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1.若き王
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クラウス・ベルアート・クラウゼンは、齢18にして、クラウゼン王国の王となった。
父である前の王が、病により死したため、まだ引き継ぎも半端なまま即位することになった。
即位にあたり、長らく婚約者であった筆頭公爵家コールマンの娘、アンジェリカと婚姻した。
アンジェリカとの婚姻は、前王のたっての悲願であった。
賢王と呼ばれた父は、病魔に勝てず、まだ若輩のクラウスに王位を移して旅立った。
「必ずアンジェリカ嬢を妻にするんだ。お前に幸を齎すだろう。遺して逝く私を赦してくれ。愛しているよ、クラウス」
それがクラウスの父の最後の言葉だった。
妻となったアンジェリカは、コールマン公爵家の長女で、幼き頃より決められた許嫁だった。
いわば幼馴染。子供の頃からともに国を背負う者として、切磋琢磨してきた仲である。
決して、甘いだけの関係ではなかった。それでも10年を超える共闘は、二人に確かな絆を齎していると周囲にも思われていた。
しかし、それは喪に服す中での婚姻であったから、一部から当然反対の声が上がった。
主に反対をしていたのは、伴侶を亡くした王妃の一派だった。
夫を亡くした妻の心情としては、すぐに慶事とは納得がいかないのは理解できる。しかしクラウス陣営は、この意見に他の意図を見て、彼ら反対の声に耳を貸さなかった。
そうして為された婚姻。すでに2年が経過した。
しかし、その2年間、クラウスは忙しかった。
クラウスは父の言葉通り、王となり、アンジェリカを妻を据えたが、兎に角、国を安定させることに時間を割いた。
もちろん、王妃となったアンジェリカも同じく。
二人は、婚約時代から変わらず、互いの役割を正しく理解していたのだ。
だからクラウスは、疑っていなかった。
彼女は何時も隣にいるということを。その存在を失うことなど、有り得ないことだと。
「……それは、どういうことだ?」
そんなクラウスだからこそ、その報告に対する返しに驚きの色が含まれたのは致し方ない。
側近から齎されたのは、妻の拠点である王妃宮が閉ざされたという信じられない一報だったからだ。
「王妃陛下は、門を閉ざされたとのことです。連絡を受け、私が王妃宮へ伺いましたが、立ち入りは許可できぬと」
クラウスに報告を挙げたのは、側近の一人である。クラウスの執務室には、複数の文官が詰めているがそのうち、最も王妃宮との接点が多い者だった。
「対応したのは誰だった?」
「第2騎士団の師団長の一人でございました。陛下に、これを、と」
差し出されたのは、一通の書簡。アンジェリカが好んで使う練り香水の香りが鼻を擽る。
表には、見慣れた妻の字で、クラウスの名が書かれていた。
クラウスは、封を開けることなく立ち上がった。
「ギルバートを呼べ。私は隣へ下がる。そこに来るようにと伝えてくれ」
父である前の王が、病により死したため、まだ引き継ぎも半端なまま即位することになった。
即位にあたり、長らく婚約者であった筆頭公爵家コールマンの娘、アンジェリカと婚姻した。
アンジェリカとの婚姻は、前王のたっての悲願であった。
賢王と呼ばれた父は、病魔に勝てず、まだ若輩のクラウスに王位を移して旅立った。
「必ずアンジェリカ嬢を妻にするんだ。お前に幸を齎すだろう。遺して逝く私を赦してくれ。愛しているよ、クラウス」
それがクラウスの父の最後の言葉だった。
妻となったアンジェリカは、コールマン公爵家の長女で、幼き頃より決められた許嫁だった。
いわば幼馴染。子供の頃からともに国を背負う者として、切磋琢磨してきた仲である。
決して、甘いだけの関係ではなかった。それでも10年を超える共闘は、二人に確かな絆を齎していると周囲にも思われていた。
しかし、それは喪に服す中での婚姻であったから、一部から当然反対の声が上がった。
主に反対をしていたのは、伴侶を亡くした王妃の一派だった。
夫を亡くした妻の心情としては、すぐに慶事とは納得がいかないのは理解できる。しかしクラウス陣営は、この意見に他の意図を見て、彼ら反対の声に耳を貸さなかった。
そうして為された婚姻。すでに2年が経過した。
しかし、その2年間、クラウスは忙しかった。
クラウスは父の言葉通り、王となり、アンジェリカを妻を据えたが、兎に角、国を安定させることに時間を割いた。
もちろん、王妃となったアンジェリカも同じく。
二人は、婚約時代から変わらず、互いの役割を正しく理解していたのだ。
だからクラウスは、疑っていなかった。
彼女は何時も隣にいるということを。その存在を失うことなど、有り得ないことだと。
「……それは、どういうことだ?」
そんなクラウスだからこそ、その報告に対する返しに驚きの色が含まれたのは致し方ない。
側近から齎されたのは、妻の拠点である王妃宮が閉ざされたという信じられない一報だったからだ。
「王妃陛下は、門を閉ざされたとのことです。連絡を受け、私が王妃宮へ伺いましたが、立ち入りは許可できぬと」
クラウスに報告を挙げたのは、側近の一人である。クラウスの執務室には、複数の文官が詰めているがそのうち、最も王妃宮との接点が多い者だった。
「対応したのは誰だった?」
「第2騎士団の師団長の一人でございました。陛下に、これを、と」
差し出されたのは、一通の書簡。アンジェリカが好んで使う練り香水の香りが鼻を擽る。
表には、見慣れた妻の字で、クラウスの名が書かれていた。
クラウスは、封を開けることなく立ち上がった。
「ギルバートを呼べ。私は隣へ下がる。そこに来るようにと伝えてくれ」
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