リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第13章〜帝国編〜

兵達の意識改革

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驚き。
混乱。
真実を知らないリュストヘルゼ帝国の兵達は、お互いに顔を見合わせる。


「皆様、この様な事を急に言われても信じられず、混乱しているでしょう。しかし、これは真実であり、精霊王様達からも間違いなく、リュストヘルゼ帝国の寵妃マリアは魔族であるとのお言葉をいただいております。」


精霊王のお墨付き。
その効果は抜群で、リュストヘルゼ帝国の兵達の瞳から、疑いの色が消えた。


「ーーーっっ、嘘だ!」
「寵妃様が魔族など、何と言う妄言を!」


私に対して最後まで罵るのは、寵妃マリアに魅力されて傀儡となっている兵の指揮官達と、自分の欲望の為に戦火を広げて他国の国土を奪おうと考える貴族様。
自国を愛する兵達の中には、顔を険悪に歪ませる者もちらほら。


「皆様、考えてみてください。自国の領土を、世界を手に入れたいからと、この様に各国へ宣戦布告をする事が本当にリュストヘルゼ帝国の皇帝陛下が望んだのでしょうか?」


兵達の良心を揺さ振る。
今のこの戦いは、正しいものなのかと。
そして、自分達に戦えと命じた皇帝陛下の真意は何なのかを問う。


「今回の戦が、リュストヘルゼ帝国の皇帝陛下の意思によるものではなかったら?」


魔族である寵妃が、自分達の王に何もしていないと思えるの?
疑問。
疑いが兵達の心に染み渡っていく。


「寵妃マリアは、皇帝陛下を魅了の力で洗脳し、自身の意のままに操っているとしたら、皆様は許せるでしょうか?」


自国の王が、自分達の主人が魔族に魅力されて操られている。
許せる所業ではない。


「真にリュストヘルゼ帝国を愛する兵達よ、自分達の王を卑劣な魅了の力で操る魔族を撃つべく、義がある者はルイン・カウベリン辺境伯様の元へ集え!」


愛用のレイピアを取り出し、空にかがげる。
大きな唸り声と共に、リュストヘルゼ帝国の兵の半数以上がガルムンド王国の兵と共にいる、ルインの元へと走り出した。


「うん、任務完了。」


寵妃様と私の兵達の意識改革は、無事に勝利した様だ。
次々とルインの元へと向かう兵達に慌てるのは寵妃に魅了されている指揮官達と、自分達の権利を拡大しようと欲望のままに企み、戦火を広げようとするゲスな人間達。
ルインの元へ集おうとする兵達を武力で強引に引き留め様とさえするゲスっぷり。


「サーラ、ステア、アーラ、イーア、ライア、お願い。」
「「「「「任せて!」」」」」


私のお願いに、サーラ、ステア、アーラ、イーア、ライア達がルインの元へと向かう兵達に結界を張り、敵となった者達を寄せ付けさせない。
精霊王達の鉄壁の守りに何も出来ず、離反する自分達の指揮下の兵達を制止する為に怒号を浴びせる敵に背を向け、私は防壁の上に降り立つ。


「お疲れ様でした、ディア様。」
「御身に何事もなく、無事にお戻りになり良かったです。」
「ディア様へ暴言を吐くなど、許せません!」
「「ちゃんと大人しくしてた~」」


防壁の上で待っていたコクヨウ、ディオン、アディライト、フィリアとフィリオが私の事を出迎えた。
コクヨウとディオンの2人は私の無事の帰還に安堵の息を吐き、アディライトは寵妃に魅了された兵の指揮官達に憤りを隠さず、フィリアとフィリオは待てができた自分達の事を褒めてと自慢げに近寄って来る。
個性的な皆んな。
そんな5人とは違い、静かに防壁の上から下にいるリュストヘルゼ帝国の兵達を無表情で眺めるロッテマリーとルルーシェルの2人。


「ロッテマリー、ルルーシェル、例えルイン様の元へ来ていても、貴方達の領地を侵略した者は私が許さないわ。必ず、後で罪を贖わせるから、安心して?」


今、私達の味方となっても、その罪は消えない。
必ず、後で私が断罪する。


「今は私達の敵を排除なさい。ここからは貴方達2人の出番よ。」
「「はっ、かしこまりました。」


私に一礼した2人は防壁の上から飛び降り地面に華麗に降り立つと、寵妃に魅了されている指揮官達の元へ、自分達の戦い復讐の為に向かった。
それに慌てるルインとヒューイットや、他の兵達。


「なっ、マリー!?ルルーシェル!?」
「っっ、愛し子様、彼女達を行かせて良かったのですか!?」


ロッテマリーとルルーシェルの2人が戦場へ向かう事に驚き、ルインとヒューイットが私へと詰め寄る。
他の兵達も同じ様に
あら?


「ルイン様、ヒューイット様、これは2人の戦い復讐なのです。例えお2人だろうと、あの子達を止める事は出来ませんわ。」


私の命令なら、兎も角。
復讐の為に走るだしたロッテマリーとルルーシェルの2人は止まらない。
復讐相手を全て滅ぼすまでは。


「私も2人の事を止める気はありません。ルイン様も、ヒューイット様も2人の憤りをお分かりでしょう?」
「しかし、マリーとルルーシェルの2人だけで行くなど無謀です!」
「そうです、早急に我がガルムンド王国の兵達にも助太刀に向かわせましょう!」
「その必要はありませんわ、ルイン様、ヒューイット様。あの2人への助太刀は、私が用意いたしますので、ご心配なく。」


兵達に指示を出そうとするルインと制止する。
大丈夫だよ?
私が2人を危険に晒すままにする訳がないでしょう?


「アスラ、ユエ、2人はロッテマリーとルルーシェルの支援へ!カイザー、友の声に応え、ガルムンド王国の守りたまえ!」


私の影から飛び出すアスラとユエの2人は、魅了されたリュストヘルゼ帝国の指揮官達と戦うロッテマリーとルルーシェルの元へ。
上空には、カイザーが佇む。


「なっ、フェンリルと九尾、だと!?」
「海竜様まで!?」


驚愕するルインとヒューイットや兵達を背に、私はロッテマリーとルルーシェルの戦いを見守る。
誰にも邪魔させない。
これはロッテマリーとルルーシェルの戦い復讐であり、聖戦なのだから。


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