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第4章 王都へ
第48話 神剣
しおりを挟む闘いが終わり、私は、立ち上がる事が出来なかった。
ムサシは、仁王立ちのまま、剣を抜き月明かりにかざしている。
【ちっ、剣先が掛けちまった。これじゃあ、この剣はもう使えねえ。俺の斬魄刀ー。】
どうやら、大蛇の牙に当たった時に掛けてしまったらしい。
膝を付き、砂浜を殴って悔しがっている。
そんな、ムサシの背中にサキが乗って遊んでいる。
お馬さんごっこ遊びの様だ。
きっと、私を助ける時に牙に当たってしまったんだろう。
ムサシに掛ける言葉を考えていると、急に起き上がり、海に飛び込んでいった。
その反動で投げ出されたサキを、マリーナが慌てて捕まえる。
ムサシは、大蛇の尻尾をひとつ抱えて戻って来た。
尻尾を砂浜に投げ出すと、再び海に飛び込んでいく。
すると、再び、尻尾を持ってきて砂浜に並べる。
そうやって、繰り返して、砂浜には、8つの尻尾が並べられた。
ムサシはニコニコしながら、ひとつずつ尻尾を縦に裂き始めた。
あーあとうとう、壊れた。
ひとつ、ふたつと大蛇の尻尾を縦に切り裂いていく。
切り裂く度に、一喜一憂している。
こりゃますます壊れたなと頭を抱えている時、カキンと変な音がした。
ムサシを見ると、凄い笑顔で尻尾をゆっくりと慎重に開いている。
そして、開いた尻尾に手を突っ込んで何か棒の様な物を取り出した。
その棒は、布地に包まれている。
ムサシは、慎重に布地を解いていく。
そして、布地の中から1振りの剣を取り出した。
今度は剣を持ち、月光にかざす。
その剣は、ムサシやサキの刀とは異なり、両刃で長さは、サキの身長くらいで長い。
【これは、草薙剣(クサナギノツルギ)と言う俺の世界の神剣さ。】
「神剣ですか?でも余り切れそうに見えませんが。」
【そうだな、この剣がどんな風に凄いのか、俺も知らん。神霊が宿るとしか言い伝えが残っていないんだ。】
【まあ、使って見れば、そのうちにわかるさ。】
そう言うと、神剣を布地に包んだ。
【さて、腹が減ったな、取り敢えず飯でも食うか? 酒も有るから戦勝会だ。】
「え?食料は準備してないけど?」
【まあ、良いから火を起こしてくれ。】
私は、嫌な予感を抱えつつ、準備を進めた。
ムサシは何処からか、串刺し肉を持ってきた。
肉が焼けるのを待つ間、マリーナがお椀に入れた酒を配った。
【みんな、良くやった。乾杯だ。酒は、一樽残っている。】
【乾杯。】
「乾杯」
(乾杯)
『カンパイ』
【サキ、お前はだめだ。】
【サキ、肉が焼けたぞ。肉を食え。】
みんなに肉が配られる。
皆、美味そうに食べている。
私も勇気を出して食べてみた。
「美味しい。」
『おじちゃん。これ何の肉?』
【ヤマタノオロチだ。和爾もそうだったが、神話の化け物は美味いな。】
私は、口に含んだお酒を吹き出していた。
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