リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第10章〜海竜編〜

海竜祭

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人気投票によって、選ばれる舞手。
金に物を言わせ、街の有力者の娘が選ばれる確率は高いが、舞は見てみたい。
海竜へ捧げる舞なんだし、綺麗なんだろうな。


「海竜祭、私も見たい!」


て事で、是非とも私も海竜祭を楽しみたい。


「かしこまりました。ディア様のお望みの通りに。」
「本当?見られる?」
「はい、まだ海竜祭の開催まで日にちがございますので大丈夫です。」
「やった!」


思わず、ガッツポーズ。
これで、私も海竜祭を見られる。


「リリス、その海竜祭の開催はいつなの?」
「1ヶ月後になります。」


1ヶ月後。
海竜祭の開催まで、まだまだ日にちはあるようだ。
楽しみである。


「リリスさん、今年の舞い手は誰になったのですか?」


アディライトがリリスに聞く。


「今年の舞い手はサフィアと言う少女の様ですよ。」
「サフィアが?」


目を見開くアディライト。


「その子、アディライトの知り合いなの?」
「・・はい、小さい頃はサフィアとは仲が良かったです。」
「親友?」
「とも言えなくはないのですが、サフィアの方は昔から私の事が嫌いだった様ですよ?」


アディライトが自嘲の笑みを浮かべる。


「へ?アディライトの事を?」
「実際に本人の口から私みたいな根暗、ずっと大嫌いだったって言われましたので。」


何!?
私のアディライトが嫌いだった、だと?
目が据わる。


「・・・ふふふ、そのサフィアって子が、海竜祭でどんなに素晴らしい舞を披露してくれるか楽しみね?」


どんなに素晴らしい舞を披露してくれるのかしら?
ねぇ、舞い手のサフィアさん?
俄然、海竜祭が楽しみになってきた。


「デ、ディア様・・?」
「ん?アディライト、何?」
「サフィアの事、今は私は何も気にしていませんから!」


静かにサフィアへ怒る私の事を、何とかなだめるようとするアディライトに微笑む。


「アディライト、同じ事を私が言われても許せる?」
「いえ、相手の事を消し去ります。」


即答するアディライト。
うむ、よく言った。


「なら、私の気持ち、アディライトなら分かってくれるよね?」
「しかし、」


渋るアディライトが目をさ迷わす。


「ダメ?」
「・・・ディア様に危険な事はして欲しくないです。」


アディライトが目尻を下げる。
過保護すぎないかい?


「・・分かった、アディライト、サフィアには何もしない。」
「本当、ですか?」
「うん、だから、海竜祭の日はずっと私の側にいてね?」
「はい、ディア様。何があってもお側を離れません!」
「ありがとう、アディライト。」


破顔して、アディライトの腕の中に私は飛び込んだ。
私からは何もしない。


「ふふふ、海竜祭が楽しみだわ。」


飛び込んだアディライトの腕の中、私はニヤリと笑う。


「悪いけど、どんな理由があろうとも、私のアディライトを傷つけられて黙ってなんかいられないの。」


だから、サフィア、悪いけど貴方の方から私達の方へ何かしら仕掛けてもらうよ?
アディライトが私の側にいる限り、サフィアを煽るのは簡単そうだし、ね。


「ルドボレーク国へ向かう前に早急にアディライトには内緒でサフィアの詳しい情報が欲しいの。リリス、頼める?」


やるからには、サフィアの詳しい情報を集めなきゃ。
相手の事を知らないと、何も出来ないしね。
アディライトと別れてコクヨウと共に自室へ戻った私は、ソファーへと座り、リリスの事を呼び出す。
ディオンはアディライトがこの部屋へ来ないように足止めしてくれている。


「お任せを。」


リリスからは何とも頼もしい返事。
私の影にリリスの姿が沈む。


「ーーーディア様、あまり危険な事はしないで下さい。」


側に控えるコクヨウが苦言と呈す。
その顔は険しい。


「んー、こればかりは、コクヨウからの頼みでも聞けないわ。」


許す?
何もしない?
はい、絶対にあり得ません。


「っっ、ですが、」
「コクヨウ?」


まだ何か言おうとするコクヨウの頬に手を伸ばす。


「ーーー・・私を事は、貴方が必ず守ってくれるのでしょう?」


その頬に手を滑らした。


「っっ、ディ、ア、様・・・。」
「ね?なら何も心配はいらないでしょう?」


動揺するコクヨウに微笑む。
これ以上の護衛は、この世界にいるだろうか?
例えどこの国の軍が相手であろうと、今の私達の敵ではないのだから。


「・・ディア様は、ずるい人だ。」


溜め息を吐くコクヨウ。


「ふふ、こんなずるい私は嫌い?」
「そんな訳、何があろうと、あるはずがないでしょう?」


コクヨウに手を取られる。


「ディア、全ては貴方のお心のままに。」


私の手に口付けるコクヨウ。


「必ずディアの事は何があろうとも僕が守ります。」
「・・・コクヨウの方がずるいと思うの。」


頬に熱が集まる。
こんなにも簡単に、私の心を乱すんだから。
私の旦那様、素敵すぎる!


「ふふ、ディアはこんなずるい僕の事は嫌いですか?」
「・・好き。」


コクヨウの首の後ろに両腕を回し、自分の方へ引き寄せて、その唇に口付けた。

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