〜転移サイボーグの異世界冒険譚〜(旧題 機械仕掛けの異世界漫遊記) VSファンタジー!

五輪茂

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第23章 クレイジージャーニー in 【獣王闘国】

第192話

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 ーーー ヒロト達が村を襲撃している"獣人狩り"達にを敢行していた時を同じくして、件の村を目指して森の中を疾走する別の一団があった。

「大変!煙りが上がっているのが見える⁉︎ もう襲撃が始まっているわ!」

 一団の中で、唯一背で羽撃く鷹翼によって木々の上を飛行する少女が声をあげた。

「何だとっ⁉︎ オフィランサス、君の耳にも聞こえるかっ?」
「待って…。金属の打ち合う音…、女の人の悲鳴……、子供達の鳴き声……。ええ、聞こえるわ!」

 一団のリーダーと思しき黒い狼耳の青年が兎耳の少女に尋ねると、驚いたことに彼女はまだ遠く離れた村の様子を聞き取ったらしく、美しい面差しを悲しげに曇らせて少女はそう答える。

「クッ!間に合わなかったか…!未然には防げなかったのは残念だが、一刻も早く村へと急ぐぞ皆んなっ‼︎ 」

『『『『『 応っ‼︎‼︎ 』』』』』

 それはたった今会話をしていた狼耳の青年や兎耳の少女、樹上を飛ぶ鷹翼の少女の他、様々な獣人族で混成された一団であったが、そんな中でもただひとつ、全員が同じ意匠で作られた革鎧などを装着しているところを見ると、彼等全員が同じ組織に属した者達であることが伺える。

 彼等は一様に強い使命感に彩られた怒りの表情を浮かべながら、一層その走る速度を上げたのだった ーーーー 。





「よう、随分と楽しそうにはしゃいでるじゃねぇか?俺も混ぜてくれよ………! 」



 な、何だこの男は……⁉︎ 

 漸くクソ生意気な犬ッコロにをさせられた…!と思ったところで現れた、黒髪に黒目の男。
 格好からすると冒険者のようだが…?まさかお節介にも英雄気取りで救助に、という訳ではないだろうが、偶々立ち寄った村が盗賊か何かの襲撃でも受けていると勘違いして、謝礼目当てに助けにでも来たのだろう。

 恐らくさっきから騒がしかったのもコイツとその仲間共の仕業か?取り敢えず金でカタがつくならばそれで良し。だが、あくまで英雄を気取り下らんマネをするならば………、クククククッ !



 
 ………な~んて考えてんだろうな、コイツは。

 コイツがまだ余裕ブッこいていられるのは、周りで弓や魔法を準備した状態で隠れてる伏兵がいるからだろう。さぁて、何て言ってくるのかね?

「ふむ?どうでしょう、ここはお互い、"何も見なかった事"にしませんか?勿論"タダ"とは言いません。相応の対価は出させていただきますよ?お互い?」

 これ、暗に逆らえば命はないぞ?って脅してるんだろうなぁ…。なんでこういう連中ってのはいつも上から目線なんだ?
 両手で宙吊りにしていた男達の系動脈をクイッと締めて意識を奪ってから、ゴミのように放り投げる。するとリーダーらしき男はそれだけでビクッとなっていて、態度だけは偉そうなクセに、"小物臭"がプンプンする。

 あ~、何だかあんまりにも小悪党過ぎて馬鹿ばかしくなってきたな?村人に被害も出てることだし、"茶番"はさっさと終わらせよう。取り敢えず、こいつが"どこ"の"誰"なのかをはっきりさせようと〈鑑定〉してみたところ…予想外…というか、の結果が出てしまった。

 おいおい、これから婆さんの使いだってのに頼むぜ……。

「どうしました?私も暇じゃないんですがねぇ……… 」
「もういい。いい加減その臭い口を閉じろ。ロゼルダ商人のリグモさん…を、ジューダス聖王国の"奴隷商人"モグリさんとやら 」
「……⁉︎ な、なぜそれをっ⁉︎ こ、殺せっ!こいつは危険だ!殺せぇぇぇぇぇっ!」

 偽装していた表の経歴どころか、隠していたはずの本当の正体まで看破されたことで顔面を蒼白にするモグリ。
 慌てて俺に狙いを付けているはずの伏兵に向かって攻撃の指示を出すが…。

 ーー ドサッ、ドサドサッ!ーー

 木の上や物陰から落ちて倒れ込む男達。

「ひ…っ!な、何故…っ⁉︎ 」
「バレたんだ!ってか?浅いんだよ、やり方が。もういい、寝てろ 」

 そう言って俺はモグリを殴り倒した。

「ああっ!アナタぁ…っ!」
「チコっ!大丈夫か!…すまない、俺の牙が弱いばかりに…… 」

 奴等に陵辱されかけていた女性が、血塗れのまま横たわる男性に走り寄って縋り付く。

「あの…、妻を助けてくれたこと、心から感謝する。だが、あなた方は…?」

 女性に助け起こされながら、感謝の言葉を口にする男性。警戒が解けていないのは仕方ない、彼にしてみれば俺とて見知らぬ人間だ。

「通りすがりの冒険者さ。仲間の一人がこの村が襲われてるのを察知してな、お節介ながら助けに来たのさ。…っと、酷い怪我だな。ちょっと待てよ?」

『アイ、頼む 』
『イエス、マイマスター。《治癒ヒール》!』

 アイに頼み《治癒》の魔法を施してもらう。すると、かざした手の先でみるみるうちに傷が治っていく男性。女性の顔にあった殴られた痕らしき腫れもアッと言う間に完治してしまった。

「こ、これは…⁉︎ あなたは《治癒魔法》まで使えるのかっ? 重ね重ねすまない、感謝する。俺の名はタロ、この村の狩り頭だ。こっちは妻のチコ……そ、そうだ、コロ!コロは無事なのかっ!」

 急に誰かの名前を呼んで慌て出すタロ。察するにコロってのは子供の名前か?

「それはー、この子のことかー?安心しろー、無事だぜー 」

 ニカっと笑いながら、ダイが五歳くらいの女の子の手を引いて歩いて来た。

「おかーさん!おとーさぁんっ!うえぇぇぇぇぇぇぇぇんっ!」
「コロっ⁉︎ 良かった…!良かった…… 」

 ヒシっと固く抱き合い、涙する三人の親子。無理もない。本当なら無理矢理引き裂かれ、奴隷に落とされて過酷な運命が待っていたかもしれなかったのだから。

「よ!お疲れさん。。状況は?」
「よー、なかなか調子良いぜー、。馬鹿共は全員制圧済みで、村人は死亡が三、暴行された娘が二だな。今はティーリ達が怪我人の救護やケアに当たってるぞー。けど、はどうするんだー?」

 ホルスターから拳銃を俺に見せながら、満足気にニカっと笑うダイ。そう、さっきの伏兵はダイが銃撃して始末してくれたのだ。

 ダイの報告は簡潔だ。俺もダイも『もう少し早ければ…』などとは言わない。想いはあるが、言ってもどうしようも無いし、部隊にいた頃はこんな事はしょっちゅうだったからだ。

「前に似たような依頼を受けたことがあってな、その時にアイに【隷属の首輪】の〈魔術回路マジックサーキット〉プログラムをハッキングしてもらったんだ。すぐに解除できるから問題ないぞ」
「そっかー、ならいいなー 」

 と、そこでアイから新たな報告が告げられる。

『マスター、新たな反応が高速で接近中です。生体パターンから判断して獣人族のようですが、如何されますか?』
『ああ、俺の方でも捕捉してるよ。はっきりとは分からないが、煙りが上がってるのを見て助けに来たのかもしれないし、取り敢えず様子見だな 』
『イエス、マイマスター。では引き続き警戒とマーキングのみに留めます 』
『そうしてくれ 』

 頭の中でアイと会話していると、三人で抱き合い、一頻り泣いて落ち着いたのか、タロ達一家が俺達の前まで近寄って来ていた。

「改めて心から感謝の思いを伝えたい。助けてくれて本当にありがとう」
「いいよ、察知したのは偶然だったが、間に合って良かった。……いや、間に合ってはいないか。もう少し早く駆け付けれれば良かったんだが…… 」

 そう伝えると、タロは小さく首を横に振りながら答えた。

「いや、気にしないで欲しい。あなた方がこの村の危機に駆け付けてくれただけでも僥倖なのだ。少なくとも、あなた方か来てくれなければ、妻は奴等に穢され、もう二度と生きてこの子を抱くことはできなかっただろう。どれほど感謝の言葉を重ねても足りないくらいだ 」
「そう言ってもらえると、少しは気が楽になるよ 」

 そう言って足下を見ると、夫妻に手を繋がれた女の子が俺を見上げていた。見ればその頬に涙の跡は残っていたが、今は笑顔を取り戻しているようだ。

「怖かったろ?よく頑張ったな、もう大丈夫だぞ 」
「うん!おとーさんとおかーさんをたすけてくれてありがとう!」

 膝を曲げてしゃがみ込み、目線を合わせて話しかけると、そう元気いっぱいの返事を返してきたコロちゃん。頑張ったご褒美だよ、とアメ玉を渡したら、見たことが無かったのか初めはキョトンとしていたが、包みを解いて口に入れてあげると、『甘ぁ~いっ!』と大喜びだった。

 あまりに可愛かったので、頭を撫でようと手を伸ばしたところで、鋭い怒声と共にが現れた。


「そこまでだっ!その薄汚い手をその子から放せ!めっ‼︎ 」

 人数は…、ひの、ふの………、八人、いや九人か?

 全員が紅く染め抜かれた革鎧に黄色いマフラーという出で立ちの様々な種類の獣人族で構成された一団が、各々の目に怒りの炎を燃やしながらこちらを。 

 いや、それはいいけど、なんで全員?わざわざ登ったのか⁉︎

「兄貴!なんかあったのかいっ⁉︎ 」

 今の声を聞きつけたのか、ソニア達も集まってきた。

「……なあ兄貴?あいつ等なんで屋根の上なんかに登ってるんだ?」
「俺が知る訳ないだろ?……お前等はいったい何者なんだ?」

 全員が揃いの装備とか、恐らく…というか間違いなく【獣王闘国この国】の兵士とか関係者だとは思うんだが………?


「本来なら貴様等ごときに名乗る必要は無いが、冥土の土産に教えてやろう。俺達は ーーーー !」

「…スゥ~スゥ~ 」
「…ふ、吹き荒ぶ風がよく似合う!」
「く、狗人の戦鬼と人の言う…!」
「だが我々は愛の為!」
「牙弱き者を護る為!」
「屍山血河を涙で渡り!」
「夢見て疾る死の荒野!」
が為に戦う我等こそ!」
「……………… 」
「獣王特別戦闘部隊!」

『『『『『 ナインゼ・ロゼイロ‼︎‼︎ 』』』』』

 ーードオォォォォォォォォォォォォォオンっ‼︎ ーー と、爆発音と共に彼等の背後に色彩りの煙りが立ち上がるのをする。

 俺の問い掛けに、いきなりそれぞれがを取りながら見栄を切り始めた青年達……。


 ………えっ!何っ⁉︎ 前回結構シリアスというか、割とハードめな話だったんだが、もう終了っ?ここからはこんなノリなのっ⁉︎ 

 まあ、高い位置から大声、大人数でいきなり、ってのは、最初に相手より精神的に優位に立つってのには有効な手法ではあるんだけどさぁ……。

 余談になるが、校長先生とか、演台に登って絶対一段でも高い位置から話しをするだろ?アレは、よく見えるように、というのとあとひとつ、そういった理由があるからだ。
 細かい心理学的なことは知らないが、無意識のうちに目線がより高い方が格上だという心理が働くんだそうで、ここに大声、大きな身振り手振りが加われば更に追加効果あり。
 かの有名なヒトラーは、こういった事を熟知した"演説の達人"で、だからこそあれだけの短期間で高い支持率を得ることが出来たんだそうな。

 ちなみに別のパターンだと、人に話しかける時『こんにちは』と挨拶から入るか、『すいません』と断りから入るのかでも心理的な格上格下判定が働くそうで、(挨拶→同等)(断り→相手は頭を下げて来たので俺格上!)ってなるらしいので、皆んな気をつけろよ!

『マスター?誰と話してるんですか?』
『いや、ナンデモアリマセン… 』

 と、まあそんな効果があると知っててやってるのか知らないが、なんだか、いきなり決めつけで話し始めるところを見ると、思い込みの激しい奴等なんだろうか?ともかく"ツッコミどころ"が満載の連中だ。
 そう思ってたのは俺だけじゃないらしく……… 。

「"狗人の戦鬼"ってー、そもそも言った女の子は鳥系だよなー?兎の娘に抱かれてる子守熊コアラ人のチビは寝ちゃってるしー?」
「最初はあの子だったのかな?鳥の娘慌てて喋り出したけど?」
「兎の娘は恥ずかしいのかなぁ?照れてて可愛いね~!」
「黒い魚人族ギルマン喋ってねぇし。ってか、魚人が屋根に登んなよな……… 」

 ーーーってな具合でツッコミを入れまくっているので、精神的優位云々などまるで効果無し。
 
 これに対して彼等は…?

「問答無用!この名を魂に刻みつけ、地獄で己の為した罪を悔いるがいい!行くぞ皆んなっ‼︎」

『『『『『 応っ‼︎‼︎ 』』』』』

 狼耳の青年の号令一下、俺達目掛けて飛び掛かって来た。

 おおっ!まるで⁉︎ なんて"心の強い"連中だ……!


 ………なぁ~んて、とか言ってる場合じゃないな。
 さすがは"婆さんのお使い"。次から次へとトラブルばっかりだな ーーー⁉︎





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