リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第4章〜暗躍編〜

撃破

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迷宮10階層のボスである、ミノタウロス。
私達を悠然と見据える。


「ぶもぉぉ!」


ミノタウロスも私達を敵と見定めたのか、雄叫びを上げた。
・・うん、全く怖くはないのだが。


「うるさい。」


うるさい雄叫びを上げるミノタウロスに向けて、私は魔法を行使する為にイメージを固める。
まず始めに、ミノタウロスからの突進を食い止めようか。


「『アイスランス』。」


私の周りに浮かぶ無数の氷りの槍。
氷魔法は重力魔法である『バインド』に続き、相手の動きを阻害してくれるので、もっとも私の愛用する攻撃系の魔法でもあるのだ。
無数の氷りの槍を魔法で作り出し、私はミノタウロスへ向けて放つ。


「ぶ、ぶもぉぉぉぉぉッ!」


ミノタウロスの目に、足に、私が放った氷りの数本の槍が突き刺さる。
上がる、ミノタウロスの絶叫。
ミノタウロスが氷りの槍に気を取られているのを見逃す訳もなく、接近した私はレイピアを振るった。


「・・・呆気ない。」


肉を断つ感触の後、どさりとミノタウロスの胴体と離れた首が地面へと落ちる。
ボス部屋へ入っと数分。
ミノタウロスの身体は、あっさりとその場に崩れ落ちた。


「「ディア様の敵では無いのです!」」


フィリアとフィリオの2人が自分の事のように胸を張る。
あら、やだ、2人とも可愛いじゃないか。


「お疲れ様なの、ディア様。」
「怪我がなくて良かったの、ディア様。」


嬉しそうな2人に微笑む。


「ありがとう、フィリア、フィリオ。」


私の子、可愛い。
大陸、いや、この世界一、可愛い子達だわ。
モンスターとの戦闘の後に見ると、本当に癒されます。


「ディア様、扉が!」


アディライトが指差す先、私達の反対側の壁の扉がゆっくりと開かれていく。
現れる上へ登る為の階段。
ミノタウロスばかり見ていたが、あの扉の先にある階段が次の階層への道なのだろう。


「ディア様、いかがなさいますか?」
「うーん、特に疲れてないし、このまま次の階層まで進んで攻略を続けても良いんだけど、時間的にも頃合だろうし、あまり無理する事も無いかな?今日はこの次の階層には行って、今日の迷宮攻略は終わりにしようか?」


ちらりと視線を向けるのは、ボス部屋の扉の方。
私達が中にいるから誰かが入って来る事は不可能だが、こちらを監視する存在がある以上、さっさと外に出て撒いてしまおう。


「あっ、アディライト、後でお肉を柔らかくする方法を教えるから、固いって言うミノタウロスのお肉で試しに料理してくれる?」
「かしこまりました。」


恭しく頭を下げたアディライトは、開いた扉の方へと歩き出す。
やはりその扉の先は11階層へ登る為の階段で、そこで私達は今日の迷宮攻略を終わらせて、こちらを監視している存在にバレぬ様にこっそりと転移で街へと帰るのだった。
今日の収穫ーーー


コボルト×73
ゴブリン×58
コバット×31
ミノタウロス ×1


本日1日でルーベルン迷宮、10階層まで攻略。
中々の進み具合だろう。


「うん、次の迷宮攻略も頑張ろう。」



すっかり日が暮れてしまったけれど、無事に10階層まで迷宮攻略を進めた私達は、今日の収穫であるモンスターをギルドで売却する事に。


「・・・こんなに、ははっ、」


私達が持ち込んだ大量の戦利品をミュアさんが虚ろな瞳で買取してくれたのが、少し気になったが。
まぁ、概ね何事もなく、私達の初めての迷宮攻略が終わった。
そのまま宿へと皆んなで帰る事にする。


「んー、さっぱりしたぁ。」


宿へと戻った私はアディライトとフィリアの2人の至れり尽くせりな待遇を受け入ったお風呂。
まるで自分がお姫様になった気分だった。


「ディア様、お水をどうぞ。」
「わぁ、アディライト、ありがとう。」


アディライトから手渡される冷たい水の入ったコップ。
お風呂上がりに飲むアディライトが入れてくれた冷たい水の一杯も、本当、最高だね。
一気に水を飲み干し喉を潤す。


「はぁ、アディライト、お水ありがとう。生き返ったよ。」
「それはようございました。ところで、ディア様?少しお願いがあるのですが。」


リビングのソファーに凭れる私の前に、アディライトが膝をつく。


「お願い?うん、何?」
「はい、明日なのですが、街へ食料の買い出しに行ってもよろしいですか?今の内に色々と食材を買い足しておきたいのです。」
「食料の買い出し?それなら、もちろん良いよ。なら、明日は1日休みにして、皆んな好きな事をして過ごそうか。」


迷宮攻略に、そんなに根を詰める事はないだろうし。
息抜きは必要だよね。


「・・・よろしい、の、ですか?」
「もちろん、構わないよ。私も明日は1日ゆっくり過ごすからさ。」


本屋巡りでもしようかな?
それか、静かな図書館で1日読書するのでも良いかも。


「ふふ、ありがとうございます。フィリアとフィリオの2人を手伝いとして連れて行きますので、ディア様のお側にはコクヨウとディオンが残ります。」
「2人が?」
「はい、ディア様。ふふ、どうぞ、ディア様はゆっくりと明日はお過ごし下さい。」
「う、うん?」


含み笑いのアディライト。
アディライトのその含み笑いの意味を知るのは、私が寝る時になってからだった。


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