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番外編 ②
「ビアンカは………とても穏やかな顔をしていたんだ……苦しまずに眠るように亡くなっていた……ジェイのそばで………」
ヨハンは、これ以上言葉を言えずにグッと堪えしばらく黙ったまま、フェリックスに視線を向けた。
「ジェイが目覚めた時、まだ体は温かったらしい……ジェイは息をしていないビアンカの頬に手を触れ、何度も『かあ様』と呼びかけたらしい。だけど……目を開けることも返事もない……ジェイは人が亡くなるということがまだはっきり理解できないでいた。6歳の少女が昨日の夜まで元気だった母親が突然死んだなんて思えるわけがないんです」
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
「かあ様」
ジェイはいつもより早く目が覚めた。
温かな母の体温を感じながら眠りについた……はずなのに…なんだかその温もりがおかしいと感じた。
「……かあ様?」
何度声をかけても返事をしない。
頬を触ると少し冷たい気がする。
あまりにも静かで動こうとしない母にそっと体をくっつけて、温めてあげようと抱きついた。
ぴくり…とも動かない母にそっと「かぁさま」と甘えた声で話しかけた。
6歳のジェイにとって死はよくわからない。だけど……ジェイはふと掠めたそんな考えを頭を振ってやめる。
なんとか、かあ様を起こそうと、小さな声で優しく話しかけ続けた。
「かあ様……今日はお休みだからひさしぶりに公園へいくやくそくだよね?」
「かあ様……かあさまのつくった、パンケーキたべたい、はやくおきて」
「かあ…さま……わがまま言わないから……」
「………かあさま……なにもいらない……はやく、いつもみたいに『ジェイ、あいしてるわ』っていって……」
「かあさまぁ………」
ジェイは涙を流しながらビアンカに抱きついた。どんなに泣いてもかあ様が動くことはない。
わかってるのに認められない。
このままここにいれば…いつか目を覚ましてくれるかもしれない。
そう思うと誰かを呼ぶことなんて出来なかった。
誰かを呼べば、もう終わってしまう……全てが消えてしまうかもしれない。
それがとても怖かった。
だからずっとかあ様に話しかける。
少しずつ冷たくなる母の顔を優しく撫で、手を握りしめる。
どれくらいこうして過ごしたのだろう。
いくら待っても起きてこないビアンカとジェイを心配して、屋敷で泊まり込みで住んでいるお手伝いのマリが部屋の扉をノックした。
でも返事が返ってこない。
「奥様?ジェイ様?」
「…………」
何かがおかしい。扉に耳を当て中の様子を窺う。
微かに聞こえるのはジェイの泣き声だった。
「どうなさいました?開けますよ!」
異変に気がついたマリは扉を開けた。
部屋の中はとても静かだった。そして奥の部屋の寝室からジェイの泣き声が聞こえてくる。
「ジェイ様!」
急いで寝室へ行くとジェイがベッドの上で泣きながらビアンカに話しかけていた。
「どうなさいました?奥様に何かありましたか?」
「………マリさん……かあ様が……」
ジェイはそう言うとそのままビアンカの上に倒れて意識を失った。
「ジェイ様!誰か、誰か来て!!」
◆ ◆ ◆
更新遅くなりました。
たった、これだけの短い話……なのになかなか書けませんでした。
読んでいただきありがとうございます。
ヨハンは、これ以上言葉を言えずにグッと堪えしばらく黙ったまま、フェリックスに視線を向けた。
「ジェイが目覚めた時、まだ体は温かったらしい……ジェイは息をしていないビアンカの頬に手を触れ、何度も『かあ様』と呼びかけたらしい。だけど……目を開けることも返事もない……ジェイは人が亡くなるということがまだはっきり理解できないでいた。6歳の少女が昨日の夜まで元気だった母親が突然死んだなんて思えるわけがないんです」
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
「かあ様」
ジェイはいつもより早く目が覚めた。
温かな母の体温を感じながら眠りについた……はずなのに…なんだかその温もりがおかしいと感じた。
「……かあ様?」
何度声をかけても返事をしない。
頬を触ると少し冷たい気がする。
あまりにも静かで動こうとしない母にそっと体をくっつけて、温めてあげようと抱きついた。
ぴくり…とも動かない母にそっと「かぁさま」と甘えた声で話しかけた。
6歳のジェイにとって死はよくわからない。だけど……ジェイはふと掠めたそんな考えを頭を振ってやめる。
なんとか、かあ様を起こそうと、小さな声で優しく話しかけ続けた。
「かあ様……今日はお休みだからひさしぶりに公園へいくやくそくだよね?」
「かあ様……かあさまのつくった、パンケーキたべたい、はやくおきて」
「かあ…さま……わがまま言わないから……」
「………かあさま……なにもいらない……はやく、いつもみたいに『ジェイ、あいしてるわ』っていって……」
「かあさまぁ………」
ジェイは涙を流しながらビアンカに抱きついた。どんなに泣いてもかあ様が動くことはない。
わかってるのに認められない。
このままここにいれば…いつか目を覚ましてくれるかもしれない。
そう思うと誰かを呼ぶことなんて出来なかった。
誰かを呼べば、もう終わってしまう……全てが消えてしまうかもしれない。
それがとても怖かった。
だからずっとかあ様に話しかける。
少しずつ冷たくなる母の顔を優しく撫で、手を握りしめる。
どれくらいこうして過ごしたのだろう。
いくら待っても起きてこないビアンカとジェイを心配して、屋敷で泊まり込みで住んでいるお手伝いのマリが部屋の扉をノックした。
でも返事が返ってこない。
「奥様?ジェイ様?」
「…………」
何かがおかしい。扉に耳を当て中の様子を窺う。
微かに聞こえるのはジェイの泣き声だった。
「どうなさいました?開けますよ!」
異変に気がついたマリは扉を開けた。
部屋の中はとても静かだった。そして奥の部屋の寝室からジェイの泣き声が聞こえてくる。
「ジェイ様!」
急いで寝室へ行くとジェイがベッドの上で泣きながらビアンカに話しかけていた。
「どうなさいました?奥様に何かありましたか?」
「………マリさん……かあ様が……」
ジェイはそう言うとそのままビアンカの上に倒れて意識を失った。
「ジェイ様!誰か、誰か来て!!」
◆ ◆ ◆
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たった、これだけの短い話……なのになかなか書けませんでした。
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