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全ての始まり
21. 識人歓迎会2-1
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「そういえばだけど、アリスちゃんて銃詳しいんだ?」
師匠と幕僚長が部屋を出ていき自己紹介が終わったので飲みものを飲み休憩していると三穂さんが話しかけてきた。
「うーん……、銃を撃った記憶とかは無いんですけど、構造とか撃ち方とかは体が覚えてるんですよね」
「ふーん、ちょっと構えてみてよ」
「え?」
「弾は無いから空の弾倉入れてさ、もちろん人のいないところに向けないとだめだよ?」
「は、はい」
銃を手に取る。弾は入ってないとは言ってたけど、私の癖なのかマガジンを入れる前にスライドを引きチャンバー内に弾が装填されてないことを確認しそのままスライドストップを上げスライドを固定、そこに空のマガジンを入れてスライドを戻す。
「ほう……中々に手際が良いな」
「まあ旧日本にもBB弾を使った本物と同じ動きするガスガンとかあるから知識だけだったあるのかも。それでもまあ本物と比べたら重さも撃った時の反動は全然違うからねー!それは慣れるしかないかな!」
二人の言葉が話半分で右耳から入り左耳へと突き抜けていく、そして部屋の人がいない場所に視線を向けると小さい机の上に花瓶が置いてあったのでそこに銃口を向けた。
「……」
トリガーにまだ指はかけずに右手でグリップ部を握る、空いている左手でグリップを握っている右手を包み込む、主にトリガーにではなくトリガーガードより下にあるグリップを握っている三本の指に対してである。もちろん前世の記憶はないが、映画による記憶の知識かそれとも体が覚えているのかは謎だが自然と銃を構えてしまう。
後は撃つだけ、その時になって初めてトリガーに指をかける。
グロックは普通の銃とは違いセーフティー……つまり安全装置が存在しない、替わりにトリガーセーフティーと呼ばれるものが存在する。要は撃つときにトリガーセーフティーを解除しつつトリガーを引かなければ打てない仕組みである。
最終的に打つときだけ両腕を一杯に伸ばし、少し内側に回転させるように力をかける、これである程度は反動に対して制御できる。
トリガーを引くときも引くというよりは指を握りこむようにすると撃つときに銃口がぶれずに精密射撃ができるらしい。そして……
トリガーを引いた。
チャンバーに弾は入っていないので撃鉄が落ちる音だけで弾頭は出ない。
「へー、本物ってこんな感じなんですね、でも初めてな感じがしないのは撃ったことあんのかな?……ってあれ?」
さっきまで丁寧に教えていた三穂さんや三笠さんが私に対して驚いた表情を向けていた。
「えーと……」
「何腑抜けた顔になってるんだ?」
振り向くと師匠が戻ってきていた。
「あ、ああ龍か、見送りは済んだようだな。何か話したのか?」
「ん?ああ……いや何も」
「そうか」
そのまま師匠はテラスの方に向かって歩いていった。
「どこへ行くんだ?」
「ん?一服」
そういうと師匠はテラスへ歩いていく、そして衣笠さんも何故か神妙な表情でその後をついていった。
「男二人……人気のないテラス……何も起きないはずもなく……かなあ?」
おっと三穂さんはそっちもありですかい?私も少しならいけるで!
「ちょっとついて行ってみようか!」
「え?ちょっ!」
三穂さんは私の手を掴むとテラスへ引っ張っていった。
「お?やってるねー!……まあやってると言っても煙草吸ってるだけだねー」
私と三穂さんはテラスの入り口で二人の男たちが静かに煙を吐いている光景を見ていた。
……こっちが変態じゃね?
まあそれより私は三穂さんに質問したいことがあった。本来なら私は師匠がいるのだからそっちに聞くのが普通だ。しかし旧日本でもあった言葉…「カルチャーショック」生きる時代が違えば価値観も知っている言葉も変わる……私は師匠がこれから三穂さんに聞こうとしている単語を理解できると思えないのだ。
「……三穂さん」
「ん?なんだろ?」
「この世界に来て聞いてみたかったことがあるんです。師匠に聞いても概念的にも分からないと思うので」
「ふーん、一応龍さん400年生きてるしこの世界のことで分からないことは無いと思うけどなあ」
「……この世界ってレベルって概念あるんですか?」
「……」
三穂さんは黙ってしまった、だが答えられない質問をされたというよりいい質問だねという顔だ。
「アリスちゃんはどう思う?」
「どうってうーん」
この世界に転生してきて初めて会った識人は師匠だった。だが、師匠は物の価値感が400年前の人間、私以外にも今の今まで転生してきている人間はもちろんいるだろう。そういう人間から言葉を教わるなんて普通である……がそれでも知っていても使う機会が無ければ今が無いし形骸化するだけだ。
レベルって概念はまんまゲームやパソコン関係の用語だ、しかしこの世界にパソコンなんてものはない。つまりレベルなんて言葉自体はあるだろうが師匠がその言葉の意味や使い方を知っているということは私としては無いと思うのである。
それにたった数日だが、今までの師匠の言動から新しい情報は耳には入れるだろうけど意味を理解しようとしないという人間であると感じた。
それにこの世界に来て数日何人かの識人やいろんな人と会ってきたがレベルやステータス的なものを見た記憶がない、大抵新しく会った人なら失礼ながらレベルやステータス等を知りたいと思うのはゲーマーや日本人ならあると思う。
だが、この世界は異世界……一般的ななろう系の異世界ならばステータス表示はある……のでこの世界でもあると思いたい。
「個人的な希望ならここは異世界だし、そういうのがあっても悪くないかなと」
「ふーん、でも残念。この世界はレベルっていうかステータス?みたいなのは存在しないよ。ちょっとがっかり?」
「うーん、どうだろう……でも転生なんて多分よほど運がないとできませんし、魔法使えるからそれで充分かな。三穂さん個人としてはどうですか?」
「そうだねー、私としてはそういうの無い方が楽しめるから良かったかな」
「楽しめる?」
「よくさ、ゲームでもステータスって天井……つまりある程度行くともうレベルが上がらないことがあるじゃん?でもそれってつまらなくない?それに例えばだけどほしい特技とかスキルがあっても職業とか個人のステータスで身に付けられないことあるじゃん?それが嫌なんだよね。それにさゲームとかだと経験値とかスキルポイントとか使って簡単にそういうの取れるし後は練習しなくてもいいじゃん?それってさつまらなくない?欲しいスキルがあるんなら自分が満足するまで練習して特訓して極めた方が人間らしいし私としては楽しいんだよね!」
この世にある大抵の転生系の主人公を全否定した発言だがこの世界だとそれが普通であくまで魔法が使える第二の地球という扱いなのだろう。
「何しゃべってんだ?」
「うおっ!師匠」
衣笠さんと一服を終えた師匠が目の前に居た。
「この世界についてちょっとアリスちゃんに教えてたんだよ」
「何故俺に聞かない」
「師匠……ステータス画面とかレベルって言葉分かります?経験値とかスキルとか」
「……わからん」
「でしょうね」
「なるほどさすがに400年生きてる龍でも旧日本の現代……パソコンやゲーム等の言葉はこの世界にはまだ無いから知らないか。できればパソコンが出来ればこの国も旧日本へ一歩前進するんだが」
「どれほど進むんだ?」
「かなり」
「だからどれぐらいだ」
「かなり変わるぞ?旧日本の現代技術はほとんどといっていいほどパソコンの技術の応用だからなこの国の防衛設備も大幅にアップグレードできるし、日本の基礎研究のスピードや精度もかなり向上する。それに国民の生活も豊かになる」
本当にこれはマジだ。女子高生になる私としてはスマホが無いのが精神的に来るものがある。それにパソコンがあれば事務作業的にもかなり楽になるはずだし、一気に生活の水準が跳ね上がると言ってもいい。
「アリスもがっかりしていたが作れないんだろ?なんだっけ?シーピーユー?が作れないからパソコンは作れないと言っていたが」
「人間には脳みそがあるだろ?CPUはパソコンの脳みそに当たる部分だ。これがないとパソコンは動かない」
「何故作れない?」
「うーん、何故か……私もそこまで詳しいわけではないからな説明はできないな」
「じゃあ代わりに私が」
現代の若者を舐めるなよ?といっても現代の女子が全員電子部品に詳しいわけではないと思うけど私は何故か知識がある。
「多分ですけどCPUの構造的には今の日本でも作れます。日本人の長所は超細かい精密作業が得意なので部品と設計図的なものがあれば作れます。といっても最初はパソコンを作るパソコンが無いのでかなり大きいパソコンになるでしょうけど」
「なるほど、では今の日本に作れない理由は何だい?」
「簡単です、どんなにパソコンの構造に詳しく自作できるできる人でも、パーツそのものを作るとなると別問題でしょう?例えばいくらグラボの種類とかパーツごとの性能差が詳しい人でもグラボの内部の電子部品や回路がどう引かれているかまで詳しい人間はそういないですよね?」
「ああそういうことね、私もスマホなら設定とかならできるけど中身ばらして修理とか普通に業者に頼むわ」
「しかも、私の知識が正しければパソコンの基礎を作った人ってイギリス人なんですよ」
「い、イギリス?」
聞いたことが無い国名に困惑する師匠だが今はいちいち反応すると会話にならないのでスルーする。
「第二次世界大戦時にドイツの暗号機を破るためにイギリスの変態ともいえる科学者が作ったのがパソコン……というかCPUの中央演算なんちゃんらの始まりなんです。まあ今は調べようと思えば調べられますし日本でも知っている人はいると思いますけど、その人がこの世界に転生するかと言われれば……ていう問題なんですよねー」
「「「……」」」
三人が黙ってしまった。言っていることが分からないではなく(約一名はそうだろうが)恐らく知っている人間が旧日本で死に転生してくるのは絶望的だと言えるので黙ってしまったのだろう。
「ま、まあこの日本の研究所でも我々の知識を補助にしてパソコンの研究をしてるからある程度待つことは大事か……」
すると師匠が部屋の空間の一部を静かに見ていた。
「どうしたの師匠?」
「そろそろ時間だ。お開きにしよう」
「えええ」
「お前明日から学校に行くんだからな?それに入学式もある、距離もあるから早起きしなきゃならん。早寝早起きは重要だ」
「そうだな、それに我々も仕事がある。そろそろお開きとしようか」
「そうだね、私も部隊の奴らと明日の訓練等の会議あるから帰らんと」
忘れていた、師匠を除いて彼らは自衛官だ、他の職種の人間を卑下するつもりはないけど私の中で一番時間に厳しいのは自衛官…自衛隊だと思っている。一分一秒が作戦の成功に関与する…時間の正確さこそが自衛隊の優秀さの表れだと思うのである。
……そういえば。
「三穂さん」
「なに?」
「三穂さんてどこ所属なんですか?」
「あれ?言ってなかったっけ?駐屯地としては三笠さんと同じだよ、部隊は……秘密!」
「え?」
「アリスちゃんはオブザーバーになるからね、将来私の部隊とも確実に絡むことあるからそれまで秘密!」
「……旧日本の特殊作戦群とかみたいな特殊部隊的なとこにいるとか?」
「……ふふふ、どうだろうねえ」
「一佐帰るぞ」
気が付くと衣笠さんはすでに部屋の出口付近にいた。行動が速いな自衛官…。
「アリス君、三穂一佐も言ったが君は将来オブザーバーになる人間だ、我々……自衛隊のみならず国の中枢の人間とも接点は持つことになるだろう。それに関しては龍に教わると良いそればかりは我々より400年間もこの国の人間と接してきた龍の方が分かる。……が確かにこの国の同世代の人間とコミュニケーションをとるというのもこの国を知るという意味では一番な手段だ、龍の判断も悪くはない。だから今は新しい世界……魔法学校での学生生活を楽しむといい」
「はい」
「じゃあねえ!」
二人の自衛官は扉を開け自分の駐屯地…か自宅への帰路へついていった。
「……」
「師匠、一つ聞いていい?」
「なんだ?」
「うーんとねー、衣笠さんと何喋ってたのかな?って思った」
師匠の顔が渋くなった。聞かれたくないのかは分からないけど。
「……別に言っても良いが、一つ言ってもいいか?」
「何?」
「確かにこの場では二人の識人……旧日本人として話していたがこの国……第三者的に見れば日本の国防を担う重要な要職についてる一人の将校と国的に見ても結構な重要な位置に居るオブザーバーという役職についてる俺の会話だ、他の国の人間的には喉から手が伸びるレベルで欲しい機密情報になることもあるんだ。弟子とはいえお前はまだこの日本の一国民扱い……旧日本でも機密を知った人間がどういう扱いを受けるか知ってるんだろ?それを承知の上でもう一度聞くが、機密情報を知る覚悟はあるか?」
「……」
うーん、あああ、おおお!?
ブラフか?ただの友人としての会話の可能性もある、だけど旧日本でも総理大臣が誰かと会食するだけで新聞の記事だったり雑誌の餌食なることもある。それを考えたら……。
「遠慮しとくわ」
「それが賢明だ。……もう寝ろ。さっきも言ったが明日早いんだ、さっさと寝ろほらもう周りの奴らももう帰ってるぞ」
師匠に言われるまで気づかなかった。みんなやはり仕事があるのだろう、もう人がほとんど…っていうか後師匠と私と友里さんしか残ってない。
「そうだね、アリスちゃんも明日から学校だしね!私もやることあるし、龍君もこの後ちょっと仕事残ってるだろうし」
「分かりました、では」
二人はそのまま部屋を出ていく、私もさすがに入学式初日に寝坊して遅刻はできないのでそのまま自室に戻って眠ることにした。
「……普通転生した主人公ってそのまま異能とか使って冒険するもんだけど私の場合は普通に学校に通うのか―。まあ魔法使えるしそれは及第点……ねむ……寝よう」
こうして私は新世界での新しい世界での新しい生活に希望を持ちつつ眠るのだった。
師匠と幕僚長が部屋を出ていき自己紹介が終わったので飲みものを飲み休憩していると三穂さんが話しかけてきた。
「うーん……、銃を撃った記憶とかは無いんですけど、構造とか撃ち方とかは体が覚えてるんですよね」
「ふーん、ちょっと構えてみてよ」
「え?」
「弾は無いから空の弾倉入れてさ、もちろん人のいないところに向けないとだめだよ?」
「は、はい」
銃を手に取る。弾は入ってないとは言ってたけど、私の癖なのかマガジンを入れる前にスライドを引きチャンバー内に弾が装填されてないことを確認しそのままスライドストップを上げスライドを固定、そこに空のマガジンを入れてスライドを戻す。
「ほう……中々に手際が良いな」
「まあ旧日本にもBB弾を使った本物と同じ動きするガスガンとかあるから知識だけだったあるのかも。それでもまあ本物と比べたら重さも撃った時の反動は全然違うからねー!それは慣れるしかないかな!」
二人の言葉が話半分で右耳から入り左耳へと突き抜けていく、そして部屋の人がいない場所に視線を向けると小さい机の上に花瓶が置いてあったのでそこに銃口を向けた。
「……」
トリガーにまだ指はかけずに右手でグリップ部を握る、空いている左手でグリップを握っている右手を包み込む、主にトリガーにではなくトリガーガードより下にあるグリップを握っている三本の指に対してである。もちろん前世の記憶はないが、映画による記憶の知識かそれとも体が覚えているのかは謎だが自然と銃を構えてしまう。
後は撃つだけ、その時になって初めてトリガーに指をかける。
グロックは普通の銃とは違いセーフティー……つまり安全装置が存在しない、替わりにトリガーセーフティーと呼ばれるものが存在する。要は撃つときにトリガーセーフティーを解除しつつトリガーを引かなければ打てない仕組みである。
最終的に打つときだけ両腕を一杯に伸ばし、少し内側に回転させるように力をかける、これである程度は反動に対して制御できる。
トリガーを引くときも引くというよりは指を握りこむようにすると撃つときに銃口がぶれずに精密射撃ができるらしい。そして……
トリガーを引いた。
チャンバーに弾は入っていないので撃鉄が落ちる音だけで弾頭は出ない。
「へー、本物ってこんな感じなんですね、でも初めてな感じがしないのは撃ったことあんのかな?……ってあれ?」
さっきまで丁寧に教えていた三穂さんや三笠さんが私に対して驚いた表情を向けていた。
「えーと……」
「何腑抜けた顔になってるんだ?」
振り向くと師匠が戻ってきていた。
「あ、ああ龍か、見送りは済んだようだな。何か話したのか?」
「ん?ああ……いや何も」
「そうか」
そのまま師匠はテラスの方に向かって歩いていった。
「どこへ行くんだ?」
「ん?一服」
そういうと師匠はテラスへ歩いていく、そして衣笠さんも何故か神妙な表情でその後をついていった。
「男二人……人気のないテラス……何も起きないはずもなく……かなあ?」
おっと三穂さんはそっちもありですかい?私も少しならいけるで!
「ちょっとついて行ってみようか!」
「え?ちょっ!」
三穂さんは私の手を掴むとテラスへ引っ張っていった。
「お?やってるねー!……まあやってると言っても煙草吸ってるだけだねー」
私と三穂さんはテラスの入り口で二人の男たちが静かに煙を吐いている光景を見ていた。
……こっちが変態じゃね?
まあそれより私は三穂さんに質問したいことがあった。本来なら私は師匠がいるのだからそっちに聞くのが普通だ。しかし旧日本でもあった言葉…「カルチャーショック」生きる時代が違えば価値観も知っている言葉も変わる……私は師匠がこれから三穂さんに聞こうとしている単語を理解できると思えないのだ。
「……三穂さん」
「ん?なんだろ?」
「この世界に来て聞いてみたかったことがあるんです。師匠に聞いても概念的にも分からないと思うので」
「ふーん、一応龍さん400年生きてるしこの世界のことで分からないことは無いと思うけどなあ」
「……この世界ってレベルって概念あるんですか?」
「……」
三穂さんは黙ってしまった、だが答えられない質問をされたというよりいい質問だねという顔だ。
「アリスちゃんはどう思う?」
「どうってうーん」
この世界に転生してきて初めて会った識人は師匠だった。だが、師匠は物の価値感が400年前の人間、私以外にも今の今まで転生してきている人間はもちろんいるだろう。そういう人間から言葉を教わるなんて普通である……がそれでも知っていても使う機会が無ければ今が無いし形骸化するだけだ。
レベルって概念はまんまゲームやパソコン関係の用語だ、しかしこの世界にパソコンなんてものはない。つまりレベルなんて言葉自体はあるだろうが師匠がその言葉の意味や使い方を知っているということは私としては無いと思うのである。
それにたった数日だが、今までの師匠の言動から新しい情報は耳には入れるだろうけど意味を理解しようとしないという人間であると感じた。
それにこの世界に来て数日何人かの識人やいろんな人と会ってきたがレベルやステータス的なものを見た記憶がない、大抵新しく会った人なら失礼ながらレベルやステータス等を知りたいと思うのはゲーマーや日本人ならあると思う。
だが、この世界は異世界……一般的ななろう系の異世界ならばステータス表示はある……のでこの世界でもあると思いたい。
「個人的な希望ならここは異世界だし、そういうのがあっても悪くないかなと」
「ふーん、でも残念。この世界はレベルっていうかステータス?みたいなのは存在しないよ。ちょっとがっかり?」
「うーん、どうだろう……でも転生なんて多分よほど運がないとできませんし、魔法使えるからそれで充分かな。三穂さん個人としてはどうですか?」
「そうだねー、私としてはそういうの無い方が楽しめるから良かったかな」
「楽しめる?」
「よくさ、ゲームでもステータスって天井……つまりある程度行くともうレベルが上がらないことがあるじゃん?でもそれってつまらなくない?それに例えばだけどほしい特技とかスキルがあっても職業とか個人のステータスで身に付けられないことあるじゃん?それが嫌なんだよね。それにさゲームとかだと経験値とかスキルポイントとか使って簡単にそういうの取れるし後は練習しなくてもいいじゃん?それってさつまらなくない?欲しいスキルがあるんなら自分が満足するまで練習して特訓して極めた方が人間らしいし私としては楽しいんだよね!」
この世にある大抵の転生系の主人公を全否定した発言だがこの世界だとそれが普通であくまで魔法が使える第二の地球という扱いなのだろう。
「何しゃべってんだ?」
「うおっ!師匠」
衣笠さんと一服を終えた師匠が目の前に居た。
「この世界についてちょっとアリスちゃんに教えてたんだよ」
「何故俺に聞かない」
「師匠……ステータス画面とかレベルって言葉分かります?経験値とかスキルとか」
「……わからん」
「でしょうね」
「なるほどさすがに400年生きてる龍でも旧日本の現代……パソコンやゲーム等の言葉はこの世界にはまだ無いから知らないか。できればパソコンが出来ればこの国も旧日本へ一歩前進するんだが」
「どれほど進むんだ?」
「かなり」
「だからどれぐらいだ」
「かなり変わるぞ?旧日本の現代技術はほとんどといっていいほどパソコンの技術の応用だからなこの国の防衛設備も大幅にアップグレードできるし、日本の基礎研究のスピードや精度もかなり向上する。それに国民の生活も豊かになる」
本当にこれはマジだ。女子高生になる私としてはスマホが無いのが精神的に来るものがある。それにパソコンがあれば事務作業的にもかなり楽になるはずだし、一気に生活の水準が跳ね上がると言ってもいい。
「アリスもがっかりしていたが作れないんだろ?なんだっけ?シーピーユー?が作れないからパソコンは作れないと言っていたが」
「人間には脳みそがあるだろ?CPUはパソコンの脳みそに当たる部分だ。これがないとパソコンは動かない」
「何故作れない?」
「うーん、何故か……私もそこまで詳しいわけではないからな説明はできないな」
「じゃあ代わりに私が」
現代の若者を舐めるなよ?といっても現代の女子が全員電子部品に詳しいわけではないと思うけど私は何故か知識がある。
「多分ですけどCPUの構造的には今の日本でも作れます。日本人の長所は超細かい精密作業が得意なので部品と設計図的なものがあれば作れます。といっても最初はパソコンを作るパソコンが無いのでかなり大きいパソコンになるでしょうけど」
「なるほど、では今の日本に作れない理由は何だい?」
「簡単です、どんなにパソコンの構造に詳しく自作できるできる人でも、パーツそのものを作るとなると別問題でしょう?例えばいくらグラボの種類とかパーツごとの性能差が詳しい人でもグラボの内部の電子部品や回路がどう引かれているかまで詳しい人間はそういないですよね?」
「ああそういうことね、私もスマホなら設定とかならできるけど中身ばらして修理とか普通に業者に頼むわ」
「しかも、私の知識が正しければパソコンの基礎を作った人ってイギリス人なんですよ」
「い、イギリス?」
聞いたことが無い国名に困惑する師匠だが今はいちいち反応すると会話にならないのでスルーする。
「第二次世界大戦時にドイツの暗号機を破るためにイギリスの変態ともいえる科学者が作ったのがパソコン……というかCPUの中央演算なんちゃんらの始まりなんです。まあ今は調べようと思えば調べられますし日本でも知っている人はいると思いますけど、その人がこの世界に転生するかと言われれば……ていう問題なんですよねー」
「「「……」」」
三人が黙ってしまった。言っていることが分からないではなく(約一名はそうだろうが)恐らく知っている人間が旧日本で死に転生してくるのは絶望的だと言えるので黙ってしまったのだろう。
「ま、まあこの日本の研究所でも我々の知識を補助にしてパソコンの研究をしてるからある程度待つことは大事か……」
すると師匠が部屋の空間の一部を静かに見ていた。
「どうしたの師匠?」
「そろそろ時間だ。お開きにしよう」
「えええ」
「お前明日から学校に行くんだからな?それに入学式もある、距離もあるから早起きしなきゃならん。早寝早起きは重要だ」
「そうだな、それに我々も仕事がある。そろそろお開きとしようか」
「そうだね、私も部隊の奴らと明日の訓練等の会議あるから帰らんと」
忘れていた、師匠を除いて彼らは自衛官だ、他の職種の人間を卑下するつもりはないけど私の中で一番時間に厳しいのは自衛官…自衛隊だと思っている。一分一秒が作戦の成功に関与する…時間の正確さこそが自衛隊の優秀さの表れだと思うのである。
……そういえば。
「三穂さん」
「なに?」
「三穂さんてどこ所属なんですか?」
「あれ?言ってなかったっけ?駐屯地としては三笠さんと同じだよ、部隊は……秘密!」
「え?」
「アリスちゃんはオブザーバーになるからね、将来私の部隊とも確実に絡むことあるからそれまで秘密!」
「……旧日本の特殊作戦群とかみたいな特殊部隊的なとこにいるとか?」
「……ふふふ、どうだろうねえ」
「一佐帰るぞ」
気が付くと衣笠さんはすでに部屋の出口付近にいた。行動が速いな自衛官…。
「アリス君、三穂一佐も言ったが君は将来オブザーバーになる人間だ、我々……自衛隊のみならず国の中枢の人間とも接点は持つことになるだろう。それに関しては龍に教わると良いそればかりは我々より400年間もこの国の人間と接してきた龍の方が分かる。……が確かにこの国の同世代の人間とコミュニケーションをとるというのもこの国を知るという意味では一番な手段だ、龍の判断も悪くはない。だから今は新しい世界……魔法学校での学生生活を楽しむといい」
「はい」
「じゃあねえ!」
二人の自衛官は扉を開け自分の駐屯地…か自宅への帰路へついていった。
「……」
「師匠、一つ聞いていい?」
「なんだ?」
「うーんとねー、衣笠さんと何喋ってたのかな?って思った」
師匠の顔が渋くなった。聞かれたくないのかは分からないけど。
「……別に言っても良いが、一つ言ってもいいか?」
「何?」
「確かにこの場では二人の識人……旧日本人として話していたがこの国……第三者的に見れば日本の国防を担う重要な要職についてる一人の将校と国的に見ても結構な重要な位置に居るオブザーバーという役職についてる俺の会話だ、他の国の人間的には喉から手が伸びるレベルで欲しい機密情報になることもあるんだ。弟子とはいえお前はまだこの日本の一国民扱い……旧日本でも機密を知った人間がどういう扱いを受けるか知ってるんだろ?それを承知の上でもう一度聞くが、機密情報を知る覚悟はあるか?」
「……」
うーん、あああ、おおお!?
ブラフか?ただの友人としての会話の可能性もある、だけど旧日本でも総理大臣が誰かと会食するだけで新聞の記事だったり雑誌の餌食なることもある。それを考えたら……。
「遠慮しとくわ」
「それが賢明だ。……もう寝ろ。さっきも言ったが明日早いんだ、さっさと寝ろほらもう周りの奴らももう帰ってるぞ」
師匠に言われるまで気づかなかった。みんなやはり仕事があるのだろう、もう人がほとんど…っていうか後師匠と私と友里さんしか残ってない。
「そうだね、アリスちゃんも明日から学校だしね!私もやることあるし、龍君もこの後ちょっと仕事残ってるだろうし」
「分かりました、では」
二人はそのまま部屋を出ていく、私もさすがに入学式初日に寝坊して遅刻はできないのでそのまま自室に戻って眠ることにした。
「……普通転生した主人公ってそのまま異能とか使って冒険するもんだけど私の場合は普通に学校に通うのか―。まあ魔法使えるしそれは及第点……ねむ……寝よう」
こうして私は新世界での新しい世界での新しい生活に希望を持ちつつ眠るのだった。
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※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
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