リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第12章〜獣人編〜

揺らぐ2人の心

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本能のまま、泣きながら私の事を欲したロウエン。
嫉妬と悲しみ。
全てを激情を自身の中に飲み込み、私の事を抱いた。


「もう少し、私に優しくして?」


そんな私の要求にも答え、優しく丁寧に、壊れ物を扱うかの様に抱いたロウエン。


「気がついた?」


貴方は、もう、私へ絶対服従と言う名の強固な鎖へ繋がれた。
そう言う風に、私が誘導させたから。


「主人の命令に従い、ちゃんと私の事を愛するのよ?」


眠るロウエンの髪を撫でる。
ロウエン、貴方はもう、この鎖から逃げ出せないのだから。


「ふふ、本当に可愛い子ね、ロウエン。私の事を抱いて満足したかしら?」」


魔法で深く眠らせたロウエンは、ピクリとも動かない。
しばらく、このまま。
例え私が居なくなっても、深い眠りについているロウエンは気付かないのだろう。


「ーーーアディライト?」


くすりと笑い、アディライトの事を呼ぶ。
部屋の外に控えていたアディライトにお風呂の要求をし、汚れた身体をきれいにしていく。
さっぱりした後は、アディライトの淹れた紅茶を楽しむ。


「そろそろルーベルン国の屋敷に帰るわ。リリスにヒューイットさん達の事は任せたし、私がこの国に留まる必要は無くなったもの。」


可愛い番犬も手に入れた。
満足して、屋敷に帰れると言うもの。


「それに、コクヨウも、ディオンも、私に不満があるようだし、ね?」


ちらりと、2人に視線を向ける。
強張る、2人の顔。


「じっくり、ルーベルン国のお屋敷でお話しましょう?ねぇ、2人とも?」


逃さぬ様、2人の事を強く見つめる。


「・・はい、ディア様。」
「・・承知いたしました。」


硬い表情で頷く2人。


「では、帰る用意をしましょう。」


椅子から立ち上がった。


「ディア様、ロウエンの事はどうするのですか?」


ルルーシェルが首を傾げる。


「ロウエン?ふふ、もちろん、置いていくわよ?」


鎖は付けた。
なら、後は、ロウエンの好きにさせるだけだ。


「でも、そうね。ルルーシェル、ロウエンが目覚めるまで貴方は残ってくれるかしら?」


忠告は必要よね?


「起きたロウエンに伝えて?二度目はない、と。」


私の事を放置したロウエン。
その愚行に私の心は冷え、一度はロウエンの事を見放しかけた。


『っっ、ひぃ、ごめ、な、さい、ディア、』


それでも。
何度も私の事を呼び、泣き喚くロウエンの事を許した。
少しの罰は与えたが。


「ふふ、少しは危機感を覚えたでしょうね。」


私の事を抱く存在。
その存在であるコクヨウとディオンが私の側にいる事を様々と見せられ、それでも放置などと言う愚行に走るなら、ロウエンは必要なくなる。


「かしこまりました、ディア様。私は残り、ロウエンと一緒にルーベルン国へ戻ります。」
「えぇ、お願いね、ルルーシェル。」


眠るロウエンの事をルルーシェルへ任せ、私達は先にルーベルン国の屋敷へ戻った。


「で、何か私に言いたい事が2人はあるのでしょう?」


自室で2人に向き合う。
俯く、コクヨウとディオンの2人。


「黙り?何か言ってくれないと、2人が怒っている理由は分からないよ?」


追求の手を緩めない。
ねぇ、今、2人は何を考えているの?


「はぁ、何も言わないなら、もう良いわ。しばらく2人は私の前に来ないで。」


顔を背け、2人の事を拒絶する。
きちんと言葉にして教えてくれないなら、もう良い。
私は、それだけの存在だって事でしょう?


「っっ、ディア様!?」
「あの、私達は、」
「部屋から出て行ってくれるかしら?」


冷たい目を向ける。
何で、2人して悲痛な表情を浮かべているの?
本音を言えば良いのに。


「私に本心も言えない2人を、何で側に置かなくてはいけないの?」


そんなの、ごめんだ。
私は人形を愛したのではないのだから。


「ーーーっっ、なんで、ロウエンは貴方の特別なのですか!?」
「私達の事は、もう、要らないのですね!?」


感情を爆発させ、叫ぶ2人。


「は?」


ロウエンが私の特別?
私が、2人の事を要らない?


「何で、そうなるの?いつ、私がロウエンが特別で、2人の事を要らないって言ったのかしら?」


怪訝に眉を顰める。


「っっ、そ、れは、」
「言ってませんが、」


言葉が続かない2人に溜息を落とす。


「つまり、勝手に不安になって、不機嫌になっていた、と?そう言う事なの?」
「すみません、そうです。」
「ロウエンに嫉妬しました。」


項垂れる2人。
勝手な嫉妬をした事を悔やんでいるのだろうか?


「でも、ディア様がロウエンに対する接し方に不安にって。」
「彼は私達と違って奴隷でもなく、家族でもないのに、ディア様が可愛がっているのが許せなかったのです。」


2人は本心を吐露していく。
ぽつぽつと語り出した2人に、私の心は冷えていった。


「くだらない言い訳は結構よ。要するに、貴方達2人は私の愛情を疑い、信じられないだけでしょう?」


皮肉る様に吐き捨てる。
私への信頼も、愛情も、そうな風に簡単に揺らいでしまうんだね?



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