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76話
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目覚めてからひと月余り。
体を動かす事も不自由ではなくなり、学園に復帰することになった。
7ヶ月のブランクは、学園の先生が来てテストを受けることでクリアした。
元々入学当時から成績が良かったので勉強の遅れは先生たちも心配していなかった。
わたし自身も前回の記憶があるので、勉強は心配していなかった。
久しぶりの学園にユンとミリアと共に馬車に乗って登校した。
「エリーゼ様、この半年の間特に変わったことは有りません。だからいつも通りに通っても大丈夫です」
「ふふふ、ありがとう、わたしは心配していないわ。カイラとエレンも会いに来て学園の話をしてくれたし二人もわたしに毎日の出来事を教えてくれたわ」
「そうですよね?すみません、わたしの方が心配していました」
ユンがわたしを見てほっとしていた。
わたしが目覚める前の二人は、もっと親しかった。誰もいない時は孤児院にいた時のように話していたけど、今は主人と使用人の関係から崩れることはなかった。
初めは寂しくて何とか二人と打ち解けようとしたけど、それは二人を混乱させ萎縮させてしまうことでしかなかった。
わたしが孤児院で過ごしたのも、みんなと同じ生活というよりヴィクトリア様の友人の娘として過ごしていたみたいだ。
わたしは以前の関係に戻れないことも、今の記憶がないこともとでも寂しかった。
今の生活を何とか頑張って過ごしていても、記憶が今と違っているため色々と齟齬がある。
友人のカイラやエレンには前回の記憶は全くない。
だから以前のような会話は出来ないしわたしが巻き戻っていることも知らない。
純粋に幼馴染で一時期孤児院を運営しているヴィクトリア様の元にいたが戻ってきて再び学園で会い友人として過ごしている。
そしてわたしはユイナ・ミレーヌに襲われた可哀そうな生徒として、今日から通う。
「おはよう」
教室に入るとカイラとエレンが居た。
「エリーゼ!お帰り!」
二人はわたしに抱きついて温かく迎えてくれた。
「エリーゼ、久しぶり」
セスとダニーも久しぶりだった。
「あら?ノアは?」
「あいつはまだ来てないよ、エリーゼが今日から来ていると知ったら喜ぶよ」
「ノアは一度も顔を出してくれなかったから元気なのか心配していたの。二人は会いに来てくれたのに、何かあったの?仲が悪くなったの?」
三人はとても仲が良くていつも一緒だというイメージがあった。でも今は違うのだろうか?
また記憶とは別なのか?
「仲は良いよ、ただ、エリーゼを助けられなくて合わせる顔がなかったんだ」
「うん、ずっと学園で見守っていたのに助けられなかったから会いづらいんだと思うよ」
「え?だってノアはただの生徒だよ?わたしが襲われたのはノアの所為でもないし仕方がないことだよ?」
「うん、まぁそうなんだけど……エリーゼは知らなかったんだよね、ノアは君を守るために剣の鍛錬をしたり体術を覚えたりしていたんだ」
「え?ええ?どうして?」
「エリーゼはノアと幼馴染だったこと覚えている?」
「……う、うん、うっすらと……」
「やっぱりそうだったんだ……ノアはずっとエリーゼが好きだったらしいんだけど、会えなくなって何とか会おうとしたら君は孤児院を運営している夫婦の元で暮らしていると聞いてずっと会うのを我慢していたんだ。
なのに10歳の時に君が拐われた事件で次に会う時は守れる男になるんだって必死で努力して、今度こそ何があっても守ろうと思っていたら君が刺されて死にかけただろう」
二人の話に目が点になった。
(な、何だ、この話は⁉︎)
「絶対アイツはこんな話しないから今わざとにバラしたんだ。本当はこんな事言ったらアイツは怒るのわかってる……でも、知ってて欲しかったんだ」
「うん、アイツが報われなくてもそれは仕方がない。でも、アイツはこのままだと何も言わずエリーゼから友人としても離れてしまうと思う、頼むからアイツの態度を誤解しないでやって欲しいんだ」
「あー、う、うん……ノアは優しいしいつも話してくれるし、嫌われているわけではないとわかっているならだ、大丈夫。……うん、今の話は聞かなかったことにしておくから……ノアの態度がおかしくても誤解はしないわ」
わたしは照れていいのか喜ぶべきなのか……
うん、全てスルーすることにした。
体を動かす事も不自由ではなくなり、学園に復帰することになった。
7ヶ月のブランクは、学園の先生が来てテストを受けることでクリアした。
元々入学当時から成績が良かったので勉強の遅れは先生たちも心配していなかった。
わたし自身も前回の記憶があるので、勉強は心配していなかった。
久しぶりの学園にユンとミリアと共に馬車に乗って登校した。
「エリーゼ様、この半年の間特に変わったことは有りません。だからいつも通りに通っても大丈夫です」
「ふふふ、ありがとう、わたしは心配していないわ。カイラとエレンも会いに来て学園の話をしてくれたし二人もわたしに毎日の出来事を教えてくれたわ」
「そうですよね?すみません、わたしの方が心配していました」
ユンがわたしを見てほっとしていた。
わたしが目覚める前の二人は、もっと親しかった。誰もいない時は孤児院にいた時のように話していたけど、今は主人と使用人の関係から崩れることはなかった。
初めは寂しくて何とか二人と打ち解けようとしたけど、それは二人を混乱させ萎縮させてしまうことでしかなかった。
わたしが孤児院で過ごしたのも、みんなと同じ生活というよりヴィクトリア様の友人の娘として過ごしていたみたいだ。
わたしは以前の関係に戻れないことも、今の記憶がないこともとでも寂しかった。
今の生活を何とか頑張って過ごしていても、記憶が今と違っているため色々と齟齬がある。
友人のカイラやエレンには前回の記憶は全くない。
だから以前のような会話は出来ないしわたしが巻き戻っていることも知らない。
純粋に幼馴染で一時期孤児院を運営しているヴィクトリア様の元にいたが戻ってきて再び学園で会い友人として過ごしている。
そしてわたしはユイナ・ミレーヌに襲われた可哀そうな生徒として、今日から通う。
「おはよう」
教室に入るとカイラとエレンが居た。
「エリーゼ!お帰り!」
二人はわたしに抱きついて温かく迎えてくれた。
「エリーゼ、久しぶり」
セスとダニーも久しぶりだった。
「あら?ノアは?」
「あいつはまだ来てないよ、エリーゼが今日から来ていると知ったら喜ぶよ」
「ノアは一度も顔を出してくれなかったから元気なのか心配していたの。二人は会いに来てくれたのに、何かあったの?仲が悪くなったの?」
三人はとても仲が良くていつも一緒だというイメージがあった。でも今は違うのだろうか?
また記憶とは別なのか?
「仲は良いよ、ただ、エリーゼを助けられなくて合わせる顔がなかったんだ」
「うん、ずっと学園で見守っていたのに助けられなかったから会いづらいんだと思うよ」
「え?だってノアはただの生徒だよ?わたしが襲われたのはノアの所為でもないし仕方がないことだよ?」
「うん、まぁそうなんだけど……エリーゼは知らなかったんだよね、ノアは君を守るために剣の鍛錬をしたり体術を覚えたりしていたんだ」
「え?ええ?どうして?」
「エリーゼはノアと幼馴染だったこと覚えている?」
「……う、うん、うっすらと……」
「やっぱりそうだったんだ……ノアはずっとエリーゼが好きだったらしいんだけど、会えなくなって何とか会おうとしたら君は孤児院を運営している夫婦の元で暮らしていると聞いてずっと会うのを我慢していたんだ。
なのに10歳の時に君が拐われた事件で次に会う時は守れる男になるんだって必死で努力して、今度こそ何があっても守ろうと思っていたら君が刺されて死にかけただろう」
二人の話に目が点になった。
(な、何だ、この話は⁉︎)
「絶対アイツはこんな話しないから今わざとにバラしたんだ。本当はこんな事言ったらアイツは怒るのわかってる……でも、知ってて欲しかったんだ」
「うん、アイツが報われなくてもそれは仕方がない。でも、アイツはこのままだと何も言わずエリーゼから友人としても離れてしまうと思う、頼むからアイツの態度を誤解しないでやって欲しいんだ」
「あー、う、うん……ノアは優しいしいつも話してくれるし、嫌われているわけではないとわかっているならだ、大丈夫。……うん、今の話は聞かなかったことにしておくから……ノアの態度がおかしくても誤解はしないわ」
わたしは照れていいのか喜ぶべきなのか……
うん、全てスルーすることにした。
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