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FiLwT
後日談 やっぱり可愛いもん勝ち 5
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「……スイさん。一つだけ、聞いていい?」
アキは恐る恐る聞いた。
「何?」
不思議そうにスイが見つめ返してくる。その表情はまるで少年のようだ。社会の暗部なんて何も知りません。とでもいうような綺麗な瞳。
「……何人。地獄に落としたの?」
アキの言葉にスイは視線を上目遣いに逸らして、指を折ろうとして、やめた。
「……大丈夫。政治家とか代わりなんていくらでもいるから」
にっこり。と、形容するのが一番似合う笑顔でスイが言う。
この天使のような笑顔の人は、女子高生一人を救うために、内閣の半数を辞職させ、一部上場企業の株を暴落させ、お堅い新聞社や出版社のサイトを大炎上させ、医学界の勢力地図を書き換えてしまった。たった一人で。
「騒ぎが大きくなったおかげで、被害者の子供たちの話題あんまり取り上げられずにすんでるしね。……それに」
そこで、スイの笑顔に不穏な影が過る。
「下半身に締りのない男なんて、ちん〇腐れ落ちて死ねばいいんだよ」
スイの口から出たとは思えない過激な発言に、アキとユキは凍り付いた。ユキなんて、思わず自分の股間抑えて怯えた表情をしている。
「そう思うよね?」
また、屈託のない笑顔に戻って、じっとアキを見つめてスイが同意を求めてきた。綺麗な翠色の瞳だ。
否。と、答えることは許されない。多分。
言葉を失って、ちら、と、ユキを見ると高速で首を縦に振っていた。
「……はい」
力なく答える。
その返答にスイはそうだよね。と、可愛い笑顔を返す。
出来立ての恋人の心の闇に、己の女性遍歴について絶対に知られてはならないと固く心に誓うアキであった。
アキは恐る恐る聞いた。
「何?」
不思議そうにスイが見つめ返してくる。その表情はまるで少年のようだ。社会の暗部なんて何も知りません。とでもいうような綺麗な瞳。
「……何人。地獄に落としたの?」
アキの言葉にスイは視線を上目遣いに逸らして、指を折ろうとして、やめた。
「……大丈夫。政治家とか代わりなんていくらでもいるから」
にっこり。と、形容するのが一番似合う笑顔でスイが言う。
この天使のような笑顔の人は、女子高生一人を救うために、内閣の半数を辞職させ、一部上場企業の株を暴落させ、お堅い新聞社や出版社のサイトを大炎上させ、医学界の勢力地図を書き換えてしまった。たった一人で。
「騒ぎが大きくなったおかげで、被害者の子供たちの話題あんまり取り上げられずにすんでるしね。……それに」
そこで、スイの笑顔に不穏な影が過る。
「下半身に締りのない男なんて、ちん〇腐れ落ちて死ねばいいんだよ」
スイの口から出たとは思えない過激な発言に、アキとユキは凍り付いた。ユキなんて、思わず自分の股間抑えて怯えた表情をしている。
「そう思うよね?」
また、屈託のない笑顔に戻って、じっとアキを見つめてスイが同意を求めてきた。綺麗な翠色の瞳だ。
否。と、答えることは許されない。多分。
言葉を失って、ちら、と、ユキを見ると高速で首を縦に振っていた。
「……はい」
力なく答える。
その返答にスイはそうだよね。と、可愛い笑顔を返す。
出来立ての恋人の心の闇に、己の女性遍歴について絶対に知られてはならないと固く心に誓うアキであった。
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