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報告書 1
日報 18
しおりを挟む異世界での初戦闘に勝利を収め、カッコよく立ち去ろうとしたところで、何故か正体がシスティーナに"即バレ"してしまった【キルマオー】こと天草 救人。
何とか誤魔化そうとするも、完全にバレているらしく、ダラダラと冷や汗が流れるばかりで打つ手は何も思いつかない!
戦闘以外で大ピンチに陥ってしまったマヌケな救人に挽回のチャンスはあるのか⁉︎
頑張れ天草 救人!戦え?僕らのキルマオーー!(笑)
「喧しいっ!誰がマヌケだ!」
「ど、どうしたんですかキュウトさん?」
「えっ!あ、いや。別に! っと、それより俺はキュウトじゃ…⁉︎ 」
「本当にありがとうございました、キュウトさん!正直、もうダメかと…!」
…ない、と言おうとしたところで、再びシスティーナが歓喜の涙を流しながら抱きついてきた所為で、否定しきる前にセリフを潰されてしまう。
「あ、ああ…、怪我がなくて良かったよ。それより!俺はキュウ… 」
「はっ!いけない、ミーナさんはっ⁉︎ 」
もはやワザとやっているんではないだろうかという絶妙なタイミングで、救人から離れて倒れているミーナの元へと駆け寄るシスティーナ。
またもや否定の言葉が空振りに終わってしまい、フルフェイスのマスクの下でパクパクと口を開けたり閉じたりするしかない救人である。
『救人よ……。これは完全にバレているのである。ヘタに言い訳をしたり誤魔化そうとするより、急いでこの場を離れる方が良いのではないか?と我は思うのである 』
「そ、そうだな爺ちゃん。俺もそんな気がしてきたよ…。よし!こっそりと、かつ迅速にこの場を離脱しよう!そ~っと、そぉ~~っと……」
「キュウトさん!ミーナさん、腕の骨は折れていますが、他は大きな怪我はありませんでした!」
彼女はこう……、フラグとか何かを叩き折るようなスキルか何かを持っているのだろうか?
システィーナの気が自分から逸れてる内に、踵を返し、抜き足差し足、そぉぉぉ~~っと救人が立ち去ろうとした瞬間、その企みはまたもや彼女によって出鼻を潰されてしまう。
『救人よ、諦めが肝心なのである。ここはもう誤魔化すのはキッパリとやめて、ヒーロー物に必ず居る主人公の正体を知る協力者のヒロインになってもらうのが良策なのである!』
「ヒーロー物とか身も蓋もないコトを言うなぁっ!」
「どうしたんですか?」
「あ⁉︎ あ~~ 」
魔王爺いの声はあくまで救人にしか聞こえない。つまり、他人からすれば"脳内彼女"ならぬ"脳内爺い"でしかないのだ。実際には念話のようなもので【魔装鎧】内に残ったキルバインの意識と会話しているのだが、声が聞こえなければ只の挙動不審な行動にしか見えない。
"脳内彼女"でも充分痛い奴なのに、"脳内爺い"が居るなどと知られた日にはどんな目で見られるか分からない。絶対に人には知られてはいけない事実であった。
「………ハァ~~~~~~。……システィーナさん、どうして俺だって分かったんです?」
「はい?」
色々なことを諦めて、深々と溜め息を吐いてから、せめて"何故バレたのか?"その原因だけでも知りたいと、システィーナへと疑問を打つける救人。
すると、システィーナは"何を言われたのかまるで分からない?"といった表情になり、コテンと首を傾げてみせる。
「あの…ですね、俺一応正体を隠してたつもりなんですが、何でこの姿の俺をキュウトだって分かったんですか?」
「えぇっ⁉︎ まさかキュウトさんだって分からないようにしてたんですかっ?」
救人の疑問に対して、そうだったの⁉︎と、逆に吃驚した顔になるシスティーナ。この反応を見るに、途中から気付いたとかではなく、最初っから完全にバレていたようだ。
「はい………、一応…。それで、何故分かったか教えてもらっていいですか?」
今だ【魔装鎧】を纏った姿のまま、がっくりと肩を落とす救人。
地球にいた頃は、"あわや"といった場面も度々はあったものの、終ぞ正体を知られることはなかった……はずだ。
まあ、実際には何人かの親しい者には気付かれていたりはしたのだが、皆んなが救人に気を遣って黙っていてくれていただけだったりするのだが、救人はその事にはまったく気付いていなかった。"知らぬが仏"とはこのことだ。
「えっと…、そのぉ、その黒い鎧のガントレット…。前に冒険者ギルドで、キュウトさんが私を乱暴な人から守ってくれた時に着けていたのと同じモノですよね?」
「コレかぁぁぁぁぁぁぁっ⁉︎ 」
『うーむ……。こちらでは地球の"変身ヒーロー物"のお約束は通じないのであるか………⁉︎ 』
変身ヒーロー物のお約束とは!
男の子向けの作品では全身をスッポリと覆い隠す、所謂"変身スーツ"は着ているが、言動や声は何も変わらず、女の子向けに至っては衣装や髪の色は変わっても顔はそのまま"モロ出し"状態なのに、何故か正体がバレない、という"アレ"である。
初対面のはずなのに、何故か自分の名前を知っているとか、助けられた際に至近距離で会話まで交わしているのに何故か正体はバレない。
作中エピソードの中でそうした話の流れがあって、「あの娘が○○だったなんて⁉︎」と初めてそこで正体が分かる。
まあ、大概にして正体を知ったその娘も次の青やら緑やら紫に変身するようになるのも"お約束の内"だったりするのだが。
「……何てこったい……… 」
「あ、あ、あの、ご、ごめんなさい!私、やっちゃいけない事をしちゃいましたかっ?」
「あぁ~~~~、いや、……いいよ。システィーナさんが悪い訳じゃないから……… 」
まさかシスティーナが細かくガントレットの形状を憶えていたとは、魔王様でも気付かない。(笑)そう、全ては不幸な事故(笑)なのだ。誰が悪い訳でもなく………。プスーーーー!
「だから煩いってーのっ!」
「ど、どうしたんですか、キュウトさん⁉︎ 」
「イエ、ナンデモアリマセン……… 」
"ナレーション"に怒鳴りつけるとは、救人、情緒不安定か?
「~~~~~~~~っ!」
揶揄うのはこの辺で置いておいて ーー。あっちでミーナが苦しそうな顔でうなされているが、いいのかな?
「そうだったぁーーーーっ‼︎ 」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ごめんなさい、久し振りの投稿です。
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