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第4章 王都へ
第44話 聖女の過去
しおりを挟むムサシのスープに、群がる人々と別れ、シュセンに向け出発した。
ムサシのスープのおかげか?だいぶ回復してきた。
「マリーナ、もう少しゆっくりでお願い。」
マリーナは、もうすっかりと回復した様だ。
「若さか、これが若さの差か?」
(いえ、マリアさんの場合、運動不足のせいです。)
サキは、当然の様に独りで馬に乗っている。
今日も、元気一杯、あれ?ヤタが居ない。
ヤタは、ムサシのお腹の上で寝てた。
ヤタのお気に入りになったみたいだ。
というか、ムサシはまた寝てる。
その日は、出発が昼前になってしまった事と、移動速度を抑えた為に中途半端な場所で日が落ちてしまった。
焚き火を囲み夕食を食べる。
夕食の時にムサシが私に変な事を聞いてきた。
【なあ、なんか嫌なことでもあったのか?昨日の宴会の時、荒れてたぞ。】
私は、マリーナの方を見ると、マリーナは大きく頷く。
「実は、シュセンは私の故郷なの。」
私は、それから、生い立ちを話し始めた。
私の両親は、シュセンで小さな造り酒屋を営んでいた。
ある日、両親は製造したお酒を隣街まで売りに、出かけていった。
しかし、両親が戻って来る事は無かった。
翌日に帰って来るはずが帰らず、その次の日の日も帰ってこなかった。
店の職人が探しに行った結果、街までの途中の道から少し外れた場所で見つかった。
そこには、倒れた台車と空の酒樽があったが、両親の姿は何処にも無かった。
そして、幼い私は、独りぼっちになった。
親類が誰も居なかった私は、シュセンの神殿が管理する孤児院に預けられた。
それから、孤児院での生活が始まった。
やがて、3年が経った頃、夜に星を眺めていると、空にいくつもの流れ星を見つけた。
その時、両親が居なくなる少し前にも、同じ様な流星群を見ていた事を思い出した。
その夜、私は夢を見た。それは、とても不思議な光景だった。
眼の前に杖が現れたか。
その杖には、真ん中に綺麗な紫色の宝石が埋まっていた。
その杖のあまりの美しさに、手を伸ばして、手に取った。
すると、突然、眩しく輝き出した。
その時、私は目を覚ました。
私は、その杖に見覚えがある。
その杖は、神殿の女神像の手に握られているものだ。
私は起きて直ぐに、神殿へ行き杖に触れてみた。
すると、杖が夢と同じ様に杖が輝き出した。
その様子を、神官長に見られてしまった。
その杖は、聖女の杖と言って、聖女が触れると輝くと言い伝えられているものだった。
「後は、お決まりよ。聖女認定された私は、その神殿で聖女としての修行をした後に勇者を探す旅に出た。」
(マリアさんそんな過去があったんですね。)
「問題は、これからなの。私はこれまでに3回、流星群を見た事があるの。」
「両親が居なくなる前、聖女の杖が夢に出てくる前、そして、3回目は、ムサシに出逢う前よ。」
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