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巻1*5人の美人殺し屋たち
Mission.4 恋の媚薬に気をつけろ!
しおりを挟む屋敷に入り、並べられた椅子に座ると
隣には元バディのアッシュが座っていた。
アッシュは俺を見て力なく笑う。
「まさかお前と
ペナルティ3を受ける日が来るとはな。」
「お前と組んでた頃は
ペナルティなんて殆どうけなかったし
受けてもせいぜいペナルティ1だった。
出世なんてするもんじゃないな。」
アッシュが言い終えたのと
ほぼ同じくらいのタイミングで
椅子の後ろからベルトが出てきて体を固定された。
アッシュは慣れたように腕を椅子の肘置きに乗せる。
俺もそれを真似すると
腕も胴と同じように固定された。
「お前、スリー受けるの初めてじゃないのか?」
「ああ。
ライムと組んでからは、ほぼ毎月スリーとフォーを
行ったり来たりしてる。
お前、スリーは初めてか。
カメリアは意外と頑張ってるんだな。
可愛いし羨ましいよ。」
メイドが六人ほど部屋に入ってきたかと思ったら
無表情で俺たちにホースを向ける。
一番左のメイドが右手を挙げると
超高水圧の泥水が
俺たちの顔面を数秒間直撃した。
それを10秒ごと、7セットほど繰り返すと
一番右のメイドが左手を挙げて
メイドたちは撤収作業に入る。
メイド達がいなくなると
奥の部屋からボスが出てきて、
愉快そうに俺たちの写真を撮影した。
「アッシュとマゼンダの
泥だらけツーショット!
最高だ!部屋に飾ろう!!」
ボスが指を鳴らすとベルトが外れる。
メイドが出て行く時に
膝の上に置いたタオルで顔を拭った。
「使えないバディを持つと
世界への絶望が強くなるだろ?」
アッシュは綺麗に顔を拭うと
ボスに笑顔で頭を下げた。
「イエス、ボス。
ライムといる時間は最高に刺激的で
死への恐怖どころじゃなくなります」
ボスは一回笑うと
足元に置かれたバケツを持ち
入っていた水を俺たちに乱暴にかける。
ボスが部屋から出て行くと
再びメイドが入ってきて
テーブルに食事を用意した。
メイドに示されるがままに席に着くと
グラスにワインを注がれる。
「おい、アッシュ。
ペナルティスリーは食事付きなのか?」
俺の質問にアッシュは首を振って
濡れたジャケットを脱いで椅子にかけた。
「そんなわけないだろ。
どうせ変な調味料でも入れて俺たちの苦しむ顔を見たいとか
そんな理由なんじゃないか。
ボスの考えることは分からないからな。」
俺はグラスを口につけようとしてから
慌ててワインを床に捨てた。
アッシュもワインの香りをかいで
窓からワインの中身を捨てる。
屋敷の中では銃やナイフは持ち込み禁止だ。
俺は仕方なく
グラスを割って、破片を刃物にする。
アッシュはフォークを持って
俺の背中に回った。
「…俺もフォークにすればよかった。
グラス、弁償になる。」
「来月もペナルティだな。」
「二人とも気付くなんて
びっくりしちゃった。」
広い部屋に用意されていた机の下から
タイトなワンピースに
ガーターベルトをつけて
ウェーブのかかった髪を片方に垂らす
とにかく胸の大きい女が現れた。
「…マゼンダ、大変だ…」
「ああ。
気配に全く気づかなかった。
お前いったい、」
「エロすぎて鼻血が出そう」
アッシュの言葉にその女は少し微笑むと
ゆっくりこちらに近づいてから
アッシュに体を密着させると
こめかみに人差し指をつきつけ
「ばん」と、小さい声でつぶやいた。
アッシュの鼻からタラーと血が出る。
「お前何者だ?」
「シラサギ、って言えば伝わるかしら」
そして俺に近づき
ゆっくり唇をなぞった。
「あなたがマゼンダね。
噂で聞くよりセクシー。
夜が楽しみだわ」
俺の右手を自分の胸に持ってきて
わざと触らせてくる。
隣でアッシュが更に血を流していた。
「…お前大丈夫か?」
「お前こそ、本当に男か?!
シラサギに会って生きて帰れた男はいないぞ?」
アッシュの言葉にシラサギは
照れ臭そうに舌を出して笑う。
そして俺の座っていた椅子に座り足を組む。
下着が見えそうで見えない。
「私を知ってくれてるのね。」
「スパイ活動してる奴で、あんたを知らない殺し屋はいない。
マゼンダは殺し専門だから
聞いたことなかったのかもしれないが。
呪いの魔女と呼ばれている。
出会ったら全ての情報を吐かされて、
キスをされたら最後。
全員、恍惚の表情のまま死んでいく。
男も女も。」
アッシュは鼻をティッシュで押さえながら冷静に説明する。
シラサギは胸元のボタンを一つ開けて
谷間から小瓶を取り出し、俺の前に見せた。
「さっき、あなた達のワインに入れたのは、この興奮剤。
セックスしたくなっちゃうだけだから
飲んでも体に支障はないわ。」
「その状態で勤務するのは
ペナルティ6並にきついな。」
アッシュはまだ鼻を押さえたまま
声だけ冷静に呟いた。
「でも、香りだけで気付くなんて二人ともすごい。
昨日この部屋に来た金髪の目の青い男の子と
ピンクの長髪の眼鏡をかけたスーツの女の子は
グビグビ飲んで、ハアハア言ってたけど。」
「ライムとカメリアだ…。
おっぱじまらなかったか?」
「二人とも相当悩んだけど
メイドちゃんがギリギリで助けてあげてたわ。」
俺はびっくりしていた。
俺も、アッシュも、ライムも、カメリアも
誰一人として
シラサギがここに隠れていることに気づかなかった。
「俺が人の気配に勘づかなかったのは8年ぶりだ。」
「ふふふ。
スパイ組織のボスの、妾の女として生まれたから
仲間からも逃げなきゃいけなくて
隠れんぼが得意になったのよ。」
アッシュが何とも言えない顔をする。
そういえばアッシュも元々、
国王が遊びで作った子どもで
殺されかけてボスに拾われたと言っていた。
「かくれんぼはスパイの練習に欠かせないからな」
「あら。
子育ての方針は合いそうで安心したわ。」
過去を無闇に探らないこと。
それはこのゲームだけじゃなくて
この世界のルールだ。
「…は?子育て?何の話だ?」
「ああ。アッシュには言ってなかったな。
ボスの命令で五人の女の中から
一人選んで子どもを作るミッションを遂行中なんだ。
その一人がシラサギだ。」
シラサギはアッシュに笑顔で手を振る。
アッシュは手に持っていたフォークを
握ってぐにゃりと曲げた。
「なんで、お前は美女に囲まれてて
俺はあの金髪美少年のお世話係なんだよ!」
「フォーク、弁償だな。」
「俺も女と仕事がしたーい!!」
アッシュの叫びは天井に跳ね返り
部屋に虚しく鳴り響いた。
2021.09.28
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