リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第3章〜恋愛編〜

朝の一幕

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これ、どう言う事?


「・・・、服、ちゃんと着てるし・・。」


1人ベットの上で私は呆然と呟く。
昨日、コクヨウに私が着ていた服をはだけさせられた記憶がある。
しかし、今はしっかりと着ている服。
あれは夢?


「いやいや、あんなリアルな夢があるはずがないから!」


現実にあった事なのだ、昨日のあれは。
だとしたら。


「・・まさか、コクヨウ、が着せた?」


顔が青ざめる。
私はあのまま意識を失い、私はコクヨウに乱された服を着させたの!?


「ーーー・・ディア様?」
「っっ、!?」


ドアをノックされる音に、顔を青くしていた私は肩をびくつくせる。


「アディライトです、ディア様。起きておられますか?」
「あっ、うん、起きてる。」


アディライト、か。
コクヨウで無かった事に安堵し、一抹の寂しさを感じた。
チクチクする胸。


「っっ、コクヨウ・・。」


小さくこの場にいないコクヨウの名前を呼び、自分の服の胸元を握る。
こんなにも苦しいのは、なぜ?
ねぇ、コクヨウ。
ーーー・・昨日のあれは、一体、何だったの?


「ディア様、失礼いたします。」


アディライトによって、ゆっくりと開けられる寝室のドア。
にこにこと笑顔を浮かべたアディライトが、桶を持って寝室の中へと入って来る。


「おはようございます、ディア様。昨日は良くお休みになれましたか?」
「え?あぁ、うん、良く寝れた、かな?」


あれ?
アディライトには、昨日のコクヨウとの事を知られてない?


「っっ、はぁ、良かった。」


胸を撫で下ろす。
昨日の事を知られてたら、羞恥でアディライトや他の皆んなに会えないよーーー


「あぁ、ディア様?」
「へっ?何?」
「昨夜は、私が簡単にディア様のお身体を清めさせていただきましたが、もし不快なようでしたらお風呂に入られますか?」
「・・・。」


・・・なん、ですと!?
目を剥く。


「っっ、あ、アディライト!?」
「はい?」
「き、昨日の事を知って・・?」
「もちろんです、ディア様。貴方様のお世話は、どんな時も私がしますので。」
「っっ、っっ、」


涙目になった私はベットに突っ伏した。
羞恥で死ぬ。
こんな羞恥、あるだろうか?
一線を超えなかったとは言え、コクヨウと際どい事をしたのをアディライトには知られてしまったなんて。


「うぅ、」


これは、なんの拷問!?
もう、恥ずかしさに私は半泣きだよ。
嫌われた?
私、アディライトに最低な女だって思われて嫌われちゃったの!?


「まぁ、ディア様?一体、いかがなさいました?」


羞恥で悶えて、ベットへ突っ伏す私の背をアディライトの手が撫でる。
あれれ?


「アディライト・・。」


おそるおそる、突っ伏していたベットから顔を上げる。
見上げた先。
私を見つめるアディライトの瞳の中には、軽蔑の色は見られない。
あれ?


「・・・アディライトは、私の事を嫌いになってないの?軽蔑してない?」
「嫌い?軽蔑?私がディア様の事を?」
「ん、」


アディライトに嫌いとか、軽蔑しましたって頷かれたらどうしよう。
きっと、凹むどころじゃない、よね。


「っっ、」


ーーー・・あ、ダメだ。
考えただけで私の心が冷たくなっていく。
消えていく世界の色。


「ふふ、おバカなディア様。」
「・・え?」


色を無くした私の世界。
そんな私を救ったのは、愛おしそうに微笑むアディライトの笑顔だった。


「どうして、大好きなディア様の事を私が嫌いになったり、軽蔑したりするんですか?」
「っっ、だって、コクヨウと、その、・・。」


はう、言えない。
言葉にするのは、恥ずかしすぎる。
涙が滲む。


「もしかして、ディア様はコクヨウとの昨夜の事を気にしていらっしゃるのですか?」
「ん、」
「まぁ、うふふ、そんな事で涙目になるなんて、ディア様は可愛いですわ。」


うっとりと、頬を染めるアディライト。
はれれ?
ちょっと待って、さっきまでのシリアスはどこへ行ったの!?
呆然とする私。
幸せそうに頬を染めるアディライトの姿に、私の涙も引っ込む。


「はぁ、なんて幸せなんでしょう。朝から、こんな可愛いらしく、愛らしいディア様を見られるなんて。」


夢見る少女のように、うっとりとアディライトが吐息を吐き出した。
今、幸せオーラを目一杯出す彼女の頭の中は一体どうなっているのだろうか?
・・・うん、知るのが怖いや。
そっと、アディライトから目を逸らす。
知らなくて良い事も世の中にはたくさんあるのだ。


「こんな可愛らしいディア様の姿を見れるなんて、コクヨウに感謝しなくては。今日の夜は、コクヨウは一品だけディア様以外の皆んなより多く夕食のおかずを提供しましょう。」


コクヨウの事を何故か絶賛するアディライト。
これ、は、アディライトに嫌われていないと信じて良いみたい?


「さぁ、ディア様?泣きそうな顔もとても可愛いらしいのですが、悲しい涙はディア様に相応しくありませんわ。」


アディライトが棚に桶を置く。


「顔を洗って、スッキリなさいませ。そして、一番素敵なディア様の笑顔をこのアディライトに見せて下さないな。」
「・・うん、ありがとう。」


泣き顔を可愛いって、なんだか素直に喜べないんだけど。
複雑な心境だ。
桶の中のお湯で顔を洗い、髪をアディライトに梳いてもらう。
それでも、いまいち気分が上がらない。
理由はーーー


「朝食のご用意も出来ておりますし、皆んなディア様の事をリビングでお待ちですよ。」


ーーー・・コクヨウに合わなくてはならないから。


「っっ、そ、う。」


皆んな、リビングにいるんだ。
と言う事は、もちろん、その中にコクヨウもいる訳で・・。
逃げ出したい気分でいっぱいになる。


「・・・私、一体コクヨウにどんな顔をして会えば良いの・・?」


ぽつりと呟いた。


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