リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第13章〜帝国編〜

防ぐ謀略

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私の側に降り立った6つの神気。
精霊王であるサーラ、ステア、アーラ、イーア、ライア、カティアは私に微笑むと、ルインを見据える。


「ディアちゃんの言うことは、全て本当の事。」
「リュストヘルゼ帝国の寵妃は、魔族で間違いないわ。」
「その寵妃に皇帝が魅了されているのも本当。」
「このままだと、魅了されている者の精神は崩壊するわね。」
「ずっと魅了され続けた皇帝の精神は、もう助からないでしょうけど。」
「他の者も、時間の問題よ。」


精神の崩壊。
すなわち、リュストヘルゼ帝国の皇帝、ガルドフェインは死んだも同然だ。


「・・精霊王様をお呼びする、貴方は誰なのですか?」
「ふふ、私はディアレンシア・ソウル様。ニュクスお母様の愛し子。」


私は名乗りを上げた。


「っっ、ニュクス様の、愛し子様!?」
「まだ、聖皇国パルドフェルドの上層部以外の各国の皆様には知られていませんが、そうです。ニュクスお母様から愛し子として加護をいただいておりますわ。」


頷く。
この期に、私がニュクスお母様の愛し子である事を知らしめようと思う。


「ルイン・カウベリン辺境伯、貴方にとっても私がニュクスお母様の愛し子である事実は有利に働くのでは?この戦で、無駄な血が流れる事を防げると思いますが?」
「・・確かに、ニュクス様の愛し子様である貴方様のお言葉を、皆が聞く事でしょう。」
「えぇ、魅了されていない者には、ですけど。」


懸念は魅了。
どんなにニュクスお母さまの事を信仰していようとも、魅了され正常な判断の出来ない者は争いを止めないだろう。


「兵の中にも魅力された者がいるのですか?」
「指揮官などは軒並み魅力されています。兵達をうまく動かす為に、寵妃は指揮官を魅了したのでしょう。」


指揮官が言えば、下の兵達は従う。
それが、他国を侵略する様な事であっても。


「・・我が兵の中にも寵妃に魅了されている者がいるとおっしゃっていましたが、なぜ、私は捕らわれていないのかお分かりで?寵妃様に私の計画を筒抜けなのですよね?」
「ルイン様は利用されているのです。」
「利用?寵妃様にですか?」
「皇帝を玉座から引き摺り落とすと言うルイン様に計画を使い、国家反逆罪に問うおつもりです。ガルムンド王国と内通した者として。」
「なっ、」


驚愕の声をルインが上げた。


「考えて見てください。貴方がガルムンド王国と内通していたと知り、リュストヘルゼ帝国の国民はどう思いますか?」
「・・私に怒りや憎しみを募らせる。」
「そうです。その怒りや憎しみは、やがて貴方の領地へと向かう。」


その後は?
同じ国の人間が争い、血を流す。


「ほら、リュストヘルゼ帝国の中に内戦が起きる。貴方の計画をうまく利用して。」


ルインが皇帝を玉座から引き摺り落とす理由は?
ガルムンド王国の内通者だから。
簡単に悪意は国中に広がり、新たな火種となって燃え上がっていく。


「貴方がこのまま計画を進めれば、リュストヘルゼ帝国内で新たな悲劇が生まれるでしょう。それを止める為、私は貴方に会いに来たのです。」


本心は、他にもあるが。
今回はルインに計画を止めてもらい、私の手駒となってもらう事が重要。


「・・分かりました、貴方様のご指示に従います。今回の計画は中止に致しましょう。」
「ルイン様の英断に感謝いたします。」


葛藤があっただろう。
血反吐を吐きながら皇帝の命令に従い、今日まで堪えてきた。
それは何故か?
今日の計画を、必ず成し遂げる為だ。


「貴方の決断を無駄にはいたしません。大切な貴方の領民達は、私の手の者がお守りいたします。」


エトワール、ヴァレンティーナ、エイル以下、防衛と防御に優れた私の家族達がルインの領地の守護に回っているので、鉄壁な要塞となっているので安心なのである。
マリアージュでも、ルインの領地の領民には指一本触れる事は叶わない。


「お心遣いありがとうございます。」
「ニュクスお母様の愛し子として当然の事をしたまでですわ。ですから謝罪など不要です。」


嘘です。
本当は寵妃様の計画を阻みたいから、こうしてルインの力になっているに過ぎない。
嘘も方便。
本当のことを知らない方が幸せな事ってあるよね?


「で、これからの事なのですが、こちらの部隊とは別に後方にもリュストヘルゼ帝国の兵達が控えているのが本部隊で合ってますか?」
「さよう、我々は先発部隊としての命を受けておりました。後方には、ワイバーンの操る、空からの攻撃を得意とする部隊が控えています」。


これ、間違いなく捨て駒。
そして、ルインが本体を離れ、皇帝の元へ行ける様に仕組まれた配置な気配。


「もしもルイン様が計画を中止しても、寵妃様に魅了された者の告発で逆賊にされる事でしょう。ですので、先に寵妃様に魅了されたルイン様の隊にいる兵を捕らえる事にしませんか?」


まずは、寵妃様の目と耳を塞ぐ事にしましょうかね。
ふふ、寵妃様?
あとで慌てても、遅いですからね?


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