二人用と言えば同じ色、同じボタンでお洋服を作るのが定番ですが、ふたりで一つの作品になるように作るのが、私のこだわりです。時には、お二人の衣装の色もデザインも変えて、でも完成するときちんと一揃いに見えるように仕上げることもあります。どんな条件でも、ご期待以上になるよう頑張りますわ!!」
ロバーツは力こぶを作って見せる。マリアベルはドレスをオーダーすると聞いて、浪費のことばかり考えていたことを恥ずかしく思った。ロバーツのように信念をもって商売をしている人がいる。無駄か無駄に成らないか、何が必要か必要でないかは、実際に見聞きをした上で、見定められるようにならないとダメだとマリアベルは痛感した。
「殿下、ロバーツさんに会わせてくれてありがとうございます。私は何かを選んで買うということを学びたいと思いました」
マリアベルはレオナルドの耳元に囁く。レオナルドはそれを聞き、改めてマリアベルの素直さに好感を持った。
「ああ、学びたいと思うことに必要なものは俺が揃えてやる。遠慮はいらない」
「ありがとうございます。近々、流通とお金の話をしてくれる先生を呼んでください」
「ああ、分かった」
ロバーツに「真っ直ぐ立っていてくださいね」と釘を刺されたマリアベルとレオナルドは互いを見詰め合いながら笑った。部屋の中には穏やかな空気が流れる。作業をしていた弟子たちも二人の仲睦まじい様子に顔が緩むのだった。
ところが朝食時にマリアベルからレオナルドは先制攻撃を受けてしまう。彼女は『私は華美なドレスを必要とはいたしておりません』と、オーダードレスを注文することに対して、必要ないのでお断りしたいと申し出たのである。
ティアナ・ロバーツを強引に呼び出した手前、マリアベルに断られそうになったレオナルドは内心焦った。そこで『王族としての最低限の身嗜みはして欲しい』とマリアベルが断りづらい言い方でレオナルドは説得を試みる。彼の正論に言い返す言葉が見つからなかったマリアベルは仕方なく折れるしかなかった。
レオナルドがマリアベルのために呼んだ有名デザイナーは果たして、彼女に受け入れられるのだろうか?
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マリアベルは今、滞在している建物の二階フロアの部屋にいる。ここで採寸をするということで、アリーに連れて来られたのだ。室内は広めの応接室で、内ドアを開けば続きの間にも行けるようになっている。
程なく、テーラーサロンのご一行が到着した。
「初めまして、マリアベル様。わたくしはティアナ・ロバーツと申します。王都でテーラーを経営しております。この度はお声を掛けて下さりありがとうございます」
ロバーツは挨拶を言い終わると深々と礼をした。
「初めまして、ロバーツさん。私はモディアーノ公爵家のマリアベルです。本日は急にお呼び立てしてすみません。少し必要なものがあるのでお願いしたいのですが」
(挨拶はこれで大丈夫かしら?アリーに言われて“様呼び”は止めたけれど、年上の方への“さん呼び”は逆に緊張してしまうわ)
マリアベルが挨拶を言い終えると、侍女のアリーが一歩前へ出た。
「ロバーツ女史、わたくしはマリアベル様の専属侍女アリーと申します。今回、必要となる衣装のリストはこちらです」
アリーは書類をロバーツへ渡した。ロバーツは、受け取った書類にさっと目を通し、顔を上げる。
「マリアベル様、早速、採寸に入らせていただきたいのですが、宜しいでしょうか?」
「はい、宜しくお願いします」
「それから、アリーさんは殿下を呼んで来ていただけますか?」
(殿下を呼ぶ?何故に!?)
「はい、かしこまりました。では、わたくしは殿下を呼んで参ります。代わりに廊下で控えている侍女セレナを部屋に置いて行きますので、何かありましたらお申しつけ下さい」
「ええ、分かったわ。気を付けていってらっしゃい」
「はい」
アリーは皆に一礼してから出て行った。代わって侍女セレナが一礼して部屋へ入って来る。セレナは皆の邪魔にならないように壁沿いへ立った。
「では、マリアベル様の採寸を始めます。まずはこちらへお着替えを」
ロバーツは紺色のスリップドレスをマリアベルに手渡した。サラサラと薄い生地で出来ている。
(コレ、こんなに薄いけど、大丈夫かしら・・・)
「これを一枚だけ着てください。透けないように加工を施してありますのでご心配なく!」
ロバーツは不安そうな表情のマリアベルにウインクして見せた。マリアベルはホッとして笑顔を浮かべる。
「まあ!まあ!!素敵な笑顔でございますね。イメージが膨らんで参りましたわ!!」
ロバーツはそう言うと懐から手のひらサイズの手帳を取り出して、さらさらとペンを滑らせる。マリアベルは彼女がそこへ何を書き込んだのかが気になり、是非彼女の手帳を見たいと思った。とそのタイミングで、壁際にいたセレナからマリアベルは急かされる。
「マリアベル様、お着替えをいたしましょう」
「ええ」
彼女はテキパキとマリアベルを続きの間へ誘導した。
(チラッとか見えなかったわ。何を書いているのか、もう少し見たかった・・・)
今着ているワンピースを脱いで、紺色のスリップドレスを纏う。お手伝いはセレナがしてくれる。着替えは直ぐに終わり、元の部屋へと戻った。
「お帰りなさい。では、採寸スタートぉー!!」
ロバーツがスタートを告げると、彼女の後ろに控えていた弟子たち三人が、素早く前に出て来て、マリアベルを取り囲んだ。三人のうちの二人がメジャーを持ち、体のパーツを計る。それを記録係の一人がノートへと書き込んで行く。
横を向いてくださいと言われたり、腰掛けて下さいと椅子に座らされたり、“こんなポーズは必要なの?“と、マリアベルが疑いたくなるポーズもさせられた。マリアベルが怪訝な表情を浮かべる度、ロバーツが、“それは何のために計っているのか“という解説をしてくれる。
「それは儀式用のドレスで跪く際、裾の広がりをどれくらいにするのかという目安にしますので」
(なるほど、それで膝をつかせたのね)
「分かりました」
マリアベルは、一つ一つに必ず返答をする。ロバーツとその弟子たちは、未来のお妃様の穏やかな口調と所作に人柄の良さを感じていた。
コンコンとノックの音が響く。
「殿下をお連れしました」
アリーとレオナルドが部屋へ入って来た。
「遅くなってすまない。ロバーツ殿、今回は無理を言って済まなかった。よろしく頼む」
あのレオナルドからお詫びの言葉が貰えるなどとは思っていなかったロバーツは、一瞬、固まってしまったが直ぐにその理由が分かった。レオナルドの言葉に合わせてマリアベルが大きく頷いていたからである。
恐らく、レオナルドはマリアベルには相談せずにロバーツを呼んだのだろう。そして、未来のお妃さまはそういうことを好まないタイプだ。この業界にいると様々な人間と出会う。ロバーツは人を見る目には自信があった。ロバーツは心の中で『この方は当たりですよ、殿下』と呟く。
「はい、殿下。どうぞお任せくださいませ。では、早速ですが、お二人で並んで立っていただけますか?」
ロバーツが、マリアベルの横を指差し、レオナルドはマリアベルの方へ近づく。。
「マ、マリアベル・・・」
レオナルドはマリアベルの名前を囁くと、サッと視線を大きく逸らした。
「殿下、お疲れ様です。どうかされましたか」
マリアベルはレオナルドの顔をワザと覗き込んだ。
「いや、目のやり場が・・・」
小さな声でレオナルドはマリアベルに言った。マリアベルは自分がスリップドレスしか着ていないことを思い出し、絶句する。
(あああ!!!すっかり忘れていたわ)
「はいはい、照れるのは後にしてくださいね。では、計りますよ」
ふたりがモジモジしている様子を横目に、ロバーツは採寸開始の掛け声を上げる。三人の弟子たちは、一斉にメジャーで計測を始めた。
「これはお二人が揃って立った時に、お洋服の飾りの位置を調整するための採寸です。殿下の肩飾りが、マリアベル様のお顔に当たってしまったりしたら大変ですからね」
「そんなに細かなところまで考えて、お洋服を作られるのですね」
恥ずかしがっていた気持ちは段々と薄れていく。何故なら、ロバーツは衣装を作るうえで工夫を施している箇所やこだわりなどをサラサラと話し、マリアベルの好奇心を掴んだからである。レオナルドはどっしりと構え、その様子を眺めていた。
「ええ、お二人用と言えば同じ色、同じボタンでお洋服を作るのが定番ですが、ふたりで一つの作品になるように作るのが、私のこだわりです。時には、お二人の衣装の色もデザインも変えて、でも完成するときちんと一揃いに見えるように仕上げることもあります。どんな条件でも、ご期待以上になるよう頑張りますわ!!」
ロバーツは力こぶを作って見せる。マリアベルはドレスをオーダーすると聞いて、浪費のことばかり考えていたことを恥ずかしく思った。ロバーツのように信念をもって商売をしている人がいる。無駄か無駄に成らないか、何が必要か必要でないかは、実際に見聞きをした上で、見定められるようにならないとダメだとマリアベルは痛感した。
「殿下、ロバーツさんに会わせてくれてありがとうございます。私は何かを選んで買うということを学びたいと思いました」
マリアベルはレオナルドの耳元に囁く。レオナルドはそれを聞き、改めてマリアベルの素直さに好感を持った。
「ああ、学びたいと思うことに必要なものは俺が揃えてやる。遠慮はいらない」
「ありがとうございます。近々、流通とお金の話をしてくれる先生を呼んでください」
「ああ、分かった」
ロバーツに「真っ直ぐ立っていてくださいね」と釘を刺されたマリアベルとレオナルドは互いを見詰め合いながら笑った。部屋の中には穏やかな空気が流れる。作業をしていた弟子たちも二人の仲睦まじい様子に顔が緩むのだった。
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