”お飾り王妃”の立て籠もり

KAORU

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プロローグ 王妃宮の門は閉ざされた

 その日、王妃宮の門が閉ざされた。

 以後、外部の者は、許可したもの以外、出入りを禁じられた。
 それはこの国の主である、王も然り。

 宮の門扉は堅く施錠され、騎士が配備されている。
 王妃宮を任されている第2騎士団が周囲を固めているのだ。
 護衛を任される騎士たちは、一様に『王妃様の許可なきものは何人であれ通さぬ』と答える。

 第2騎士団の規範には、『王より王妃を優先し、護衛する』と規定されている。だから、王の側近であれど通しはしない。

 門が閉ざされたその瞬間から、王側の者は誰も王妃に逢うことが出来なくなった。

 王宮内は騒然となった。
 何せ、王妃宮に勤めるもの以外、王妃の元に出入り出来なくなったのだから。

 今まで、周りには、王と王妃の仲は問題ないように思えた。
 互いに尊重し合っていたし、大きな仲違いがあったようにも見えなかった。
 
 ひとつ、懸念されることと言えば、娶せてから2年、子が出来ないことであるが、王はそのことに対し、

『互いにまだ若い。焦ることはない』

 と、周囲に伝えていたという。

 それでも、2年も経てば、周りは騒がしくなる。
 自身の娘を側妃に立てようと画策する貴族も現れる。
 その中でも、一際信憑性を帯びた噂がひとつ、浮かび上がる。

 王も、またその側近も。
 その噂をこう断じていた。

『有り得ない』

 しかし、その噂は、いくら抑えても拡がり続けた。
 消せども消せども燻り、また燃えあがるその噂を王妃が耳にしないはずもなく。

 王は幾度となく、噂の否定をしたものの、なぜか王妃には正しく伝わらず。

 世間では、実しやかにこう囁かれるようになる。
 

『王妃はお飾り。王の愛は別にある』
 


 とうとう、王妃は、宮を閉鎖してしまったのである。
 

 
 
 
 

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