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第12章〜獣人編〜
予想外の存在
しおりを挟む闇の精霊王であるカティアと、光の精霊王であるライアの2人が自分の護衛を引き受けたてくれ事を知ったルルーシェルは恐縮しっぱなしだった。
が、2人からも武術や魔法の指導を受けられと聞き、とても嬉しそうだったけどね。
「ここが、ガルムンド王国。」
そしてついに私達はガルムンド王国の首都へ到着。
早めにガルムンド王国へ到着しておけば、街の散策も満喫しておけるしね。
さっそく皆んなと一緒に、ガルムンド王国の首都の街の中を楽しく散策に出かける。
「やはり、高レベルの者達が多いですね。」
コクヨウが呟く。
まだ武術大会まで日にちがあると言うのに、すでに街の中は熱気に溢れており、行き交う人も多い。
武術大会の見学人なのだろうか?
「ねぇ、ルルーシェル、獣人族ってやっぱりお肉が好きなの?」
街の中を見渡せば、お肉系の屋台ばかり。
種族柄?
「まぁ、お肉は基本的に好きですね。」
「やっぱり?」
「ですが、なんでも食べますよ。私達に好き嫌いはありません。」
特に食へのこだわりはない模様。
良い事だ。
「ーーーー・・あれ?」
足が止まる。
マップ上にある、このマーク。
古びた大きな屋敷と思しき場所にいるのは。
「魔族・・?」
魔族の反応に眉根が寄る。
なぜ、魔族がこのガルムンド王国の街に?
「・・まさか、ただの武術大会の見学人、な訳ないよね。」
何の企みがあるのやら。
「ディア様、どうされましたか?」
足を止めて悩む私に、ディオンが聞いてくる。
「なんでか魔族がガルムンド王国に潜んでいるみたい。ほら、この辺り。」
全員と魔族の位置を共有。
危険要素は、早めにマークしておかないとね。
「目的は、武術大会でしょうか?魔族が何かするなら、武術大会は絶好の機会でしょうからね。」
表情を険しくさせるディオン。
「ディア様、どうなさいますか?ご命令とあれば、殲滅して参りますが。」
「んー、良いよ、放置しよう。この国の問題なんだし、私達には関係ないわ。」
このガルムンド王国の街に魔族がいる?
だから何?
ニュクスお母様の愛し子として動く予定だけど、今は私に被害が出ていないので無視の方向。
私は誰彼構わず守るような博愛主義ではないので。
「この魔族が私の害となるようなら、その時に排除すれば良いもの。」
私の家族を害するなら敵だ。
容赦なく排除する。
「とりあえず、今の所はこの魔族の動きには静観で良いわね。」
自分達の害意にならない間は。
「まぁ、情報だけは集めておきましょうか。」
私の肩にいる、一匹の蜘蛛。
リリスの配下だ。
「ふふ、頼めるかしら?」
私の言葉に承諾するように頷いた蜘蛛が、私の肩らから飛び降り走り出す。
さっそく魔族の元へ向かったのだろう。
魔族の元へ走り去る蜘蛛に満足して、私は街の散策へと戻る。
何事もなく、その後は街の散策を満喫した私達。
「ディア様、リリスさんの配下の蜘蛛が報告に戻りました。」
その日の夜、アディライトが告げる。
読んでいた本から顔を上げて、アディライトへ視線が向く。
アディライトの手の中には、1匹の蜘蛛。
「今から、この子が集めた情報のご報告を聞きますか?」
「ん、そうする。」
報告の内容次第で、私の動きも変わるかもだし。
リリスの配下の蜘蛛を自室へ招き入れる。
私の手に飛び乗る蜘蛛。
「さぁ、貴方が見た事を私に報告してくれる?」
頭に流れる映像。
この蜘蛛が見た映像だ。
「子供・・?」
蜘蛛が見てきた光景の中にある子供達の姿。
急ぎ、マップを確認する。
「子供達は、あの魔族の奴隷?」
マップ上でも、奴隷マーク。
あの魔族の奴隷と思われる、数人の子供達。
「魔族が奴隷を?」
そんな事、あり得ないはずだ。
魔族相手に、自分の奴隷を売る商人はいないだろうから。
「と言う事は、不正に得た奴隷?」
何の為に?
目的は不明だが、良い理由ではないだろう。
私の手にいる蜘蛛に微笑む。
「ふふ、ありがとう。とても良い働きだったわ。」
労えば、嬉しそうに身体を震わせる蜘蛛。
「報告ご苦労様。もう良いから、お休みなさい。」
手の上から蜘蛛を離す。
「ディオン。」
「はい、ディア様。」
「1つ、お使いを頼まれてくれるかしら?」
「もちろんです。」
笑顔で、私に頷くディオン。
「私は何をすれば良いのですか?」
「今から手紙を書くから、ディオンには冒険者ギルド長へ密かに届けて欲しいの。」
さらさらと紙にペンを走らせる。
内容は魔族によって不正に奴隷にされているだろう子供達の事。
場所などを明記していく。
「ディア様の代わりに、冒険者ギルドに動いてもらうのですね?」
「そのつもり。」
後の事は、私は何も知らない。
「確かに、この手紙を届けて参ります。」
私から手紙を受け取ったディオンが部屋から出て行く。
「情報と警告はあげたんだし、頑張ってね?」
ひっそり笑う。
魔族にこの街の誰が倒されようとも私は関係ない。
この街の問題なのだから。
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