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第1章 勇者を探して
閑話 少女とサムライ
しおりを挟む私は、誰なのだろう。
何も思い出せない。
船に乗っていた時に、突然に光に包まれた。
気が付いた時は、誰かに看病されてた。
私の病気は、回復していった。
けど、周りには、高熱で苦しんでいる子供達が沢山いる。
私は。看病してもらったお礼に子供達の看病手伝った。
ある日、神官達が話しているのを偶然耳にしてしまった。
この疫病の原因が私じゃ無いか?と言っていた。
私が小舟で流れ着いてから、疫病が流行り始めたらしい。
苦しむ子供達を見ると、心が痛くなる。
だから、看病のお手伝いを一生懸命に手伝った。
子供達の病気は、なかなか治らない。
私は、神殿の女神様に祈った。
そんなある日、聖女と言う人がやって来た。
聖女様は、杖をかざして次々と子供達を治していった。
治療は深夜まで続いたが、私は、聖女様の治療の様子を食い入る様に見つめてた。
すると、聖女様が急に後ろに倒れた。
近くにいたおじさんが、慌てて抱き抱えると、そのまま町の中に連れて行ってしまった。
そこには、聖女様の杖が残されている。
私は、杖に駆け寄るとそっと、杖を持ち上げる。
すると、杖は黄金色に輝き出した。
聖女様が治療した時の光と同じだと思った。
私は、杖を子供にかざしてみる。
すると、杖の輝きが子供に移る。
高熱に苦しんでいた子供が安らかな顔になっていった。
周りの大人達から歓声が上がる。
人々は、私に子供を向けて治療をせがんだ。
杖は、また輝きを取り戻している。
そうして、明け方まで治療を続けた。
いつの間にか、私の傍には、あのおじさんが居て、じっと様子を見守っている。
その日から聖女様の杖を使い、聖女様の代わりに治療を行った。
やがて、町中の子供達の治療を終えた。
聖女様の意識は、まだ戻らないらしい。
神殿の神官様から、近隣の村々を周り治療をしてきて欲しいと相談された。
もちろん引受けた。私が原因なら私がやらなければいけないと思った。
村々へは、何故かおじさんも行くことになった。
おじさんの希望だそうだ。
おじさんは、私と同じような服を着ていて、髪も私と同じ黒色だ。
【宜しく頼むぞ、坊主】
『坊主じゃない。』
【じゃ名前はなんだい?】
『知らない。思い出せない。』
【そうか、そりゃ悪かった。俺も同じだ。俺も思い出せん。】
村々へは馬で行った。おじさんの前に座った。
おじさんと馬に乗っていると不思議と眠くなる。
何だか初めてじゃない気がする。
おじさんは、無口だけど一緒に居ると安心する。
そうやって、おじさんと旅を続けているうちにすっかり仲良しになった。
村々での治療を終えて、ルトに戻る途中で、町を見渡せる丘で休憩した時の事、
おじさんは海が好きだと言った。
私も好きだ。おじさんは私を肩に乗せてくれた。
【高いところからのほうが、海が良く見えるだろう。】
おじさんの肩は、とても居心地が良い。
いつまでもこうしていたい。ずっと。
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