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第1章 勇者を探して
第14話 転移者
しおりを挟む皆が落ち着くまで、どれくらい経っただろう。職員がギルドマスターを注意したのをきっかけに、笑いが収まってきた。
ここで、シュシュッ なんていったらどうなるだろうか?と 誘惑にかられたがなんとか我慢した。
(失礼しました。では、質問を続けます。)
(どちらの出身ですか?)
【出身?生まれは、筑前の海辺だ】
(その、チクゼンと言うのは、どの辺りですか?)
「どのあたりと言われてもなあ。筑前は筑前だしなあ。」
(異国の方でしたか? こちらへは、どの様にして、いらしたのでしょうか?)
【浜辺を散歩してたんだ。そしたら、地面に紋様が浮かんで、気がついたら、木の根元に寝てた。うーん、誰かと一緒に散歩してた様な気が、思い出せん。】
(まさか、転移者か)
ギルドマスターがつぶやく。
「マスター、転移者とは何ですか?」
(いや、詳しい事は知らないんだ。
ギルドの記録では、異界からやってきた者とだけしか無い。前に現れたのは、200年前だそうだ。そう、前に勇者が現れた時期と同じ。なので、勇者を助ける役目があるのではないか?と考えられている。)
この男が転移者ならば、いきなり私の前に現れたのも、納得できる。
皆が転移者について、思いを巡らせていると、男が呟いた。
【そういえば、】
皆の視線が男に集まった。
【海が見たいなあ。】
緊張感が一気に削がれた。
ともかく、男の冒険者登録は、無事?に終わり。冒険者カードと懸賞金を渡された。
ランクは、なんとA、ワイバーンの単独討伐の実績から、妥当だそうだ。
そして、懸賞金は、金貨10枚。大金だ。
【これが、小判だったらなあ】と
訳のわからない事を呟いている。
何か、色々ありすぎて、疲れた。気が付けば昼過ぎになっていたので、もう一泊する事にして、午後は、旅の準備費やした。
ルトまでは後、10日程。
その間にこの変な転移者の正体が何かわかるかもしれない。
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