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リサ。⑧
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強く壁に打ち付けられたリサは何があったかわからなかった。
「いったい!」
あまりの痛みに苛つくどころか腹が立ち、相手を睨みあげた。
そこには、オルフレインが仁王立ちしていた。まるでリサの悪さを全て知っているかのように。
まだ、嘘はついていないはず。だからバレるはずがない。
なのに彼の顔は冷淡でリサを射抜いていて、リサは恐怖で体はガタガタと震えていた。
今何か言葉を発すれば、オルフレインはリサに何をするかわからない。
体中に嫌な汗が流れた。壁にぶつかった時の痛みを癒そうなんて考える余裕もなかった。
「リサ、お前は人として、そして魔法使いとしてしてはいけないことをしたと自覚はあるのか?」
地を這うような声がリサをさらに恐怖に追いやる。
怖くて言葉が出ない。涙目になって首を横に振った。
「返事は?」
「………」
「返事をしろ!!」
「…………わ、私……な、何も………きゃっ!!!」
「何もしていない」と言おうとしたら突然全身に痛みが走った。
今までこんな痛みを味わったことがなかった。
「な、なに、これ……」
「お前が嘘をつけばすぐに罰を受ける」
「う、嘘なんて……きゃっ!!」
今度は背中を激しく叩かれた痛みが。
あまりの痛みに跪いて動けない。
「わ、私は……」
「何をした?カレンに何をした?お前は人を殺そうとした……いや、アイシャを殺しただろう」
「ち、違う……あっ……あああああ、い、痛い!!」
「お前が嘘をつくたびに、体中が痛み、そしてお前の魔力は失われていく」
淡々伝えられたオルフレインの言葉にリサは驚き目を見開いた。
「い、いやあーー!私の魔力が!貴方がそんなことする権利はない!私の魔力は私のものよ!!勝手なことは許さないわ!!」
リサは怒りのあまり痛みを忘れ魔力を手に集中させた。
オルフレインへ攻撃しようとした時。
「やめなさい、リサ」
部屋に入ってきたのはカイザだった。
「お父様!酷いの!オルフレインが、私に意地悪するの!私は何も悪いことなんて……きゃっ!い、痛い!!」
リサは痛みにまた蹲った。
「リサ、もう全てわかっているんだ。お前がアイシャ嬢を家に火をつけて死なせたことも、今回森を焼いたことも。
もう嘘はつかなくていい」
「違う、私は魔法の発展ために……きゃっ!!」
リサは一言何か言うたびに体中に激しい痛みがやって来る。
そして自分でもわかる、魔力が失くなっていくのを。あれだけ体中に魔力が流れていたのに今の自分は魔力を感じなくなっていた。
「お願い、私の魔力を奪わないで」
大粒の涙が頬を伝う。
カイザはギュッと唇を噛んだ。すぐにでも手を差し伸べてやりたい、そう思ってしまう自分の甘さを心の中で諌めた。
「お父様……助けて……」
キリアンとカレンは大人たちの今の状況にどうしていいのかわからず手を互いに握りしめているしかなかった。
自分を殺そうとした。
森を焼いた。
でもアイシャとは?
カレンにとって度々耳にする『アイシャ』が自分と関係していることはわかっていた。
でもよくわからない。ただ、『アイシャ』と言う名を聞くたびに胸が張り裂けそうなくらい辛くなる。そして苦しいのに、なぜか……その名を聞きたくなる。
カレンから見るオルフレインという人もカイザ様もみんな怒っているはずなのにとても悲しそうだ。辛そうに手を握りしめている姿になんと言っていいのかわからない。
「兄様……」
小さな声でキリアンの横顔を見た。
キリアンはこの場所で誰よりも怒った顔をしていた。そこにいるキリアンはいつも優しい兄ではなかった。
今にもリサを殺さんとばかりに睨みあげていた。
カレンはそんなキリアンが怖くなって手を強く握りしめた。もしこの手を離してしまえば、リサを殺してしまうかもしれない。
「兄様……」
やめて、何もしないで……お願い……
乞うようにキリアンに声をかけた。
「いったい!」
あまりの痛みに苛つくどころか腹が立ち、相手を睨みあげた。
そこには、オルフレインが仁王立ちしていた。まるでリサの悪さを全て知っているかのように。
まだ、嘘はついていないはず。だからバレるはずがない。
なのに彼の顔は冷淡でリサを射抜いていて、リサは恐怖で体はガタガタと震えていた。
今何か言葉を発すれば、オルフレインはリサに何をするかわからない。
体中に嫌な汗が流れた。壁にぶつかった時の痛みを癒そうなんて考える余裕もなかった。
「リサ、お前は人として、そして魔法使いとしてしてはいけないことをしたと自覚はあるのか?」
地を這うような声がリサをさらに恐怖に追いやる。
怖くて言葉が出ない。涙目になって首を横に振った。
「返事は?」
「………」
「返事をしろ!!」
「…………わ、私……な、何も………きゃっ!!!」
「何もしていない」と言おうとしたら突然全身に痛みが走った。
今までこんな痛みを味わったことがなかった。
「な、なに、これ……」
「お前が嘘をつけばすぐに罰を受ける」
「う、嘘なんて……きゃっ!!」
今度は背中を激しく叩かれた痛みが。
あまりの痛みに跪いて動けない。
「わ、私は……」
「何をした?カレンに何をした?お前は人を殺そうとした……いや、アイシャを殺しただろう」
「ち、違う……あっ……あああああ、い、痛い!!」
「お前が嘘をつくたびに、体中が痛み、そしてお前の魔力は失われていく」
淡々伝えられたオルフレインの言葉にリサは驚き目を見開いた。
「い、いやあーー!私の魔力が!貴方がそんなことする権利はない!私の魔力は私のものよ!!勝手なことは許さないわ!!」
リサは怒りのあまり痛みを忘れ魔力を手に集中させた。
オルフレインへ攻撃しようとした時。
「やめなさい、リサ」
部屋に入ってきたのはカイザだった。
「お父様!酷いの!オルフレインが、私に意地悪するの!私は何も悪いことなんて……きゃっ!い、痛い!!」
リサは痛みにまた蹲った。
「リサ、もう全てわかっているんだ。お前がアイシャ嬢を家に火をつけて死なせたことも、今回森を焼いたことも。
もう嘘はつかなくていい」
「違う、私は魔法の発展ために……きゃっ!!」
リサは一言何か言うたびに体中に激しい痛みがやって来る。
そして自分でもわかる、魔力が失くなっていくのを。あれだけ体中に魔力が流れていたのに今の自分は魔力を感じなくなっていた。
「お願い、私の魔力を奪わないで」
大粒の涙が頬を伝う。
カイザはギュッと唇を噛んだ。すぐにでも手を差し伸べてやりたい、そう思ってしまう自分の甘さを心の中で諌めた。
「お父様……助けて……」
キリアンとカレンは大人たちの今の状況にどうしていいのかわからず手を互いに握りしめているしかなかった。
自分を殺そうとした。
森を焼いた。
でもアイシャとは?
カレンにとって度々耳にする『アイシャ』が自分と関係していることはわかっていた。
でもよくわからない。ただ、『アイシャ』と言う名を聞くたびに胸が張り裂けそうなくらい辛くなる。そして苦しいのに、なぜか……その名を聞きたくなる。
カレンから見るオルフレインという人もカイザ様もみんな怒っているはずなのにとても悲しそうだ。辛そうに手を握りしめている姿になんと言っていいのかわからない。
「兄様……」
小さな声でキリアンの横顔を見た。
キリアンはこの場所で誰よりも怒った顔をしていた。そこにいるキリアンはいつも優しい兄ではなかった。
今にもリサを殺さんとばかりに睨みあげていた。
カレンはそんなキリアンが怖くなって手を強く握りしめた。もしこの手を離してしまえば、リサを殺してしまうかもしれない。
「兄様……」
やめて、何もしないで……お願い……
乞うようにキリアンに声をかけた。
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