種子生成で変わる世界

そごね

文字の大きさ
6 / 23

可愛い子には旅をさせよ!

しおりを挟む
「じゃあパパ行ってくるね。」

「ほんとに行くのか?大丈夫か?」

「大丈夫だよ。パパ。かわいい子は旅をさせよってよく言うじゃん?」

「聞いた事もないのだが」

「まぁ私は変な子だからね。パパいってくるね」


 私は荷馬車の荷物の中に入って布団に腰かける。
 子供の私は外で歩くと狙われやすいので荷馬車の中が私の居場所になる。
 今回の旅はケンと、旅になれたエルフが3名だ。
 少しずつ慣れていこう。
 名前とかね。

 私は、揺れる荷馬車の中で今後のことを考える。
 私たちのいるエルフの村は、どこの国にも属くしていない。
 理由は周りを統治するものがいないからだ。
 周りを統治する一族がいないというのが正しいだろう。
 エルフの村の周りには、獣人種、ドワーフ、遊牧民の人間、私たち以外のエルフの村が点在している。
 今回の野菜は獣人種の村と他のエルフの村に売りに行こうと思っているらしい。


「ジュキ様ご加減はいかがですか?」


 最近、大人エルフの中では私を様付で呼ぶ人が多い。
 様付けで呼ばないでほしいけど、けど正すのもめんどくさいからそのまんまでいいかなって思っている。
 まぁ何でもいいんだけどね。
 何かこそばゆいっていうのが、私の正直な気持ちだ。


「ジュキ不具合があったらすぐに言えよ?」

「あなたに何かがあったら大変ですからね。」

「なんかみんな変だね」

「そんなことないよ。それほどエルフにとってジュキが大切な人だってことなんだ。じゃぁお父さんよりもジュキの方が大切だってエルフのみんな言ってるよ」

「そっか、まあいいや。そんなに大切にされてもね。」


 嬉しくなかった訳では無いけど、そう言われると困る。
 私はただ野菜を作り出しているだけだし。

 荷馬車の隙間から外を見ていると荷馬車は森を出た。
 森の外は初めてだ。
 身を乗り出して外を見ると、初めての光景が拡がっていた。
 木がない草原が拡がっていたのだ。
 すごい。
 前世の時もこんなに広い草原は見た時ない。
 もしかしたらこの先野菜を食べる地域も出でくるかもしれない。


「ジュキ様森を出て直ぐに1つ目の目的地があります。」

「なるほど、それはエルフの集落?」

「草原に住む民は獣人族か人間くらいです。エルフは森にしか住みません。」

「そっか。楽しみだね。」


 それから馬車を2時間ほど走らせると確かに獣人族の集落が現れた。
 土の山を固めて、中を繰り抜いたような住居に住んでいるらしい。
 獣人族と言うから色々な動物が混ざっているのかと思ったら犬っぽい耳を持ってフサフサのしっぽ、フサフサの手足が特徴のよう。


「やー」

「よく来た!無事で何より。」

「そちらこそ。最近獲物は取れていますか?」

「いいや動物の数が減っているんだ。ちょっと昔まで野兎や走り鳥なんか取れたのにな。なんかちょっとおかしいのかな。」

「そうですよね。エルフの森も獲物がかなり少ないです。すみません!新しい旅のメンバーを紹介するのを忘れていました。ジュキです。」

「よろしく。」

「ああ。よろしく。ファイナという。」


 名前は覚えられないけど、ニコニコはしておこう。
 このおじちゃんはこの村の村長みたいなもので、群れのリーダーだと言う。
 

「荷馬車を引いているということは、何かを持ってきてくれたのだろう?何になる。」
  
「新しい食べ物を持ってきました。」

「新しい食べ物?それは何だ」

「こちらです」

「石?」


 見た時もないのだからそういう反応になってもおかしくない。
 実際、見た目は石みたいなようなものだし、触ってみても確かに硬いしね。
 

「本当に食べられるのかな。私たちを騙そうとしてるのか?ふざけているのか?」

「騙そうとなんかしていない。とってもおいしいよ。」

「どうやって食べるんだかじればいいのか?」

「火を通して食べるんだよ。蒸して食べれば絶品だよ。」

「蒸して…蒸してとは何だ?やって見せてくれ」

「竈と鍋とザルを貸してくれればやりますよ。」


 どういうことで蒸かし芋をぱぱっと作った。
 この村には、魚の調味料がないので、塩だけの味付けになる。
 ファイナの前に蒸かしたいもを割ったものに塩をかけて出す。
 恐れながらひと口パクリと食べると目を見開いて皮まで全てたべた。


「これは美味いな!」

「そうでしょう。おいしいんだよね。蒸し芋って。芋ならお腹も膨れるでしょう?」

「確かにそうだ。たった1つ食べただけなのに、お腹の満足度が高い気がする。」

「ここからは私が話すからジュキ様は荷馬車の中でお休みください。」


 と、いうことで、邪魔者は退散だ。
 この村とは、仲が良いみたいで、とんとん拍子に話が進んだ。
 みんな狩りをするから、距離をとっているけれども、狩りをうまくできないとなるなら、近くに住んだほうがお互いに便利だからね。
 それに人手も欲しいかなって思ってきたから、皆、エルフの村の近くに引っ越してくれたらうれしいな。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...