7 / 77
7話 ダイガット。
しおりを挟む
頭によぎるのは『離縁』と言う言葉。
両親に言われた。
この腕に浮き出た赤い小さな痣。
『この痣が25個できた時、あなた達は離縁できるわよ』
母のその言葉の意味がわからない。だって政略なんだろう?
そんな簡単に離縁なんて……それに25個の意味がわからない!
痣がどうしてできるのか理由もわからない。だって、知らされたのは昨日のことだったし。
痣の数はすでに8個。
あと17個で………
俺がビアンカと初めて話したのは結婚式を挙げた日。
「俺は別に結婚なんてしたくなかった」
(ビアンカは俺のことなど知らないだろうし好きじゃないだろう?)
ただ、悔しかった。無理やり親から押し付けられた結婚に対して苛立ちを覚えていた。
自分が彼女にまだ何も行動していないのに。これからだと思っていたのに。
「同じですね」
ビアンカの言葉にカチンときてしまった。
「でも結婚したからにはお互いなんとか上手くやっていきましょう」
そう言って彼女から手を差し出されたのに俺は彼女の手を振り払った。
「君と仲良く夫婦ごっこなんてするつもりはない」
(本当の夫婦になりたいんだ)
他の人に対しては礼儀正しく、貴族令息として対応ができるのに、どうしてもビアンカに素直になれない。
……こんな態度しか取れない。
本当は優しく声をかけたい。
初恋でずっと遠くから見ていた彼女。あんなに明るかったビアンカがいつの間にか落ち着いて笑わなくなっていた。
それなのに、バァズのそばではあんな可愛らしい笑顔を見せていた。
どんなにあの笑顔に焦がれたと思うんだ!
この1年間、ビアンカが2階に来るのを母が許可しなかった。その理由は俺がビアンカに何するかわからないからだ。
俺が拗れてしまっているのを母だけは知っている。
「貴方がもしあの子を襲ったらと思うと恐ろしい……ビアンカには貴方の手が届かない部屋に居てもらうわ」
「結婚したのだから、彼女とその……一緒に過ごしても……」
「駄目よ!まだあの子は15歳なの!せめて学生の間は学生らしく過ごしてもらわないと!」
「………はい」
結婚前に約束させられた。
だけど今日はどうしてもビアンカを自分の部屋に連れてきたかった。
俺の妻なんだって確認したかった。
だけどやっぱり素直になれない。
フランソアがまたいろいろ聞いてくるだろうか。
フランソアはビアンカが使用人ではなく俺の妻だと知っている。
フランソアはいろいろ話を聞いてくれる。俺もフランソアを守ると約束しているけど、フランソアも俺を心配してアドバイスしてくれる。
大切な幼馴染。そして頼りになる。
だけど、今日のフランソアはいつもと少し違ってた。
ビアンカに態と『恋人』だなんて俺たちのことを言っていた。
噂で俺たちを恋人だと思っている人もいると友人には聞かされていた。
だけど、そんな関係じゃない。
ムキになって否定する気はない。フランソアの家族には匂わせておいた方が、フランソアが守られる。
侯爵家の子息と仲が良いとなればソランソアに酷い仕打ちはしないだろうから。
でもビアンカにまで勘違いされるのはあまりいいとは思えない。
「せめてビアンカにはフランソアとのことを話しておきたい」
「あら?ビアンカ様がヤキモチ妬いてくれるかもしれないわ」
「………妬いてくれるだろうか?」
「だって貴方の妻なのよ?」
俺はフランソアの言葉に素直な頷いた。
それが間違いだなんて馬鹿な俺は気がつかなかった。
両親に言われた。
この腕に浮き出た赤い小さな痣。
『この痣が25個できた時、あなた達は離縁できるわよ』
母のその言葉の意味がわからない。だって政略なんだろう?
そんな簡単に離縁なんて……それに25個の意味がわからない!
痣がどうしてできるのか理由もわからない。だって、知らされたのは昨日のことだったし。
痣の数はすでに8個。
あと17個で………
俺がビアンカと初めて話したのは結婚式を挙げた日。
「俺は別に結婚なんてしたくなかった」
(ビアンカは俺のことなど知らないだろうし好きじゃないだろう?)
ただ、悔しかった。無理やり親から押し付けられた結婚に対して苛立ちを覚えていた。
自分が彼女にまだ何も行動していないのに。これからだと思っていたのに。
「同じですね」
ビアンカの言葉にカチンときてしまった。
「でも結婚したからにはお互いなんとか上手くやっていきましょう」
そう言って彼女から手を差し出されたのに俺は彼女の手を振り払った。
「君と仲良く夫婦ごっこなんてするつもりはない」
(本当の夫婦になりたいんだ)
他の人に対しては礼儀正しく、貴族令息として対応ができるのに、どうしてもビアンカに素直になれない。
……こんな態度しか取れない。
本当は優しく声をかけたい。
初恋でずっと遠くから見ていた彼女。あんなに明るかったビアンカがいつの間にか落ち着いて笑わなくなっていた。
それなのに、バァズのそばではあんな可愛らしい笑顔を見せていた。
どんなにあの笑顔に焦がれたと思うんだ!
この1年間、ビアンカが2階に来るのを母が許可しなかった。その理由は俺がビアンカに何するかわからないからだ。
俺が拗れてしまっているのを母だけは知っている。
「貴方がもしあの子を襲ったらと思うと恐ろしい……ビアンカには貴方の手が届かない部屋に居てもらうわ」
「結婚したのだから、彼女とその……一緒に過ごしても……」
「駄目よ!まだあの子は15歳なの!せめて学生の間は学生らしく過ごしてもらわないと!」
「………はい」
結婚前に約束させられた。
だけど今日はどうしてもビアンカを自分の部屋に連れてきたかった。
俺の妻なんだって確認したかった。
だけどやっぱり素直になれない。
フランソアがまたいろいろ聞いてくるだろうか。
フランソアはビアンカが使用人ではなく俺の妻だと知っている。
フランソアはいろいろ話を聞いてくれる。俺もフランソアを守ると約束しているけど、フランソアも俺を心配してアドバイスしてくれる。
大切な幼馴染。そして頼りになる。
だけど、今日のフランソアはいつもと少し違ってた。
ビアンカに態と『恋人』だなんて俺たちのことを言っていた。
噂で俺たちを恋人だと思っている人もいると友人には聞かされていた。
だけど、そんな関係じゃない。
ムキになって否定する気はない。フランソアの家族には匂わせておいた方が、フランソアが守られる。
侯爵家の子息と仲が良いとなればソランソアに酷い仕打ちはしないだろうから。
でもビアンカにまで勘違いされるのはあまりいいとは思えない。
「せめてビアンカにはフランソアとのことを話しておきたい」
「あら?ビアンカ様がヤキモチ妬いてくれるかもしれないわ」
「………妬いてくれるだろうか?」
「だって貴方の妻なのよ?」
俺はフランソアの言葉に素直な頷いた。
それが間違いだなんて馬鹿な俺は気がつかなかった。
1,685
あなたにおすすめの小説
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
彼が愛した王女はもういない
黒猫子猫
恋愛
シュリは子供の頃からずっと、年上のカイゼルに片想いをしてきた。彼はいつも優しく、まるで宝物のように大切にしてくれた。ただ、シュリの想いには応えてくれず、「もう少し大きくなったらな」と、はぐらかした。月日は流れ、シュリは大人になった。ようやく彼と結ばれる身体になれたと喜んだのも束の間、騎士になっていた彼は護衛を務めていた王女に恋をしていた。シュリは胸を痛めたが、彼の幸せを優先しようと、何も言わずに去る事に決めた。
どちらも叶わない恋をした――はずだった。
※関連作がありますが、これのみで読めます。
※全11話です。
嘘の誓いは、あなたの隣で
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢ミッシェルは、公爵カルバンと穏やかに愛を育んでいた。
けれど聖女アリアの来訪をきっかけに、彼の心が揺らぎ始める。
噂、沈黙、そして冷たい背中。
そんな折、父の命で見合いをさせられた皇太子ルシアンは、
一目で彼女に惹かれ、静かに手を差し伸べる。
――愛を信じたのは、誰だったのか。
カルバンが本当の想いに気づいた時には、
もうミッシェルは別の光のもとにいた。
完結 愛される自信を失ったのは私の罪
音爽(ネソウ)
恋愛
顔も知らないまま婚約した二人。貴族では当たり前の出会いだった。
それでも互いを尊重して歩み寄るのである。幸いにも両人とも一目で気に入ってしまう。
ところが「従妹」称する少女が現れて「私が婚約するはずだった返せ」と宣戦布告してきた。
好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?
【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる