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本編
4 切れ者王子に押されています
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楽しい時間は瞬く間に終わり、フレドリックは皇宮へ戻った。今日はこの後、カーブス商団の団長が彼を尋ねて来る予定になっているからだ。
――――――
団長ライルは謁見室ではなく応接室へ通され、フレドリックを待っていた。
「待たせた。ライル、元気そうだな」
少し遅れて、フレドリックが姿を現す。
「そう見える?これでも結構、無理して来たんだよ。先週までベイト王国の砂漠にいたんだ。急に呼びつけるのは止めて欲しいよ」
フレドリックとライルは肘と肘を打ち当てる。二人の挨拶は昔からこのスタイルだった。
彼らが知り合ったのは十年前。ガルシア王国の王女の生誕祭だった。それは生誕祭という名の通り、ライルの妹である第二王女カシアの八歳の誕生日を祝う会である。
ライルの本当の身分は商団の団長ではなく、ガルシア王国の第三王子。そして、第二王女の生誕祭に何故、フレドリックが招かれたのかと言うと・・・。
ガルシアの国王が彼に第二王女カシアを嫁がせようと目論んでいたからである。何も難しくない。ただの政略結婚狙いである。
フレドリックとライルが初めて会った時、先に話しかけて来たのはライルだった。
「どうする?君、早く断らないと僕の妹を押し付けられるよ?」
公式な場で挨拶もせず、本題を語り始めるライルに、フレドリックは驚いた。
「―――――え?」
「え?じゃなくて、僕の妹はとてもお勧め出来ないから、止めておいた方がいいよ。取り巻きが悪すぎるんだ。君の国に迷惑を掛けると思う」
真面目な顔でアドバイスをして来るライルに、怪訝な表情を浮かべるフレドリック。この王子は何なんだ?と警戒し、何か裏があるのではないかと疑ったのである。
しかし、それは杞憂だった。帰国後、独自のルートで探ると第二王女カシアの周りに居るのは、確かに国を傾けそうな集団だと言うことが分かったからである。ちなみに、第二王女カシアの実兄が第二王子ゼーランスなのだとか。今回、我が国に余計なことを仕掛けて来た張本人である。
一年前、フレドリックが皇帝に即位してから、ガルシア王国の第二王子ゼーランスが主導したスパイ行為を幾度となく摘発した。執拗な犯行に業を煮やしたフレドリックがガルシア王国の国王へ直接、苦情を申し入れ、隣国との揉め事を好まない国王はお詫びの言葉と共に、第三王子ライルを両国の連絡役及び、調整役として差し出して来たというわけである。
要はガルシア王国の国王は自身の息子である第二王子ゼーランスを見捨てたのだ。彼の手足となっている人員は国王の管理下に置かれ、何をどうしたのかは速やかにフレドリックへ報告される。
そして今回、ライルの持って来た情報で、皇宮にスパイを招き入れた貴族たちを一斉に摘発した。ただ、第二王子ゼーランスが何を狙って、カミーユ・ロードス帝国に手を出していたのかという点は、今一つハッキリしていない。
「ゼーランスはね、とうとう王宮内の一室に軟禁されることになったよ。他国に余計なことばかりして、本国を潰しそうだからね」
「その言い振りだと他の国にも、手出しをしていたということか?」
「ああ、そうだ。聞きたいなら詳しく話すけど?」
「いや、聞きたくない」
キッパリと断るフレドリックにライルは苦笑する。壁に控えているミュゼは、二人の会話を黙って聞いていた。
「で、ご迷惑をかけた賠償について父上が一度、君と話し合いたいと言っているんだけど、スケジュールはどう?」
「ああ、日程なら、ミュゼと詰めてくれ」
「分かった。それと、今回の本題というか、事前打診なのだけど・・・。父上が第二王女カシアを今回のお詫びとして、君に差し出したいと言っているんだ。賠償金だけではなく、人質を送りたいってことだよ。妃にしても良いし、気に入らないなら軟禁してもらっても構わない」
国王としては人質を送るから、今後も友好国としてよろしくお願いしますということなのだろう。また、第二王女を人質に取れば、兄である第二王子ゼーランスの取り巻きも手が出せなくなるという意味があるのかも知れない。
「――――要らん。人質など、面倒くさいだけだ!それにカシア王女との縁談は過去にキッパリ断ったはずだ」
「ふうん?もしかして、誰かいい人でも居るの?」
ライルは楽しそうに尋ねた。いつものフレドリックなら、女性に関することは適当に聞き流して終わりにする話題だったからである。しかし、フレドリックは不機嫌な声でこう答えた。
「お前の国のせいで、俺はこの一年間、仕事に忙殺された。これが答えだ!!」
「ああ、それは本当にごめん。うーん、そうか。忙しかったかぁ、僕の読み違えだったね」
ライルは髪をかき上げる。窓から降り注ぐ陽の光を浴びて、彼の金色の髪はキラキラと煌めいた。
『誰かいい人』と聞かれた時、フレドリックの脳裏にふとセレスの顔が思い浮かんだ。しかし、彼女とは友人なだけで、恋人でも何でもない。――――そう考えると、胸の中にモヤモヤと複雑な想いが広がった。
「あー、そうそう!!恋バナしてもいい?」
「コイバナ?」と、フレドリックは首を傾げる。
良く分かっていなさそうなフレドリックに、ライルは恋バナについて説明した。恋バナとは恋愛に関するおしゃべりのことだと。そして、今、カイルには気になっている人が居るらしい。
「僕が国を行き来する時、怪しまれないように商団を装っているのは知っているよね。それで毎回、商売の願掛けをするために、この国の大聖堂へ寄るんだけど、そこに居る・・・」
「ちょっと待て!何故、お前が我が国の大聖堂に?!ライル、ベリル教団と親しいのか?」
フレドリックはベリル教団の不正に関する調査をしていることは伏せて、ライルの知っていることを聞き出そうと前のめりで質問をした。しかし、これが大きな誤解を呼ぶ。
「えー、もしかして、フレドリックも大聖女様狙いなの?あの子、滅茶苦茶美人だよね。優しいし、癒しの力も半端ないし・・・」
大聖女が美人???
フレドリックは大聖女と対面したことが無かった。なので当然、面識はない。何よりも大聖堂ことベリル教団は皇家とこの国の権力を二分するほどの力を持っており、扱いづらいの一言。そのため、互いに干渉しないという状態がカミーユ・ロードス帝国になってから百年も続いている。その前のロードス王国時代はもう少し仲良くしていたらしいのだが・・・。
「フレドリック、大聖女様に僕が求婚してもいいかな?」
「求婚だと?何を言い出すかと思ったら、ライル・・・。己の身分を忘れたのか?王子が勝手に結婚相手を選んでいいはずが無いだろう!お前の父親の代わりにわざわざ俺が説明しないといけないのか?」
「そんな冷たい言い方をしなくてもいいじゃないか~。それにいいタイミングなんだよ。彼女、大聖堂から出たいみたいだからさー」
「――――出たいと言ったのですか!?」
突然、ミュゼが会話に割り込んで来たので、ライルは驚く。
「ミュゼが発言するなんて、珍しいね。そう、大聖女様から僕は相談されたんだ。どうしたら、ここを辞められますか?って。だから、結婚したらいいと思うってアドバイスをしておいたよ」
「大聖女が結婚だと!?俺の記憶が確かなら、過去にそんな例はない。お前・・・、何でそんな適当なアドバイスをしたんだ!!」
レオナルドは軽口ばかり叩くライルをキッとに睨む。
ミュゼは黙ったまま、不正を取り沙汰しているベリル教団を大聖女が辞めたいと言っているのなら、どうにか彼女をこちらへ取り込んで、内部の告発が出来ないだろうかと考え始めていた。
「過去に例がないなら、これから作ればいいだけだよ。大聖女様に会うにはそこそこのお金が必要なんだ。で、そんな彼女と結婚したいのなら、ベリル教団に莫大なお金を払える男じゃないと無理だろう?――――そんなの僕しかいないよね~」
睨みの効果も無く、ライルは楽しそうに大聖女との結婚を語っている。フレドリックは頭痛がして来た。ガルシア王国の王子たちは本当にロクなのがいないと・・・。
―――――
浮かれているライルに今朝方の取り調べで新たに発覚した情報を記した書類を持たせ、サッサと皇宮から追い出した。あまり長居させると、フレドリックが秘密裏にベリル教団を調べている件を嗅ぎつけられそうな気がしたからだ。愛想がいいから騙されそうになるが、ライルは間違いなく隣国の王子たちの中で一番の切れ者だ。彼と仲良くすることには利点も多い。だが、必要以上に隙を見せるといつか足元を掬われそうな怖さも感じる。
「陛下、気になる話が出ましたね」
「ああ、教団の内部は一枚岩ではなさそうだな」
「――――陛下が求婚されては?」
「は?」
ミュゼの提案を聞いて、フレドリックは固まった。大聖女に皇帝が求婚するなど、あり得ないからだ。
「隣国に我が国の大聖女さまを取られる方が、マズいと思いますが・・・」
「―――――ライルが本気だというのか?」
「ええ、陛下が御止めにならなかったので、了承を貰ったと思われているかもしれません」
「なっ!?」
――――――
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「待たせた。ライル、元気そうだな」
少し遅れて、フレドリックが姿を現す。
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フレドリックとライルは肘と肘を打ち当てる。二人の挨拶は昔からこのスタイルだった。
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公式な場で挨拶もせず、本題を語り始めるライルに、フレドリックは驚いた。
「―――――え?」
「え?じゃなくて、僕の妹はとてもお勧め出来ないから、止めておいた方がいいよ。取り巻きが悪すぎるんだ。君の国に迷惑を掛けると思う」
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しかし、それは杞憂だった。帰国後、独自のルートで探ると第二王女カシアの周りに居るのは、確かに国を傾けそうな集団だと言うことが分かったからである。ちなみに、第二王女カシアの実兄が第二王子ゼーランスなのだとか。今回、我が国に余計なことを仕掛けて来た張本人である。
一年前、フレドリックが皇帝に即位してから、ガルシア王国の第二王子ゼーランスが主導したスパイ行為を幾度となく摘発した。執拗な犯行に業を煮やしたフレドリックがガルシア王国の国王へ直接、苦情を申し入れ、隣国との揉め事を好まない国王はお詫びの言葉と共に、第三王子ライルを両国の連絡役及び、調整役として差し出して来たというわけである。
要はガルシア王国の国王は自身の息子である第二王子ゼーランスを見捨てたのだ。彼の手足となっている人員は国王の管理下に置かれ、何をどうしたのかは速やかにフレドリックへ報告される。
そして今回、ライルの持って来た情報で、皇宮にスパイを招き入れた貴族たちを一斉に摘発した。ただ、第二王子ゼーランスが何を狙って、カミーユ・ロードス帝国に手を出していたのかという点は、今一つハッキリしていない。
「ゼーランスはね、とうとう王宮内の一室に軟禁されることになったよ。他国に余計なことばかりして、本国を潰しそうだからね」
「その言い振りだと他の国にも、手出しをしていたということか?」
「ああ、そうだ。聞きたいなら詳しく話すけど?」
「いや、聞きたくない」
キッパリと断るフレドリックにライルは苦笑する。壁に控えているミュゼは、二人の会話を黙って聞いていた。
「で、ご迷惑をかけた賠償について父上が一度、君と話し合いたいと言っているんだけど、スケジュールはどう?」
「ああ、日程なら、ミュゼと詰めてくれ」
「分かった。それと、今回の本題というか、事前打診なのだけど・・・。父上が第二王女カシアを今回のお詫びとして、君に差し出したいと言っているんだ。賠償金だけではなく、人質を送りたいってことだよ。妃にしても良いし、気に入らないなら軟禁してもらっても構わない」
国王としては人質を送るから、今後も友好国としてよろしくお願いしますということなのだろう。また、第二王女を人質に取れば、兄である第二王子ゼーランスの取り巻きも手が出せなくなるという意味があるのかも知れない。
「――――要らん。人質など、面倒くさいだけだ!それにカシア王女との縁談は過去にキッパリ断ったはずだ」
「ふうん?もしかして、誰かいい人でも居るの?」
ライルは楽しそうに尋ねた。いつものフレドリックなら、女性に関することは適当に聞き流して終わりにする話題だったからである。しかし、フレドリックは不機嫌な声でこう答えた。
「お前の国のせいで、俺はこの一年間、仕事に忙殺された。これが答えだ!!」
「ああ、それは本当にごめん。うーん、そうか。忙しかったかぁ、僕の読み違えだったね」
ライルは髪をかき上げる。窓から降り注ぐ陽の光を浴びて、彼の金色の髪はキラキラと煌めいた。
『誰かいい人』と聞かれた時、フレドリックの脳裏にふとセレスの顔が思い浮かんだ。しかし、彼女とは友人なだけで、恋人でも何でもない。――――そう考えると、胸の中にモヤモヤと複雑な想いが広がった。
「あー、そうそう!!恋バナしてもいい?」
「コイバナ?」と、フレドリックは首を傾げる。
良く分かっていなさそうなフレドリックに、ライルは恋バナについて説明した。恋バナとは恋愛に関するおしゃべりのことだと。そして、今、カイルには気になっている人が居るらしい。
「僕が国を行き来する時、怪しまれないように商団を装っているのは知っているよね。それで毎回、商売の願掛けをするために、この国の大聖堂へ寄るんだけど、そこに居る・・・」
「ちょっと待て!何故、お前が我が国の大聖堂に?!ライル、ベリル教団と親しいのか?」
フレドリックはベリル教団の不正に関する調査をしていることは伏せて、ライルの知っていることを聞き出そうと前のめりで質問をした。しかし、これが大きな誤解を呼ぶ。
「えー、もしかして、フレドリックも大聖女様狙いなの?あの子、滅茶苦茶美人だよね。優しいし、癒しの力も半端ないし・・・」
大聖女が美人???
フレドリックは大聖女と対面したことが無かった。なので当然、面識はない。何よりも大聖堂ことベリル教団は皇家とこの国の権力を二分するほどの力を持っており、扱いづらいの一言。そのため、互いに干渉しないという状態がカミーユ・ロードス帝国になってから百年も続いている。その前のロードス王国時代はもう少し仲良くしていたらしいのだが・・・。
「フレドリック、大聖女様に僕が求婚してもいいかな?」
「求婚だと?何を言い出すかと思ったら、ライル・・・。己の身分を忘れたのか?王子が勝手に結婚相手を選んでいいはずが無いだろう!お前の父親の代わりにわざわざ俺が説明しないといけないのか?」
「そんな冷たい言い方をしなくてもいいじゃないか~。それにいいタイミングなんだよ。彼女、大聖堂から出たいみたいだからさー」
「――――出たいと言ったのですか!?」
突然、ミュゼが会話に割り込んで来たので、ライルは驚く。
「ミュゼが発言するなんて、珍しいね。そう、大聖女様から僕は相談されたんだ。どうしたら、ここを辞められますか?って。だから、結婚したらいいと思うってアドバイスをしておいたよ」
「大聖女が結婚だと!?俺の記憶が確かなら、過去にそんな例はない。お前・・・、何でそんな適当なアドバイスをしたんだ!!」
レオナルドは軽口ばかり叩くライルをキッとに睨む。
ミュゼは黙ったまま、不正を取り沙汰しているベリル教団を大聖女が辞めたいと言っているのなら、どうにか彼女をこちらへ取り込んで、内部の告発が出来ないだろうかと考え始めていた。
「過去に例がないなら、これから作ればいいだけだよ。大聖女様に会うにはそこそこのお金が必要なんだ。で、そんな彼女と結婚したいのなら、ベリル教団に莫大なお金を払える男じゃないと無理だろう?――――そんなの僕しかいないよね~」
睨みの効果も無く、ライルは楽しそうに大聖女との結婚を語っている。フレドリックは頭痛がして来た。ガルシア王国の王子たちは本当にロクなのがいないと・・・。
―――――
浮かれているライルに今朝方の取り調べで新たに発覚した情報を記した書類を持たせ、サッサと皇宮から追い出した。あまり長居させると、フレドリックが秘密裏にベリル教団を調べている件を嗅ぎつけられそうな気がしたからだ。愛想がいいから騙されそうになるが、ライルは間違いなく隣国の王子たちの中で一番の切れ者だ。彼と仲良くすることには利点も多い。だが、必要以上に隙を見せるといつか足元を掬われそうな怖さも感じる。
「陛下、気になる話が出ましたね」
「ああ、教団の内部は一枚岩ではなさそうだな」
「――――陛下が求婚されては?」
「は?」
ミュゼの提案を聞いて、フレドリックは固まった。大聖女に皇帝が求婚するなど、あり得ないからだ。
「隣国に我が国の大聖女さまを取られる方が、マズいと思いますが・・・」
「―――――ライルが本気だというのか?」
「ええ、陛下が御止めにならなかったので、了承を貰ったと思われているかもしれません」
「なっ!?」
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