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第四章/挑むようです。
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「……はあ」
妹の部屋を前に、俺は溜息をつく。下っ腹に力を籠め気合いを入れると、ドアをノックした。
「はーい。いいよお兄ちゃん、入って」
そのひと言に、いっそうの緊張を覚える。しかし、まごまごしていたら、また踏ん切りが付かなくなりそうだったから、思い切って中に入った。
「話って、なに?」
「うん……」
だが、いざ促されると、どう切り出せばいいのか悩んでしまう。
「長くなりそう? それなら座って」
「うん。……どこに座る?」
「どこでも、いいけど……」
まったく意識せず、ベッドの方を見やってしまった。焦って視線を外すと、泉澄と思いっきり目が合ってしまう。どこを見ていいのか解らなくなった。
朝に俺を起こすことが多い泉澄は、俺の部屋に入ることの抵抗は薄いと思う。だけど俺はさすがに、年頃の女の子の部屋にたびたび踏み入るのは気が引けて、ここ何年かで数えるくらいしか泉澄の部屋に上がったことはなかった。
所在なく彷徨わせた視界には、シンプルだけど華やかなアイテムが次々と入り込んでくる。パステル調のボックスに猫のマスコットをあしらったカーテン、どこを見ても俺の部屋より色数が多いことに、何故かドギマギした。
カーペットに置いたローテープルを挟み、向かい合って座る。泉澄は横座りに崩した足許に目を落とし、俺は膝に拳を置いて正座した。
やっぱり、すぐに話に入れない。二人のあいだにしばし沈黙が降りた。
息苦しくなって、ひとまず雑談から振ってみる。
「……母さん、何時くらいに帰ってくるんだろうな」
「んー……どうなんだろう? バタバタしてるのが片付いたら帰る、って言ってたけど……」
母はあのあと、買い物の最中に職場のひとからのSOSで、現場に急行することになってしまった。『これで夕食済ませて、先に帰って!』と小遣いを手渡された俺と泉澄は、さんざん迷って、ちょっと贅沢なレトルト食品を買って家で食べることにした。
お米を炊いたり、付け合わせのサラダを刻んだり、キッチンで一緒に用意するのが妙に楽しくて、盛り上がっているうちに、肝心の話を切り出すタイミングを逸してしまった。結局、お互いの入浴が済んで、ひと息つくまで、話をするタイミングが見つからなかった。
泉澄は上着にパーカー、下はショートパンツという、ふだんと変わらない部屋着姿をしている。お尻の下に敷いた脚はすらりとして妙に艶めかしく、一瞬見入ってしまってから、俺はそれとなく視線を外した。
あまり長居すると、だんだん変な気分になってくる。俺はいちど深呼吸をして、ようやく泉澄に問いかけた。
「部活は、月、水、金なんだってな」
「あ……う、うん。言って……なかった?」
「うん、聞いてない。だから惟花に、部活に行ってない日を聞いて、驚いた」
泉澄は睫毛を伏せる。どんな風に弁解するか、思案しているようにも見えた。いい言い訳を思いついてしまう前に、と俺は更に質問を重ねた。
「それから……今週の水曜日も、顧問の都合で休みになってただろ?」
「……うん」
「でも、泉澄の帰りは遅かった……あの日、どこに行ってた?」
「それは……自主練で……」
「古い神社だろ?」
顔を上げ、まっすぐ俺を見た泉澄の頬が、みるみる桃色に火照る。
泉澄は口をぱくぱくするけれど、すぐに言葉が出てこなかった。おもむろに口許を両手で覆うと、ようやく短く訊き返す。
「………………見た……?」
俺は、無言で頷いた。
言葉が、出ない。いちど目を逸らし、ちらり、と横目で泉澄を窺うと、瞳が潤んでいた。激しくうろたえて、慌てて言いつくろう。
「あ、あのな! 偶然だぞ、本当にたまたまだぞ?! 俺は別に、狙って覗いたわけじゃないから――それに! その、ああいうことが駄目だ、とも思わない! お、俺だってするからな?!」
「……え、あ……お、お兄ちゃんも……」
手を下ろしかけた泉澄の視線が、自然に俺の腰の辺りに注がれた。途端、気恥ずかしくなって俺は拳を内股に移動して、妹の視線を遮る。ごまかすように言葉を継いだ。
「でも……あ、ああいうところでするのは……やっぱり、考えた方がいいぞ! 俺だってっ、偶然、そう偶然! たまたま、近くでお前を見かけて……その、見つけちゃったわけだから! 誰か、タチの悪い奴に見つけられたら、ヒドい目に遭うかも知れないからな!」
「…………う……うん……」
首を縦に振ると、泉澄はそのまま悄然と項垂れる。
改めて、罪悪感がこみ上げてきた。俺は両拳を机の上に置き、額をぶつける勢いで頭を下げた。「その……ごめんっ!」
「…………どうして……謝るの?」
「そりゃあ……たまたまだったけど、泉澄の……たぶん、絶対に見られたくないところだろ? ああいうのは……それを覗いちゃったんだし……」
泉澄は瞼を激しくしばたたかせる。その拍子に、さっき溢れた涙が滲みそうになったのか、パーカーの袖で目許を拭うと、恐る恐る、の様子で俺の目を覗きこんだ。
「お兄ちゃんは……聞いてないの?」
「……ん? な……何が?」
本当は、何のことか、たぶん解っている。惟花に攻められて、ぽろり、と漏らした本心のことだろう。
でも、オナニーのことはともかく、そちらについては絶対に知らぬ存ぜぬを通すべきだ、と思った。いま、あの一件に触れてしまったら、きっと話の舵が取れなくなる。
「いままで、黙ってた俺も悪いけど……とにかく、泉澄にも注意して欲しいんだ。さっきも言ったけど、その……欲求不満を解消しようとするのは普通のことだよ。でも、やっぱりひと目につく危険のあるところでは避けて欲しい。
俺は、泉澄に万が一のことが起きて欲しくないし……正直、あれを……どこの誰とも知らない奴に見られるのも、イヤだ」
「……………………」
少し唇を開いて、泉澄はしばし俺を見つめていたけれど、不意に目許を火照らせて、顔を伏せた。いつの間にか俺と同様に正座して、揃えた太腿の上で、所在なさそうに指を絡ませている。
……なぜだろう。さっきより泉澄の仕草が、やけに艶めかしく映る。
言うべきことは言った。あとは、泉澄自身が納得して、行動を正すのを待つしかない。でも、何故か腰を上げることが出来なかった。見えない力に吸い寄せられている心地がする。
「……あのね、お兄ちゃん」
重たい、しかし不思議と離れがたい沈黙を振り切るみたいに、泉澄が口を開いた。
「私、一昨日……惟花ちゃんに、『取り憑かれてる』って言われたの……」
「……あ、ああ。あいつなら……まあ、そう言う……かな……」
「清めるためには……その、い、いやらしい気持ちを……浄化しないといけない、とか言われて……え、エッチなこと……されちゃって……」
「…………お、おいおい」
これも目撃しちゃってるけど、勿論喋れないから、とりあえずツッコむ。
「でも……その、そのとき……確かに、ほんのちょっとだけど……その、すうー、っとしたの……」
「…………それって、つまり……泉澄も、本当に“何かに取り憑かれてる”って思ってる……のか?」
「……解んない」
泉澄はゆるゆると首を振り、落ちてきた後れ毛をかき上げた。
「泉澄も……ホントは、ああいうところでするの、危ないのは、解ってるの……でも、モヤモヤが止められなくて……でも、家だと……その、家の方が……なんでか解らないけど、落ち着かなくて……」
「まあ……俺は、なんとなく解るよ。両親や……俺みたいな、異性もいるわけだし……な」
「うん……」
頷きながらも、泉澄は腑に落ちない様子で小首をかしげ、俺をじと、っと睨んでいる。俺は、あえて気づかないふりで、あさってを見やった。
「それで、ね……あのとき、惟花ちゃん、自分の手を、好きな――その、好きな、男の人の手だ、と思ってみて、って言ったの。そうしたら……自分でしてたときと、全然違くて……」
「……違う、って?」
「その……なんて言うか、あの……か、感じ方……気持ち、いいの……レベルが違う、っていうのかな……」
――この話の展開、そのまんまでいいんだろうか。
凄まじい危うさを感じるけれど、泉澄の言葉を遮る方法が思い浮かばない。頭が、思考を拒絶しているみたいだった。
俺の危機感を知ってか知らずか、泉澄は羞じらいに肩をすぼめながら、上目遣いに俺を見て、言う。
「その、わ、解んないけど……もしかしたら、その……お、男の人に、さわ……気持ちよく、してもらったら……もっと、ちゃんと……浄化されるのかなぁ……って……」
――待て。
――ちょっと、待ってくれ。
「泉澄……お前、自分がなにを言おうとしてるのか……解ってるか?」
「…………うん」
泉澄は深く頷くと、顔を上げ、真っ向から俺を見つめた。いまにも泣き出しそうなほど潤んだ瞳に、魅入られてしまって、動けない。
「解ってる、けど、ぜったい、他のひとに……他の男のひとになんか、頼めない。
お兄ちゃん以外のひとには、ぜったい……お願い出来ない……したく、ない……」
ぽつり、とひと粒、泉澄の頬を涙が落ちた。
胸が痛い。可愛い妹に、こんな想いをさせてる自分が不甲斐なくて、そして、そんな泉澄の無防備な姿に、はっきりと欲情している己に腹が立って。
「惟花ちゃんに、取り憑かれてる、って言われて……ずっと、怖いの。惟花ちゃんは、その……お祓いみたいなこと、してくれたけど……まだ、きっと泉澄……治ってないの。
このまんまだと、泉澄、どんどんおかしくなっちゃいそうで、怖い……。
だから、お兄ちゃん……お願い……」
もう、抵抗できなかった。
妹の部屋を前に、俺は溜息をつく。下っ腹に力を籠め気合いを入れると、ドアをノックした。
「はーい。いいよお兄ちゃん、入って」
そのひと言に、いっそうの緊張を覚える。しかし、まごまごしていたら、また踏ん切りが付かなくなりそうだったから、思い切って中に入った。
「話って、なに?」
「うん……」
だが、いざ促されると、どう切り出せばいいのか悩んでしまう。
「長くなりそう? それなら座って」
「うん。……どこに座る?」
「どこでも、いいけど……」
まったく意識せず、ベッドの方を見やってしまった。焦って視線を外すと、泉澄と思いっきり目が合ってしまう。どこを見ていいのか解らなくなった。
朝に俺を起こすことが多い泉澄は、俺の部屋に入ることの抵抗は薄いと思う。だけど俺はさすがに、年頃の女の子の部屋にたびたび踏み入るのは気が引けて、ここ何年かで数えるくらいしか泉澄の部屋に上がったことはなかった。
所在なく彷徨わせた視界には、シンプルだけど華やかなアイテムが次々と入り込んでくる。パステル調のボックスに猫のマスコットをあしらったカーテン、どこを見ても俺の部屋より色数が多いことに、何故かドギマギした。
カーペットに置いたローテープルを挟み、向かい合って座る。泉澄は横座りに崩した足許に目を落とし、俺は膝に拳を置いて正座した。
やっぱり、すぐに話に入れない。二人のあいだにしばし沈黙が降りた。
息苦しくなって、ひとまず雑談から振ってみる。
「……母さん、何時くらいに帰ってくるんだろうな」
「んー……どうなんだろう? バタバタしてるのが片付いたら帰る、って言ってたけど……」
母はあのあと、買い物の最中に職場のひとからのSOSで、現場に急行することになってしまった。『これで夕食済ませて、先に帰って!』と小遣いを手渡された俺と泉澄は、さんざん迷って、ちょっと贅沢なレトルト食品を買って家で食べることにした。
お米を炊いたり、付け合わせのサラダを刻んだり、キッチンで一緒に用意するのが妙に楽しくて、盛り上がっているうちに、肝心の話を切り出すタイミングを逸してしまった。結局、お互いの入浴が済んで、ひと息つくまで、話をするタイミングが見つからなかった。
泉澄は上着にパーカー、下はショートパンツという、ふだんと変わらない部屋着姿をしている。お尻の下に敷いた脚はすらりとして妙に艶めかしく、一瞬見入ってしまってから、俺はそれとなく視線を外した。
あまり長居すると、だんだん変な気分になってくる。俺はいちど深呼吸をして、ようやく泉澄に問いかけた。
「部活は、月、水、金なんだってな」
「あ……う、うん。言って……なかった?」
「うん、聞いてない。だから惟花に、部活に行ってない日を聞いて、驚いた」
泉澄は睫毛を伏せる。どんな風に弁解するか、思案しているようにも見えた。いい言い訳を思いついてしまう前に、と俺は更に質問を重ねた。
「それから……今週の水曜日も、顧問の都合で休みになってただろ?」
「……うん」
「でも、泉澄の帰りは遅かった……あの日、どこに行ってた?」
「それは……自主練で……」
「古い神社だろ?」
顔を上げ、まっすぐ俺を見た泉澄の頬が、みるみる桃色に火照る。
泉澄は口をぱくぱくするけれど、すぐに言葉が出てこなかった。おもむろに口許を両手で覆うと、ようやく短く訊き返す。
「………………見た……?」
俺は、無言で頷いた。
言葉が、出ない。いちど目を逸らし、ちらり、と横目で泉澄を窺うと、瞳が潤んでいた。激しくうろたえて、慌てて言いつくろう。
「あ、あのな! 偶然だぞ、本当にたまたまだぞ?! 俺は別に、狙って覗いたわけじゃないから――それに! その、ああいうことが駄目だ、とも思わない! お、俺だってするからな?!」
「……え、あ……お、お兄ちゃんも……」
手を下ろしかけた泉澄の視線が、自然に俺の腰の辺りに注がれた。途端、気恥ずかしくなって俺は拳を内股に移動して、妹の視線を遮る。ごまかすように言葉を継いだ。
「でも……あ、ああいうところでするのは……やっぱり、考えた方がいいぞ! 俺だってっ、偶然、そう偶然! たまたま、近くでお前を見かけて……その、見つけちゃったわけだから! 誰か、タチの悪い奴に見つけられたら、ヒドい目に遭うかも知れないからな!」
「…………う……うん……」
首を縦に振ると、泉澄はそのまま悄然と項垂れる。
改めて、罪悪感がこみ上げてきた。俺は両拳を机の上に置き、額をぶつける勢いで頭を下げた。「その……ごめんっ!」
「…………どうして……謝るの?」
「そりゃあ……たまたまだったけど、泉澄の……たぶん、絶対に見られたくないところだろ? ああいうのは……それを覗いちゃったんだし……」
泉澄は瞼を激しくしばたたかせる。その拍子に、さっき溢れた涙が滲みそうになったのか、パーカーの袖で目許を拭うと、恐る恐る、の様子で俺の目を覗きこんだ。
「お兄ちゃんは……聞いてないの?」
「……ん? な……何が?」
本当は、何のことか、たぶん解っている。惟花に攻められて、ぽろり、と漏らした本心のことだろう。
でも、オナニーのことはともかく、そちらについては絶対に知らぬ存ぜぬを通すべきだ、と思った。いま、あの一件に触れてしまったら、きっと話の舵が取れなくなる。
「いままで、黙ってた俺も悪いけど……とにかく、泉澄にも注意して欲しいんだ。さっきも言ったけど、その……欲求不満を解消しようとするのは普通のことだよ。でも、やっぱりひと目につく危険のあるところでは避けて欲しい。
俺は、泉澄に万が一のことが起きて欲しくないし……正直、あれを……どこの誰とも知らない奴に見られるのも、イヤだ」
「……………………」
少し唇を開いて、泉澄はしばし俺を見つめていたけれど、不意に目許を火照らせて、顔を伏せた。いつの間にか俺と同様に正座して、揃えた太腿の上で、所在なさそうに指を絡ませている。
……なぜだろう。さっきより泉澄の仕草が、やけに艶めかしく映る。
言うべきことは言った。あとは、泉澄自身が納得して、行動を正すのを待つしかない。でも、何故か腰を上げることが出来なかった。見えない力に吸い寄せられている心地がする。
「……あのね、お兄ちゃん」
重たい、しかし不思議と離れがたい沈黙を振り切るみたいに、泉澄が口を開いた。
「私、一昨日……惟花ちゃんに、『取り憑かれてる』って言われたの……」
「……あ、ああ。あいつなら……まあ、そう言う……かな……」
「清めるためには……その、い、いやらしい気持ちを……浄化しないといけない、とか言われて……え、エッチなこと……されちゃって……」
「…………お、おいおい」
これも目撃しちゃってるけど、勿論喋れないから、とりあえずツッコむ。
「でも……その、そのとき……確かに、ほんのちょっとだけど……その、すうー、っとしたの……」
「…………それって、つまり……泉澄も、本当に“何かに取り憑かれてる”って思ってる……のか?」
「……解んない」
泉澄はゆるゆると首を振り、落ちてきた後れ毛をかき上げた。
「泉澄も……ホントは、ああいうところでするの、危ないのは、解ってるの……でも、モヤモヤが止められなくて……でも、家だと……その、家の方が……なんでか解らないけど、落ち着かなくて……」
「まあ……俺は、なんとなく解るよ。両親や……俺みたいな、異性もいるわけだし……な」
「うん……」
頷きながらも、泉澄は腑に落ちない様子で小首をかしげ、俺をじと、っと睨んでいる。俺は、あえて気づかないふりで、あさってを見やった。
「それで、ね……あのとき、惟花ちゃん、自分の手を、好きな――その、好きな、男の人の手だ、と思ってみて、って言ったの。そうしたら……自分でしてたときと、全然違くて……」
「……違う、って?」
「その……なんて言うか、あの……か、感じ方……気持ち、いいの……レベルが違う、っていうのかな……」
――この話の展開、そのまんまでいいんだろうか。
凄まじい危うさを感じるけれど、泉澄の言葉を遮る方法が思い浮かばない。頭が、思考を拒絶しているみたいだった。
俺の危機感を知ってか知らずか、泉澄は羞じらいに肩をすぼめながら、上目遣いに俺を見て、言う。
「その、わ、解んないけど……もしかしたら、その……お、男の人に、さわ……気持ちよく、してもらったら……もっと、ちゃんと……浄化されるのかなぁ……って……」
――待て。
――ちょっと、待ってくれ。
「泉澄……お前、自分がなにを言おうとしてるのか……解ってるか?」
「…………うん」
泉澄は深く頷くと、顔を上げ、真っ向から俺を見つめた。いまにも泣き出しそうなほど潤んだ瞳に、魅入られてしまって、動けない。
「解ってる、けど、ぜったい、他のひとに……他の男のひとになんか、頼めない。
お兄ちゃん以外のひとには、ぜったい……お願い出来ない……したく、ない……」
ぽつり、とひと粒、泉澄の頬を涙が落ちた。
胸が痛い。可愛い妹に、こんな想いをさせてる自分が不甲斐なくて、そして、そんな泉澄の無防備な姿に、はっきりと欲情している己に腹が立って。
「惟花ちゃんに、取り憑かれてる、って言われて……ずっと、怖いの。惟花ちゃんは、その……お祓いみたいなこと、してくれたけど……まだ、きっと泉澄……治ってないの。
このまんまだと、泉澄、どんどんおかしくなっちゃいそうで、怖い……。
だから、お兄ちゃん……お願い……」
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