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第1章 勇者を探して
第15話 マリーナ
しおりを挟む今日もこの街に留まる事になった。
道中に必要な物の買い出しに行く。
他の2人に荷物持ちをお願いしようと考えていたのに、マリーナは男と一緒にに出かけてしまった。
マリーナは、ニコニコしている。
ーーーーマリーナ視点ーーーー
先生は、本当にすごい。底がしれない。
しかも、転移者だったなんて。
おじい様に、ムサシ様の弟子になれと、言われた時は驚いたけど、今はついてきて良かった。
そんな先生に剣の指導をしてもらえる。
御前試合で私が負けた時、何が起こったのかわかるかもしれない。
私達は、ギルドの裏にある練習場へとやってきた。ここは、冒険者登録者であれば自由に利用できる。
幸い、他に人が居ない。
先生は、御前試合で見せた技を、もう一度やって見ろと言う。
今日は、模擬刀が無いと言うと、真剣で構わないと言う。寸止めでいいそうだ。
私は、先生と距離を取り、右足を引きレイピアを右頬に構える。
身体を少し落とし、次の瞬間に右足で地面を蹴り、先生との距離を詰める。
先生は、じっと立ったままだ、勢いは止められない。寸止めなんて出来ない。
私は剣先をずらす、剣先が先生の右頬かすめた。
先生の頬から、ツーっと血が流れる。
(先生、大丈夫ですか?申し訳ありません。)
【構わんさ、かすり傷だよ。やっぱりそうか。】
【教える事は、2つだな。一つ目、その構えだ。逆にしてやって見ろ。】
(逆ですか?)
【そうさ、右頬ではなく、左頬に付けて構えるんだ。】
私は、全てを逆にして構える。左足を引き左頬に剣を着ける。
【さあ、来い。今度は俺の左頬を狙ってみろ。いいか、止まらずに通り過ぎるつもりでやるんだ。】
私は、全神経を集中させて身体を落とした。
次の瞬間、先生の左側をかけぬけていた。
駆け抜けたあと、自分でも何が起こったのか、わからないでいた。
ふと、我に返り先生を見た。先生はニコニコしている。
先生の左頬に刀傷が付いている。だが血が流れて居ない。
【合格だ】
先生は、静かに呟いた。
(先生、どういう事なのですか?)
【簡単な事さ、君はもともと、左利きだったのさ。】
そういえば、思い当たる事がある。理由はわからないが、幼い頃に右利きに矯正させられた。
【普段の仕草は左利きなのに、右利きでの構えに違和感が有った。それだけの事さ。】
もともと、左利きだったのを何気ない普段の仕草から見抜くなんて。
確かに右利きの時より、数段早く、身体の切れが増していた。
先生は、やっぱりすごい。
右利きから、左利きに変えただけなのに、私は数段強くなれた。
そんな、感慨に浸っていると先生は、こんな言葉を口にした。
【君は、自分の技の意味を理解できていない。】
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