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玄関口、男性は「ジュースありがとう」
と男の子に言った。すると男の子はどこか不安げに男性に尋ねた。
「両親に連絡したりしないよね?」
男性はまた笑う。
「大丈夫、約束は守るよ」
約束、とひかりは一人出ない声で訊ねた。けれど男性が答えることはない。外に出ようとした時だった。男の子が「おじさん!」と呼んだ。男性が振り向くと、男の子は何か小さな包みを男性に差し出した。ひかりは二人を見て首を傾げた。手の内に収まる大きさの紙包み。
「あの人にあげて」
男の子はそう言った。
それから男性が向かったのは、男の子の家から二つ隣の家だった。男性は胸ポケットから小さな紙を取り出すと、確かめるようにしてインターホンを押す。やがて出てきたのはひかりと同世代の女性だった。
「香織さんですか?」
男性は尋ねた。えぇ、と答える女性に、男性はつづけた。
「ちょっとお話があるんですが」
「何ですか?」
少し嫌そうな顔をして女性は尋ねた。
「出てきていただけると・・・」
男性がそう言うと、女性は家の中を気にしたものの、しぶしぶドア口から出てくる。
「一体何ですか?」
女性が改めて尋ねると、男性は言った。
「瞬君という男の子をご存知ですか?じつはあなたのことを気にしてましてね」
すると女性は何かを気にするように腕をさすり始めた。
「預かりものをしていまして、お渡しに来たんです」
男性が言うと、女性は不審げな顔を向けた。
「すみませんが、ちょっと私と手をつないでもらえませんか」
女性は、は、と眉を寄せる。
「繋いでいただくだけでいいですから」
男性がほほ笑むので、女性はひかりと男性を交互に見た。ひかりは女性に向かって頷く。女性は分からないという顔をしながらもやがて右手を差し出した。男性はその手をつかむ。そして、「君も手を出して」とひかりにも言った。え、と今度はひかりが訊いた。男性は言う。
「早く」
言われてひかりもおずおずと右手を差し出した。
手をつないだ刹那、海に流れ落ちるような力を感じて驚いて、ひかりは男性を見た。しかし、目の前にいたのは男性ではなく、先ほど会った瞬君という男の子だった。
と男の子に言った。すると男の子はどこか不安げに男性に尋ねた。
「両親に連絡したりしないよね?」
男性はまた笑う。
「大丈夫、約束は守るよ」
約束、とひかりは一人出ない声で訊ねた。けれど男性が答えることはない。外に出ようとした時だった。男の子が「おじさん!」と呼んだ。男性が振り向くと、男の子は何か小さな包みを男性に差し出した。ひかりは二人を見て首を傾げた。手の内に収まる大きさの紙包み。
「あの人にあげて」
男の子はそう言った。
それから男性が向かったのは、男の子の家から二つ隣の家だった。男性は胸ポケットから小さな紙を取り出すと、確かめるようにしてインターホンを押す。やがて出てきたのはひかりと同世代の女性だった。
「香織さんですか?」
男性は尋ねた。えぇ、と答える女性に、男性はつづけた。
「ちょっとお話があるんですが」
「何ですか?」
少し嫌そうな顔をして女性は尋ねた。
「出てきていただけると・・・」
男性がそう言うと、女性は家の中を気にしたものの、しぶしぶドア口から出てくる。
「一体何ですか?」
女性が改めて尋ねると、男性は言った。
「瞬君という男の子をご存知ですか?じつはあなたのことを気にしてましてね」
すると女性は何かを気にするように腕をさすり始めた。
「預かりものをしていまして、お渡しに来たんです」
男性が言うと、女性は不審げな顔を向けた。
「すみませんが、ちょっと私と手をつないでもらえませんか」
女性は、は、と眉を寄せる。
「繋いでいただくだけでいいですから」
男性がほほ笑むので、女性はひかりと男性を交互に見た。ひかりは女性に向かって頷く。女性は分からないという顔をしながらもやがて右手を差し出した。男性はその手をつかむ。そして、「君も手を出して」とひかりにも言った。え、と今度はひかりが訊いた。男性は言う。
「早く」
言われてひかりもおずおずと右手を差し出した。
手をつないだ刹那、海に流れ落ちるような力を感じて驚いて、ひかりは男性を見た。しかし、目の前にいたのは男性ではなく、先ほど会った瞬君という男の子だった。
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