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77話
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ノアは教室に来たがわたしの方を見ようともしなかった。
男らしくない!
そうは思うが聞かなかったことにした手前黙って静観するしかなかった。
7ヶ月以上ぶりの学園は新鮮で友人達は仲良くしてくれるし楽しい。
ノアは相変わらずわたしを微妙に避けて過ごしたが、わたしはいつも通りノアに挨拶したり話しかけたりした。
「ノアおはよう」
「……おはよう」
「ノア、食堂一緒に行こう」
「………う…うん…」
と、とりあえず返事はしてくれる。
ノアはあんなにいつも普通に話しかけてくれていたのに……少し寂しいが今はわたしがいつも通りにするしかない!
そしてふた月も経たずすぐに中等部1年生から2年生になった。
ずっと休んでいたし仕方がないよね。
クラスは変わらずカイラやエレン、ノア達とも同じクラス。
なんと一年生にレンス殿下が入学してきた。
先王陛下であり、現在公爵で今は南の領地の当主となった父について行ったが、また王都に一人戻りこれからは王城から王立学園に通うことが決まった。
わたしの記憶のレンス殿下は大人の世界に振り回され愛情をもらうことなく育ち、父からも蔑まされ、母からも捨て置かれた子だった。
静かでいつも影のある子で、黙って大人達にされるがままの感情の薄い子だった。
だがわたしがユシリス様の過去を変えて、ユシリス様と陛下は愛し合い、結婚された。
クロード殿下もレンス殿下も二人の愛情を受けて育った。
ただ、お父様曰くクロード殿下は巻き戻っているので前回の記憶はあるらしい。
だからわたしに執着してもう一度何とかやり直そうとした。
マリーナ様は殿下に執着してわたしを排除しようとして毒を盛った。
わたしは、わたしが変えた世界になってから4ヶ月経つが未だにクロード殿下に会っていない。
もちろん遠くにいるということもあるが、会いにきたいという先触れを理由を付けて断っている。
そんな中のレンス殿下の入学。
わたしは何故か彼と会うのを避けたい気持ちと一度会ってみたい気持ちが入り混じっていた。
入学して友人と楽しそうに過ごすレンス殿下を遠くから見て、彼は以前とは違いとても明るく元気であの暗く大人しいレンス殿下を知っているわたしには信じられない光景だった。
そんなレンス殿下をボッーと見ていると
「エリーゼ!大丈夫か?」
ノアが本当に久しぶりに話しかけてきた。
わたしはノアの声に驚いて
「ノア!やっと話しかけてきてくれたわね!」
ノアはわたしを見て気まずそうに頭をぽりぽり掻きながら
「エリーゼごめん、自分の不甲斐なさにまともに話しかけられなかった」
と、俯いて話した。
「ノア、わたしが怪我をしたのは貴方の所為ではないわ。あれはユイナ・ミレーヌ様がよく分からない思い込みでわたしを刺したの、あれは誰も止めることは出来なかったの」
「わかってる、でも、それでも、俺は守ってあげたかった」
「ありがとう……その気持ちだけで十分嬉しいわ」
ノアから話しかけられてわたしはとても嬉しかった。
「エリーゼ、レンス殿下が気になるんだろう?でももう王族とは関わるな。お前はあいつらの所為で二度も危険な目にあって死にかけたんだ」
ノアが言っていることは分かっている。
お父様とお兄様にも、「関わるな」と言われている。
わたしからしたらお父様だって変わらない。
貴方と関わっても碌なことはないと言いたいけど、わたしも少し大人になった。
いつまでもツンツンして子供みたいに拗ねてばかりいても仕方がない。
今はしっかり勉強して早く大人になりたい。
そして一人で生きていけるようになって、自立するのが夢だ。
今の生活になってヴィクトリア様にまだ会いに行ってはいない。
自分の今を、ひとつひとつ実感して違いを確かめながら生活している。
もう少ししたら変わってしまった孤児院での生活も確かめようとは思っている。
でも今はレンス殿下が気になって仕方がない。
「ノア、わたしはレンス殿下とお話をしてみたいの」
男らしくない!
そうは思うが聞かなかったことにした手前黙って静観するしかなかった。
7ヶ月以上ぶりの学園は新鮮で友人達は仲良くしてくれるし楽しい。
ノアは相変わらずわたしを微妙に避けて過ごしたが、わたしはいつも通りノアに挨拶したり話しかけたりした。
「ノアおはよう」
「……おはよう」
「ノア、食堂一緒に行こう」
「………う…うん…」
と、とりあえず返事はしてくれる。
ノアはあんなにいつも普通に話しかけてくれていたのに……少し寂しいが今はわたしがいつも通りにするしかない!
そしてふた月も経たずすぐに中等部1年生から2年生になった。
ずっと休んでいたし仕方がないよね。
クラスは変わらずカイラやエレン、ノア達とも同じクラス。
なんと一年生にレンス殿下が入学してきた。
先王陛下であり、現在公爵で今は南の領地の当主となった父について行ったが、また王都に一人戻りこれからは王城から王立学園に通うことが決まった。
わたしの記憶のレンス殿下は大人の世界に振り回され愛情をもらうことなく育ち、父からも蔑まされ、母からも捨て置かれた子だった。
静かでいつも影のある子で、黙って大人達にされるがままの感情の薄い子だった。
だがわたしがユシリス様の過去を変えて、ユシリス様と陛下は愛し合い、結婚された。
クロード殿下もレンス殿下も二人の愛情を受けて育った。
ただ、お父様曰くクロード殿下は巻き戻っているので前回の記憶はあるらしい。
だからわたしに執着してもう一度何とかやり直そうとした。
マリーナ様は殿下に執着してわたしを排除しようとして毒を盛った。
わたしは、わたしが変えた世界になってから4ヶ月経つが未だにクロード殿下に会っていない。
もちろん遠くにいるということもあるが、会いにきたいという先触れを理由を付けて断っている。
そんな中のレンス殿下の入学。
わたしは何故か彼と会うのを避けたい気持ちと一度会ってみたい気持ちが入り混じっていた。
入学して友人と楽しそうに過ごすレンス殿下を遠くから見て、彼は以前とは違いとても明るく元気であの暗く大人しいレンス殿下を知っているわたしには信じられない光景だった。
そんなレンス殿下をボッーと見ていると
「エリーゼ!大丈夫か?」
ノアが本当に久しぶりに話しかけてきた。
わたしはノアの声に驚いて
「ノア!やっと話しかけてきてくれたわね!」
ノアはわたしを見て気まずそうに頭をぽりぽり掻きながら
「エリーゼごめん、自分の不甲斐なさにまともに話しかけられなかった」
と、俯いて話した。
「ノア、わたしが怪我をしたのは貴方の所為ではないわ。あれはユイナ・ミレーヌ様がよく分からない思い込みでわたしを刺したの、あれは誰も止めることは出来なかったの」
「わかってる、でも、それでも、俺は守ってあげたかった」
「ありがとう……その気持ちだけで十分嬉しいわ」
ノアから話しかけられてわたしはとても嬉しかった。
「エリーゼ、レンス殿下が気になるんだろう?でももう王族とは関わるな。お前はあいつらの所為で二度も危険な目にあって死にかけたんだ」
ノアが言っていることは分かっている。
お父様とお兄様にも、「関わるな」と言われている。
わたしからしたらお父様だって変わらない。
貴方と関わっても碌なことはないと言いたいけど、わたしも少し大人になった。
いつまでもツンツンして子供みたいに拗ねてばかりいても仕方がない。
今はしっかり勉強して早く大人になりたい。
そして一人で生きていけるようになって、自立するのが夢だ。
今の生活になってヴィクトリア様にまだ会いに行ってはいない。
自分の今を、ひとつひとつ実感して違いを確かめながら生活している。
もう少ししたら変わってしまった孤児院での生活も確かめようとは思っている。
でも今はレンス殿下が気になって仕方がない。
「ノア、わたしはレンス殿下とお話をしてみたいの」
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