【完結】婚約破棄されたので、全力で応援することにしました。ふふっ、幸せになってくださいね。～真実の愛を貫く代償～

婚約破棄されたので、全力で応援することにしました。ふふっ、幸せになってくださいね。～真実の愛を貫く代償～

第一話 真実の愛？それは応援しないといけませんね。

「エルヴリン、私はお前との婚約を破棄する。もう決めたことなんだ」

　アントミーの突然の宣言にエルヴリンは驚いた。

「え……。殿下、理由をお聞かせください。わたくしが何かしてしまったのでしょうか？」

「そもそも幼いころに親同士が決めた婚約。破棄したところで問題ないだろう？」

（家と家の関係なんだからむしろ問題あるでしょうに。この人は何を言っているのでしょう……）

「わたくしとの婚約を破棄したいというお気持ちは理解いたしました。ですが殿下、理由をお聞かせください。わたくしが何かしてしまったのでしょうか？」

　アントミーは少し間を置いて理由を話した。

「実はな……私はケリーと婚約しようと思っている。もう決めたことなんだ」

「ケリー様？　失礼ですが、わたくしはその方を存じ上げません。どのような方なのでしょうか？」

「ケリーは私の世話係だ。私が小さい頃から私のことを一番理解してくれている。先日やっとお互いの気持ちが確かめ合えたんだ」

　エルヴリンは婚約破棄をされたことより、理由となった相手の女性に驚いた。

（ケリー、そうだ確かに世話係はそんな名前だった。かなり歳上のお姉さんよね？　あの感じの悪い女）

「失礼ですがケリーさんは平民ではないのですか？　それに殿下とお歳も離れてらっしゃいます」

「そうだ。だがそんなことは関係ない！　私は親が決めた相手ではなく真実の愛を貫きたいんだ。俺の決心は変わらない」

（真実の愛ですか。決心は変わらない、それは応援しないといけませんね……ふふっ）

「殿下、わたくし感動いたしました！　是非応援させてください！」

「そうかわかってくれたか！　お前には申し訳ないと思っている。出来る限りの謝罪はしよう」

「謝罪などなさらないでください。お互いの家にどう伝えるかこれから作戦を練っていきましょう」

　エルヴリンは真剣な顔でそう提案した。

「そこまで考えてくれるのか。ありがたい」

　こうしてエルヴリンとアントミーは婚約破棄のための作戦を考えることになった。