〜転移サイボーグの異世界冒険譚〜(旧題 機械仕掛けの異世界漫遊記) VSファンタジー!

五輪茂

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第23章 クレイジージャーニー in 【獣王闘国】

第193話

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『『『『『 おおおおおおおおおおおおっ‼︎‼︎ 』』』』』

 雄叫びを上げ、俺達に向かって飛び掛かって来る【ナインゼ・ロゼイロ】の九…いや、あれ?六人?

 二人は兎の娘と、その腕に抱かれた子守熊コアラの子?だが、あと一人、はどこ行ったんだ?

 素早く状況を確認していた俺だったが、六人は俺達それぞれに目標を定めたようだ。

 まずその火蓋を切ったのは ーーー 。


「私は鷹翼族のバーニャ。外道!覚悟なさいっ!」
「ちょっと待てーっ⁉︎ 誰が外道だっつーのーっ!」

 ダイと鳥の女の子だった。屋根の上からフワリと舞い上がると、そのまま急降下。鋭い鉤爪による蹴りがダイを襲う。

「おーい、ダイ。何か分からんが勘違いされてるだけみたいだからな、武器は使うなよーー!」
「わぁーってるよーーっ!」

 本当ならこいつ等は敵じゃない。だが村の惨状を見て、どうやら俺達の事を"獣人狩り"の仲間と勘違いしたようだ。

「ナメられたものね!すぐに後悔させてあげるわ、あの世でね!」
「よっ!ほっ!とぉっ⁉︎ なかなか鋭い蹴りだなーーっ⁉︎ 」

 鳥系の獣人の身体的特徴なのか、身軽でしなやかな蹴り技を連続して繰り出すバーニャ。その技はまるでテコンドーとカポエイラを足したかのように変則的で掴みにくく、上下左右、変幻自在にダイに襲い掛かる。
 しかも彼女は両手足を鷲や鷹のような鉤爪へと自由に変化させられるらしく、その攻撃には打撃だけでは無く、常に鋭く兇悪なナイフが備わっているようなものだ。

「いい加減私の爪に引き裂かれなさいっ!」
「へへーん、やなこったーーっと!」

 受け、躱し、逸らし、バーニャの攻撃を避け続けるダイ。ま、コイツは大丈夫だろう。目線を次に向ければ ーーー 。


「氷鎧虎族バインリッヒ!いざっ!」
「いいねぇ!アタイは蒼豹族ソニアさっ!」

 【黒殻龍蟲ブラック ドラゴビートル】の外殻で造られた黒く艶光る軽鎧を纏ったソニアと、白銀に輝く氷の鎧を纏った白い虎獣人が激突していた。

 "軽鎧"と言いつつ、ソニアの鎧は胴体部分は胸部の前後と鳩尾の辺りしか覆っていないが、その代わり両手足は手甲、脚甲だけでなく二の腕や太腿までの全面を覆う形になっている。
 
 対してバインリッヒはその身の殆んどを氷で覆われ、まるで氷の甲殻獣のようだ。
 恐らく〈構造強化〉もされているんだろうが、防御力を上げる為かその厚みはなかなかのもの。氷といえどあれだけ分厚い氷を全身に纏えばかなりの重量となる為、普通は鈍重なものになりそうだが、その動きには些かの鈍りもない。それどころか ーーーー 

「ぃいやああああああぁぁぁぁぁぁっ‼︎ 」
「ごぉおおおおおおおおおおおおっ‼︎ 」

 ーー ガンゴンガンッ!ズドンッ!ドゴンッ!ドガガガガガガガガガッ‼︎ ーー

 ソニアとバインリッヒ、凄まじい勢いで繰り出される互いの拳と拳、蹴りと蹴りの打つかり合う轟音が、衝撃波すら伴って周囲に響き渡る。更には ーーーー。

「はぁっ!〈氷爪連弾〉!」
「うおっ⁉︎ 」

 ーー ズバババババババババッ!ーー

 バインリッヒの右手の指先から、ガトリングの如く撃ち出される氷の弾丸を慌てて回避するソニア。
 どうやらあの氷の鎧は防御だけでなく、任意で攻撃にも使えるらしい。

「ならばっ!喰らえ〈飛氷槍撃〉!」
「なぁっ!め!んなぁぁぁぁぁぁぁっ!〈爆拳無限連打バーストロール〉‼︎ 」

 次に変化したのは膝当ての部分だった。飛び膝蹴りの要領で跳び上がったバインリッヒの膝当て部分が、突如として太く鋭い"氷の槍"となって至近距離からソニア目掛けて撃ち出される!

 だが、ソニアはそれを紅蓮の炎に包まれた拳で爆砕、そのまま強引に空中で己の技をバインリッヒへと叩き込む。

「なん……っ⁉︎ 」
「ああああああああああああああああああああっ!」

 吹き飛んだ先に次々と回り込まれ、蹴りと拳の暴風に曝されて、バインリッヒはもうヘタクソなマリオネットのように無様なダンスを踊るしかない。
 
「ぃぃいああああぁぁぁぁぁぁっ!」
「がはぁっ⁉︎ 」

 決めの一撃を喰らい、鎧であった氷の破片を撒き散らしながら吹き飛んで行くバインリッヒ。…まあ、大分みたいだから、死んじゃあいないだろうが…。

『アイ、死なない程度に《治癒ヒール》をかけてやってくれ。他の奴にもな 』
『イエス、マイマスター 』

 しかし、ソニアの奴、全部真正面からから受けやがって。楽しいのは分かるが、見世物のショーじゃないんだからな?変なクセが付いて、格上相手にをやるとマズい事になるし、あ~とでキッチリ説教してやらんとなぁ。

 
 ーーーー で、お次は…?

「赤剛牛族、ジェローニ!モー!この戦鎚で砕け散るモー!」
「モーモー五月蝿えなっ⁉︎ 蒼豹族ゴウナムだ。受けて立つぜ!」

 ーーー ガァアアアアアアアアアアアアアアンッ‼︎ ーーー

 ゴウナムの黒い片刃の大剣と、身長が三メートルを超える巨漢のジェローニの、両手で持った巨大な戦鎚が打つかり合う。共に重量武器だけあってかなりの迫力だ。
 ……おいおい、ゴウナム、お前もか………。

 受けるんじゃなくて、逸らせ流せと俺は教えたはずなんだがな?…と、内心で溜め息をついていたのだが、次の瞬間、ジェローニが姿勢を崩した。

「どうした?ブンブン振り回すしか出来ないのか?」
「なかなかやるモー!だが、舐めないでもらモー!」

 ーーーガンッ!ギンッ!ギャリリリィィィィィンッ!ーーー

 一合、二合と、とても重量武器とは思えない速度で何度も打ち合わされる大剣と戦鎚。
 ゴウナムが巧みに大剣の角度をズラし、勢いを逸らすが、ジェローニもさるもの、流れた身体をそのズバ抜けた筋力で強引に立て直す。

 だが、そんな無茶なやり方がそうそう続く筈がない。
 案の定、ジェローニが打ち下ろしてきた戦鎚に合わせて、ゴウナムが横合いから大剣を叩きつけたことで大きく姿勢を崩してしまい、今度こそ致命的な"隙"をジェローニは晒してしまう。そして、そんな"隙"を見逃すゴウナムではなかった。

「終わりだぜモーモー野郎。ブッ飛びなっ!疾っ‼︎ 」
「ぬぐぁっ!モオオオォォォォォォォォオッ⁉︎ 」

 未だ姿勢を立て直すことの出来ないジェローニのガラ空きの脇腹に、ゴウナムの渾身の一撃が叩き込まれ、ジェローニは先程のバインリッヒと同じように吹き飛んでいった。

「…っしゃあああああああああ!」

 油断なく構えていた残心を解き、握り締めた拳を突き上げて雄叫びと共にガッツポーズを取るゴウナム。

 よしよし、レイナルド達にもシゴかれているのもあるんだろうが、ちゃんと教えた通りに出来てるな。にも油断せず残心を残していたのも評価点だ。
 ゴウナムは後で褒めてやらないとな。


 ーーーん?気配を消して移動している奴がいるな?向かう先は……?マーニャか。

 中々見事な隠行術ストーキングだが、ウチのマーニャにそれが通じるかなぁ…?


「そこだよっ!」
「がっ⁉︎ 」

 マーニャが後方へと回し蹴りを放つと、何も無いはずの空間から、まるで空気から染み出してきたかのように肩口を押さえた蜥蜴人が現れた。

「な、何故分かったっ⁉︎」
「へっへぇ~~ん!残念でしたぁ!移動中はよかったみたいだけど、攻撃しようとした途端に殺気がダダ漏れだよん?」
「クソッ!ならばっ!」

 憎々しげな声と共に、今度はさっきの逆、空気に溶けるかのように姿が消える。
 驚いたな、完全に姿が消えている。地球の生物でも、タコやコブシメなんかは一瞬で体表面の細胞の色や形状を変化させて、周囲の風景と全く見分けがつかないほどの擬態をしてのけるが、コイツはそれ以上だ。
 まさか"可視光線"すらも捻じ曲げ、擦り抜ける程の擬態をしてみせるとは⁉︎ ここまでくると、もはやだ。

「俺はカメレオン族のブリンデン!どうだ、これなら分からないだろ…おごっ⁉︎」
「だ~から分かるって。お互い"獣人族"なんだから、喋ったら意味ないじゃん。ま、いっか?ボクは蒼豹族のマーニャ!今度はボクのターンだよ!」

 そうマーニャが宣言した次の瞬間、今度はマーニャの姿が搔き消える。
 
 ………これ、漫画やドラマだったら大問題だよな?ブリンデンに続いてマーニャまで姿を消したせいで誰もいない。ひたすら風景だけの絵面だもんな~。

 仕方がないので、俺が解説するとしよう!

 〈光学迷彩〉で姿は見えないが、突然マーニャまでが姿を消したことでブリンデンは非常に焦ってるな。特徴的なカメレオンの眼をキョロキョロと動かして、マーニャを探しているようだ。

 で、そのマーニャはといえば、、ブリンデンの背後にある家屋の影から………、

「どーーーーんっ! 」
「ぐはっ⁉︎ 」
 
 〈気配察知〉で完璧に位置を捉えたのか、影から飛び出してブリンデンの後頭部に飛び蹴りをかます。そしてすぐさま別の影へと飛び込んで行く。

「くっ!どこだっ?」「どーーーーんっ!」「ぐはぁっ⁉︎ クソッ!」「どーーーーんっ!」「ぐおぉっ⁉︎ ひ、卑怯者め!姿を見せろっ!」「キミが言うかなぁ?どーーーーんっ!」「おごっ⁉︎ せ、正々堂ど…」「ぃや~っ!どーーーーんっ!」「ちょっ⁉︎ 待…!」「どーーーーんっ!」「~~っ⁉︎」「どーーーーんっ!」「どーーーーーーんっ‼︎ 」

 ブリンテンの死角を突いて影から影へ、飛び出し、蹴りを入れてはまた潜る。
 マーニャ達【蒼い疾風ブルーソニック】の四人は、俺の配下であるということで、上級闇精霊であるノアの〈闇精霊の加護〉を得た。
 中でも四人の中で一番ノアと仲が良くなったマーニャは、なんと《闇属性適性》まで獲得してしまった。そんなマーニャがノアに教わって新しく体得した魔法《潜影襲撃シャドウダイブ アサシン》。

 要はノアの《空間転移》の劣化版で、単身、影という媒介が必須、極至近距離の移動という制限はあるものの、別空間に移動出来るというアドバンテージは計り知れないものがある。

 ブリンデンの"不可視化"なんて能力もとんでもない事ではあるのだが、まったくの別空間へと姿を消せるマーニャには敵わない。

 常に死角から死角からと攻撃され続けるブリンデン。攻撃を受けた瞬間は集中が途切れるのか、ほんの数秒姿を現してはまた消えるを繰り返していたのだが、ダメージの増加に伴い段々と姿を消している間隔が短くなっていき、とうとう姿を消す事も出来なくなった挙句、目玉をグルグル回してドサリと倒れ、気を失ってしまったようだ。

「や~りぃ!ボクの勝ちぃ!ぶぃ!」
 
 目を回したブリンテンのすぐ側の影から飛び出して、ポーズをキメるマーニャ。"姿無き刺客アサシン"対決は、マーニャの圧勝で決まりだな。

 しかし…いいよなぁ、アレ。何だかよっぽどチートだよな?俺にも出来ないかな~~?

『出来ますよ?私もノアさんに教えてもらっちゃいました!』

 ……えっ!そうなの⁉︎ そ、そうなんだ~~。えぇと、今度からそういう事は早く教えてねアイちゃん?戦力の把握って大事だし、うん。

 
 ま、まあ、気を取り直して…。ウチの子等は全員(アーニャ除く)問題なかったが、ダイはいいとしてティーリはどうだ?

 そう思って視線を向けた先で、飛び退いたティーリの足元から"焔の柱"が立ち昇る。なんだありゃ⁉︎

「くっ⁉︎ 厄介な攻撃ねっ!」
「フホホホホッ!この火焔土竜族のチャンコーの攻撃をいつまで避け切れるかネ!」

 "火焔土竜族"は《火属性》と親和性が高く、その口から超高熱の火炎を吐き出し、その炎によって硬い岩盤すらも溶かして地中を移動出来るらしい。
 見れば、ティーリの足下にはもういくつもの穴が開いている。どうやら今のが初めての攻撃ではなく、もう何度も繰り返されているようだ。

 ティーリが飛び退き着地した辺りの地面から、またひとつ火柱が上がり、ひと息吐く暇も無くまたもやティーリは回避を強いられることになるが…?

「もうっ!穴だらけで戦いにくいったら!」

 いくつも開けられた穴の所為で思うように身動きが取れず、苛立ちに眉を吊り上げるティーリだったが、今度はティーリの背後にある穴からチャンコーが飛び出して来て、その両腕に備わった太く鋭い爪をティーリ目掛けて振り下ろした、

「くうっ⁉︎ 『雫よ集まりて我が敵を穿て』《水弾ウォーターボール》‼︎ 」
「おっとーーっ⁉︎ 甘い!甘いネ、その程度の攻撃ではワタシには当たらないアルヨ!」

 ティーリの魔法による攻撃をヒラリと躱し、再度穴の中へと身を隠すチャンコー。

「そう…。じゃあならどうかしらっ?『猛き水の龍。幾重にも寄り集いて激流となり、全て砕き押し流す万波とならん』!《水撃渦砕(流)龍ナーガラジャ》‼︎ 」

 ティーリの詠唱によって生まれた巨大な水球が、まるで触手のようにを幾本も伸ばして、チャンコーが開けた穴へと突き立って行く。それはまるで先程の焔の柱に相反する"水の柱"だ。
 そして、これだけの水量が流れ込めば当然穴の中は水で満たされて行く。

 ズズズズズッ!と地鳴りのように大地が震え、穴の中のひとつだけ残してあった穴から間欠泉の如く水が吹き上げた。
 
「アイヤアアァァァァァァァァァァァァァッ⁉︎ 」

 そう、全てということは、当然穴の中に潜んでいたチャンコーも例外ではない。突然激しい濁流に巻き込まれ、何が起きたか分からないまま空中へと放り出されたチャンコーは、手足をジタバタとさせてもがく。

「出て来たわね!さあ、コレで終わりよ!『降れ水龍王の拳!』《龍王鉄槌ウォーターハンマー》‼︎ 」
「んぎゃああああああああああああっ⁉︎ 」

 今だ浮かんでいた水球を高圧力で固め、ティーリはチャンコーに叩きつけた。

「ふう…!修業して強くなったのはダイだけじゃないんだからね?私だって頑張ったんだから!」

 そう言って、勝気な笑みを浮かべるティーリ。

 本当になー。いや、ごめん、正直ティーリちゃんを見くびってたわ。ダイと一緒に相当頑張ったんだな、正に流れるような技の連携だった。

『マスター、気をつけて下さい!急激に魔力波動が増大しています!』
『ああ、気付いてるよ。ありがとうな、アイ 』

 ティーリの魔法の冴えに感心していると、アイから新たな警告アラートの報告が入る。まあ、俺自身もいつも通り〈壱乃牙 覚〉は展開済みなので、急激に膨れ上がった魔力波動のは分かっている。

 それは ーーーー 。

「よくも皆んなをイジめたな!許さないんだからっ‼︎ 」

 兎の娘に抱かれた子守熊コアラ人の子の目が妖しく輝く。増大する魔力波動と共に、敵や味方の落としていた幾つもの武器がフワリと舞い上がっていく。

「《念動魔法》!いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼︎ 」

 村の上空を埋め尽くすように浮かび上がった槍や剣が、子守熊人の子の号令に合わせ、一斉に俺達に降りかかってきた ーーーー !





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